生まれつき俺には、人には見えないものが見えていた。
それらは妖精のような、生き物の形でこの目に映る。
大地と生き、風を渡り、水辺で歌い、炎と踊る。
この世界で四元素と呼ばれているものが、俺の目には生き生きとして見えたのだ。
この世界のことは、母と二人だけの秘密だった。
とは言っても、この不思議な世界は母の目には映らず、唯一目にしていたと聞く父は、幼少の頃に他界した。
普通は見えないものが見えてしまうことで周囲からの目は冷ややかだったが、特別気にしたことは無かったし、無理に理解してもらおうとは思っていなかった。
だがそれ故に、この世界で起きたことに関しては誰にも相談が出来ないのだ。
ああ……誰か教えて欲しい。
魔法陣の中から突如として現れたこの女性に対し、いったい俺はどうしたらいいのだろうか!
ーーーー
高等学校第二学年、季節は秋。
大切にしていた母を亡くして、早くも数か月が経過しようとしていた。
父が他界し、女手ひとつでここまで俺を育ててくれた母。
それがもうこの世に亡いという実感は、あまりわかなかった。
何もかもが味気ないというか、何に対しても張り合いがない。
そして何よりも今一番つらいのは、唯一の理解者を失くしてしまったことだった。
寄る辺ない気持ちは日に日に増していくばかりなのに、平穏無事な日常に波風が立つことは一切無く、それが腹立たしいくらいだった。
考えなければいけないこと、やらなければいけないことは沢山あった。
沢山あるのにどれも手にはつかず、ただぼんやりとしたまま時間だけが過ぎ去っていった。
放課後、昇降口で靴を履き替え外に出た俺を、一際冷たい木枯らしが吹きつけた。
――もうじき季節も移り変わってしまうというのか、この季節に母を残したまま。
時が経つのを自覚すればするほど、行き場も無い無意味な焦燥感が募るばかりで、息が苦しくなる。
理解者さえいてくれたなら、肩の荷も少しは下りたのだろうか。
鬱屈として俯いた顔に影を落としていた前髪を、風が悪戯に弄び、さあっと通り過ぎていった。
いつになく元気に飛び交うその姿を見上げて小さく息をつく。
気を紛らわせに来てくれたのだろうか、いや、きっとただの気まぐれに過ぎないだろう。
例えそうだとしても、彼らを見ている間は自分が独りではないと錯覚していられるので、随分と気が楽になる。
お陰で母の死後、彼らを見ている時間が甚だしく増えたので周囲に不気味がられてしまい、より一層浮いてしまった訳なのだが。
それにしても今日は風も強いが、空気がひどく乾燥している。
よくあるボヤ騒ぎが起こるような場所に集まってくるのが火の妖精なのだが、それがたった今、足元をスッと通り過ぎていった。
どこかで火種でも撒かれているのだろうか?
学校でも何度か調理室や化学室でその姿を目にしたことはあったが、屋外で目にすることはあまり無かった。
素知らぬ顔をして帰ろうかとも思ったが二、三とその姿を目撃してしまっては到底無視も出来まいと、何食わぬ顔で後をつけてみることにした。
下校する生徒、これから部活へ向かう生徒たちの目も知らん顔で、わいのわいのと楽しそうに忍び寄る火の妖精の後をついて行くと、納得のいく元凶を見つけることが出来た。
それと共に、ひどく落胆する。
場所は中庭。
人気も無く、ちょうど大きな木の陰に隠れて方々から死角になった空間に数人が集まって煙草の煙をくゆらせていた。
――なんというか、実にくだらない。
待っていたのが修羅場だったらだったで頭を抱えるところだった訳だが、実にありきたりで、面白くも何ともない答えだ。
わざわざここまで来た末の事に納得がいかず、未練たらたらにドカッとベンチに腰掛ける。
何ヵ所か置かれている内の、ちょうど様子を見ながら座れるものに、それもわざとらしく溜息をつきながら座ったにも関わらず、素行の悪い不良少年らは意に介する様子も見せなかった。
相も変わらず品悪く笑いながら談笑し、煙草を吸う姿に嫌気が差して視線を背ける。
背けた視線の先に居た、新たに集まって来た火の妖精を見て怪訝に思い眉をひそめる。
おかしい、それにしては数が増えすぎではないだろうか?
