三話目かなー
船に揺られてファワ諸島に渡ったノアは、海上から早くも確認できていた海軍支部に殴り込む。刀に能力に覇気まで使う海賊の襲撃は、迎撃姿勢を整えていた支部を容易く破った。貴重な緊急事態信号を受けて待機させていた軍艦や、調整済みの大砲は大して使われることなく役目を終えていた。
「どこからこんなにも沸きやがるんだ。権力ばっかり肥やしやがって邪魔くさい。」
チッと鋭い舌打ちと共に、海兵から奪った軍刀を振り投げる。真っ直ぐに飛んで行ったそれは監視塔にはためく海軍旗を切り落とした。ノアはさらに積み上げられた土嚢の防壁を蹴り崩すと動きを緩め、覇気に引っかかる虫の息を数える。今にも消えそうな気配は十にも満たず、どれも動くことはない。武器庫は爆破してあるし、中枢にも大ダメージを加えてある。ここまでやれば海軍は基地再建ではなく別の場所に新設をするはすだ。ファワ諸島は海軍の権力から開放されるだろう。
ククリを収めて港に戻ろうとしたノアは、瓦礫を踏む歩みを止めて聞き耳を立てる。どこからともなく電伝虫の音が聞こえたのだ。
んー?と大した興味を示すことはなかったが、鳴っているのが海軍の電伝虫なので気にはなる。もしかしたら増援部隊が来るかもしれないし、他に潰すべき場所が分かるかもしれない。そう思いながら音のなる瓦礫の山をうろつき、崩れた柱の影に電伝虫を見つけた。流れるような動きで躊躇うことなく手を伸ばすと
「おう。」
と、短く応えてみる。
「…そちらの状況はどうなっていますか。」
「応援を頼んだんだ。分かってるだろ。」
「応援要請は受けておりません。いや…通信状況が安定しないので、聞き逃したかも。」
すぐに送りますと相手は応え、困るなぁ…との呟きと共に紙をめくる音がした。背後からはカモメの鳴き声と、賑やかな子供達の声が聞こえてくる。
「相手は分かりますか。」
「さぁ…。」
「…困りますね…沖合で既に六隻やられているのです。何か対策をしないと…これ以上の犠牲は怒られそうでして。」
そもそも後半海域に新兵なんざ、とその声は苦労混じりに愚痴を零す。ノアは同情しているかのようにそうだよなぁ分かる分かると答えつつ、崩れた柱に胡座をかく。ククリの柄をそっとなぞり、応援部隊を送ろうとしている相手と話を合わせ続けた。
比較的若い声だ。そして増援部隊を送る決定がその場で出来る立場…に加えて状況を聞き戦況の把握をする立場でもある。予測される階級に比べて声が若過ぎるようにも感じるが、口調の落ち着きは本物だった。
ノアは嫌そうに目を薄めてククリの柄を握ったが、声色だけは先程と変わらないように保っている。
「…はい、応援部隊が見つかりました。すぐに向かわせます。あとは…そうですね。懸賞金額はどうされますか?上げたいですか?」
「それは俺に聞かれても…。」
ですよね、と分かっていたように相手は軽く笑い、周辺の簡単な説明を求めてくる。ノアは目の前に広がる景色をそのまま伝えることはせず、少しばかり程度を軽くして話すことにした。
「兵器類と武器庫は無事だ。だけど軍艦の方とその乗組員は壊滅だな…あとは…建物も少し壊れかけてる。中枢がやられてたから通信状況が安定しないんだろうな。」
「…となると…まだ再建はできそうですか?」
「あぁ。」
できると思う、とノアはククリから手を離して頷いた。こう伝えておけば相手は武器や兵器類を持たず、資材を積んで来るはずだ。
「分かりました。貴方は安全な場所に退避していて下さい。戦闘は応援部隊のみで行います。」
返答を待たずに切られた通話に、ノアは機嫌よく立ち上がる。これでまだ〈実績〉がノコノコとやってくる。しかも次の応援部隊とやらは少しばかり遊べそうだ。
いかんせん、先の通話相手はこちらが海兵ではないと気付いていた上であのように言った。ノアも気付かれているのを知っていて話を続けたのでお相子である。
〈懸賞金額はどうされますか?上げたいですか?〉
だ。また妙な方法でケンカを売ってくる奴もいたものだなぁとノアは笑うと、安全な場所に退避するためにファワ諸島の街へと歩き始める。
その頃には全ての虫が息絶えていた。
カット
Latest / 73:56
カットモードOFF
文字サイズ
向き
チャットコメント通知
異なり過ぎる3
初公開日: 2020年09月09日
最終更新日: 2020年09月09日
ブックマーク
スキ!
コメント
三話目かなぁ
特殊依頼、河川工事
奥川原町で起こった境界線の歪みを直したい話。
1459
だから、俺は旅をした。
ハービンジャー。だから俺らは先を行く。下を示されたなら下へ下へ。星の屑となろうとも、俺らは先駆け。 …
1459
灼・冬駿/満ちては欠ける
冬駿理不尽痴話喧嘩部の入部届です。
end
BLEACH鬼滅二次創作 67話【連載】
BLEACH鬼滅の二次創作を書きます。67話です。 盛り上がる戦いの後には、とてつもない下準備(と言…
ぬー(旧名:菊の花の様に)