『人間に恋をした人魚姫は、悪い魔女に綺麗な声と引き換えに人間の姿にしてもらった』
よくある童話を幼い頃は馬鹿だな、なんて思いながら読んでいた気がする。どうせ泡になってしまうのに、なんて子供らしくないことを考えていた記憶もあり、ハッピーエンドな結末も物語の世界なのだと、どこか夢もない感想を抱いていた。
それが今読み返してみたらどうだろうか。
「なぁ」
「どうしたの、タイガきゅん」
「……なんでもねぇ」
「なあに、それ」
不思議そうな顔をしてるカケルの隣に背を向けて腰掛ける。困惑した空気も一瞬で、いつも通りのモノになる。きっと仲間だからだけど、あと数年後、高校を卒業するとどうなるだろう。カヅキさん達みたいに、寮を出てしまったら今のようにはいられないと考えてしまう自分が女々しくて嫌になる。
何を代償にしたら、ずっと傍に居られるのだろうか。なんて考えてしまうが物語のように上手くはいかないのも、差し出せるものなども何も無いから、今はすぐそばで感じる存在に想いを寄せて目を伏せた。
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20200913カケタイss
初公開日: 2020年09月16日
最終更新日: 2020年09月16日
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こんな声などくれてやる
300-500文字