ちらほらと集まりだした火の妖精たちは不良たちを囲うようにして、今か今かと何かを待っているように見えた。
何を、などと愚問である。
よくよく見ると、不良たちの手に持たれているはずの灰皿がどこにも見当たらない。
まさかと思い様子を見ていると、一人が灰を地面に落としているのを目撃してしまいほとほと呆れ果ててしまった。
それはもう、格好の餌になって当然というものだろう。
挙句吸殻を地面に落として靴で踏みつけたのを見て、いよいよ黙っていられなくなってしまい、ゆっくりと腰を上げた。
ーーー
「……でさ、〇組のアイツが……、うああ?!」
愉快に話していた一人が突然、短い叫び声をあげた。
何事かとそちらを見るよりも早く、頭から水を被ってしまい同じく声をあげる。
それは全員が同じだったらしく次々に叫び声があがるが、一向に放水が止む気配は無い。
「誰……っ、おい!やめ……っゲホ、やめろ!」
「つめてぇ!うわぁ!し……死ぬ!」
蛇口から出る水は当然ながら真水である。
それがジェット噴射さながらに全員を襲い、そこら一帯を水浸しにして地面に溜まるほどの頃になって、ようやく放射が止められた。
全員が全員、全身びしょ濡れで風に吹きつけられ、芯から冷えて思わず身震いしながら顔を拭う。
あまりにも突然の事に犯人の詮索など頭にも無く、揃いも揃って顔を見合わせた。
「……は、ふっざけんな!誰だ、誰がやった?!」
その中でいち早く覚醒した一人が木陰から飛び出していく。
それに続くように次々と出ていき、取り残されたが故によく見えるその姿に再び唖然として立ち尽くしてしまった。
「芦屋だ……アイツ、やりやがったな!」
ーーー
「クっふ、ハ……ハーッハッハ!」
中庭にある花壇への水やり用でそこにあったのであろうホースを持ったままぞろぞろと沸いて出てくる不良どもを見ていたが、その様があまりに滑稽で思わず笑ってしまった。
怒り心頭の様子だったが、濡れ鼠な上に子犬のように震えていては、まるで迫力が無い。
「っき、さま……何笑ってんだ、ふざけんなよ馬鹿野郎!」
一番最初に飛び出してきた男が眉間に青筋を浮かべて怒鳴り散らかす。
そのテンプレート張りの罵り文句に、少しは愉快な気持ちになっていたのが興醒めてしまった。
「つまんな……ふざけてたのも馬鹿してたのも、そっちだろ」
呆れて取り合う気も無くなってしまい、使ったホースを元の位置に戻していると、先ほど怒鳴ってきた男――恐らく不良共のリーダー格なのだろう、その一人がずかずかと近づいてくるのを視界の端に捉えた。
さて、何をしてくる気だろうかと身構えていると、髪を鷲掴みにしてグイと上向かせられる。
「おい……言葉には気をつけろよ、二年坊主が」
本当に、胸糞が悪くなるほど典型的で月並みな不良だ。
痛みよりもその粗末さ加減に思わず顔をしかめ、きつく睨み返す。
「三年生にもなった先輩サマが、校内で喫煙なんかしてて良いんですか?知りませんよ、進路に差し支えても……ああ、差し支えるほどの進路じゃないんですかね」
分かりやすく焚きつけてやると、まんまと頭に血を上らせた男が拳を振り上げた。
防ぐことも出来たのだが、素直に一発食らってやる。
横っ面に拳が入り、どうやら口の中を切ったらしく、じわと血の味が広がった。
覚悟はしていたがその衝撃に視界が眩み、殴られた場所がひりつくように痛む。
「人のこと馬鹿にすんのも大概にしろッ!」
男は頭から手を離すと胸倉を掴み上げながら、威圧するように怒鳴りつけてくる。
――嗚呼、本当に有り難う御座いました。
長い前髪がこの表情を隠してくれていたのが、唯一の救いだったと言えるだろう。
俺にとっても、この男にとっても。
滅多に無い機会を手にして、高揚に血が沸きあがる。
正当防衛という建前と、不正行為の粛清という口実をもって、俺は今、この男を〝一発なら〟殴っても許される権利と資格を得た。
「……クっク、」
思わず漏れ出る笑い声を聞いて男の動きが鈍った隙をついて胸倉を掴むその手を払い退けると、こちらから胸倉を掴み返す。
この拳から逃げられないように。
打撃音と鈍い音を立て、同じく横っ面に入った拳の衝撃に数歩後ろによろめいた男は、無様にもそのまま後方に転倒。
