首が無いと人は死ぬ。何を当たり前な事を言うかも知れないが、別にこの部分に特別な器官があるわけじゃ無い。喉を震わせて音を出すなんて、意思疎通に致命的な欠陥が生じるだけで、無くなったって人は生きていける。
首にはただ、管があるだけだ。
空気を通す、血を流す。それだけの通り道があるだけ。
其れでも人は、首が無いと死ぬ。この通り道が無いというだけで。
「頸神経を一撃で砕く」
どうやら俺の死因は、首を砕かれる物になるらしい。そんな芸当、人間じゃあとても不可能な筈だ。せれど、目の前の男ならばそんな事は簡単に出来てしまうのだろう。
獅子王司は良いやつだ。俺を殺す事なんて簡単な筈なのに、態々苦しまない方法を選択する。
「千空。……出来れば、殺したくはない」
俺も出来れば殺されたくはない。当然だ。
けれどどうしてだろう。お前ならばと納得している自分がいるんだ。テメーと俺とが戦ったならば、結果より上手だった方が生き残るんだろうって。弱肉強食なんてチャチな言葉が脳裏をよぎる。
「今ここで、永遠に誓ってくれないか。科学を捨てると」
それは出来ない。
それは、俺の首以上に俺の頭を支えている。
「無理だな……それだけは」
この頭を、重みを支えているのがこの細い首だとしても。この思いを受け止めているのは科学だから。どちらを砕かれて、潰されて、死ぬとしたら。
まだ首のがマシに思うほどに。
「……」
司の声が火の音に紛れて爆ぜる。初めての友達。そんな言葉を死の間際に言われるこっちの気にもなれってんだ。
「……あぁ、かもな」
首が折れて、俺が死んでも。
科学がある限り。
おわり
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ななし@22eb3e
いつも作品楽しませてもらっています!!作業過程が見れるのすごく嬉しいです…!
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