意味が分かると怖い話風。
表現の意味が分かると胸糞描写有りなので、閲覧の際はご注意ください。
ある朝、家の庭にゴミが落ちていた。
小さなビニール袋一つ分ほどあるその小さなゴミは、窓を開けてすぐの所にその身を横たえていて。
「まぁ。誰かしらね、こんな所にゴミを置いたのは」
その時は特別何とも思わずそれを拾い上げ、自宅のゴミ箱に放り込んだ。きっと誰かが捨てたものが風で転がり庭に迷い込みでもしたのだろうと、そう思っていた。実際、手に取ったそのゴミは、そうも思えるほど重くは感じなかったのだ。
そこから今日に至るまで、ゴミは毎日のように置かれるようになった。日によってその大きさはまちまちだったが、腹が立つことが一つ。
それはゴミを置かれるようになったことも勿論そうだが、袋で落ちていれば処理しやすいものが、辺りに点々と散らばっている事があることだった。よそ様のゴミをまじまじ見るのも悪趣味かと顔を背けながら処理をする間、何故自分が知りもしない他人のゴミにこうも気を遣わねばならないのかと一々腹を立てながら処理をするのは、なんというか、知らぬ人の嫌がらせであるのならば、犯人を突き止めて一言文句を言ってやりたいくらいだった。
そうして今朝も、変わらずゴミは落ちていた。私がゴミを拾うのに開けた窓からするりと、飼い猫が外へ繰り出していく。
「あまり遠くへ行っちゃダメよ」
その後ろ姿に声を掛けながら、今日のゴミを拾い上げる。
水分を含んでいるのか、そのゴミはずっしりと重かった。
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「へぇ、それは大変だね」
学友と連れ立ち近所の喫茶店でお茶をした際、そのことをふと思い出して話題にすると、その友人はひどく同情し、一緒になって腹を立ててくれた。
「いやだな、きっと嫌がらせだよ」
「やっぱり、そうかしら」
「きっとそうだよ!」
そう言うと友人は僅かに身を乗り出す。私自身はそれほど深刻に考えていなかったが、この友人にとってはそうではないらしい。
「見つけようよ、犯人」
「ええっ、別に見つからなくてもいいわよ」
不思議なもので人が代わりに怒ってくれると、こちらは妙に冷静でいられる。毎日ゴミが落ちていて処理が面倒だというだけで特別実害も無し。それはまぁ実際片付けている時は腹も立つが、もし突き止めた時に逆上されたりしたら、その方がもっと大変だ。
「何を言っているの?人の家にゴミを捨てて行くなんて、失礼にも程があるじゃないか!」
「確かに、そうだけど……」
そう言うと友人はすっかりその気になって、さっそく私の家に行こうなどと言って席を立った。まだドリンクを飲み足りなかったが仕方ないとこちらも腰を上げる。
会計を済ませて店を出ると、二人並んで歩道を歩く。他愛ない話、そよ風、優しい時間。友人と居る時間は何とも言えず心地が良かった。
そんな時間に水を差すように、道端にゴミが一つ落ちていた。いつも家に落ちているのよりも少し大きな、片手で持つのには骨が折れそうな大きさだ。
友人はそのゴミをちらと見ただけで、気が付かなかった振りをして通り過ぎようとする。一方の私は、つい足を止めてそのゴミを拾ってしまった。その大きさ相応の重量に、声を掛けて持ち直す。
「ちょっと、何してるの?!」