取り巻きたちの囃したてるような空気が一変し、途端に及び腰になるとどよめきだした。
どちらも軟弱すぎて話にならないが、ここ最近の鬱憤を乗せて一発かませられたのは非常に痛快だった。
これ以上歯向かってくる哀れな犠牲者は出てこないだろうかと辺りを見回すが、どうもその気配は無く。
これで打ち止めかと息をついて踵を返すと、騒ぎを聞きつけた先生が血相を変えてやってきた。
「お前たち、何をやってるんだ!」
先生が駆けてくるのを見て数名が一目散に逃げだした。
みっともなくて情けないその姿をせせら笑う俺の腕を、先生が掴む。
「答えなさい!こんなに騒いで、いったい何をしていたんだ!」
しまった、と内心舌打ちする。
今になって駆け付けた他人には、パッと見ではどちらが悪かったかなど判別がつかないのだと、気付いた時には遅かった。
「芦屋が吹っ掛けてきたんだ!水ぶっかけられて、殴られた!」
そう、こういうのは早いもの勝ちなのだ。
後から何を言おうと、例えそれが真実であってもただの言い訳になってしまう。
忌々しく思い男を見る俺の肩を先生は両手で掴み、激しく揺さぶった。
「水を?それに、殴っただと!芦屋、全くお前は何を考えているんだ!」
「違う!そもそもそいつらが、」
「言い訳はよしなさい!素直に謝ったらどうだ!」
謝る?俺が?
悪いことをしていたのを止めて、不祥事を未然に防ぎ、手をあげたのも向こうからで、やり返してやっただけなのにも関わらず、俺が謝れと?
ろくに人の言い分も聞かないで、ふざけるのも大概にしてほしい。
「芦屋!聞いているのか!」
ふつりと、何かが切れる音を聞いた。
それは紛れもなく内側にある何かで、心の底からこれ以上は我慢ならないと一気に膨れ上がって、弾けてしまった。
「ッるせぇ!人の話を聞きもしないのはそっちだろうが!!」
大声で怒鳴りながら先生の両腕を打ち払うと、足で蹴って押しのける。
後ろによろめき、突然のことに唖然とする先生が我に返るのを待たずに畳みかける。
「煙草吸ってたんだよ、そいつらは!吸殻も落ちてる!確認しろよ!」
むかっ腹がたった勢いのままに言い放つと、唖然としていた先生の顔がみるみる内に赤くなっていった。
「お前……!人を殴った次は、先生を足蹴にしたな!」
この一言で、怒り狂っていた心奥が見る間に冷え切っていくのを感じた。
ああ、これはダメだ。
こいつには何を言っても通じない。
そう思うと同時に、こんな話も通じない、どうしようもない奴が教鞭を執っていられる学校自体に嫌気がさしてしまった。
「とにかく来なさい、処分は他の先生とも相談して決めてやるから」
「いや、その必要はありません」
連れて行こうと掴まれたその手を振り払うとピシャリと言い放つ。
「……もう俺、学校来ませんから。」
ーーーーー
ようやく人心地つくことが出来たと、空き地を囲うように置かれたブロックに腰を下ろして息をつき、がくりと頭を垂れる。
あの後、喚き散らしながら追いかけてくる先生を巻くのにえらく苦労した。
生憎と足は遅くも速くもなく、体力もそこそことあっては逃げ足だけでは到底振りほどけず、やむを得ず家屋の物陰や細道などの地の利を駆使して逃げ回ること四半刻ほど。
「しつこかった……」
まさかこうまでしつこく追いかけ回されるとは思ってもいなかった。
ああも人の話に耳を傾けようとしなかった人だ、「もう来ない」というその一言も聞き流されるものだと思っていたのに。
勢い余って、とんでもないことを言ってしまった自覚はあった。
だが、撤回するつもりは毛頭ない。
それ程楽しくもなく充実感も無かった学校生活に対して、何の未練も残ってはいない。
もう二度と、あの学校に自ら足を踏み入れることは無いだろう。
さて、考えるべきは今後のことだと重い腰を上げると、空き地に群生している背の高い草の群れが風にそよぎ、何とも心地良い音を奏でた。
『……、……――』
心を落ち着かせてくれるようでいて、そっと背中を押してくれるような。
そんな細やかな音に混じって、何か、声が聴こえたような気がした。
凪ぎ始めていた胸が、途端にざわつきだす。
気にするほどのことではない筈なのに、気のせいで済ませてしまえばそれで終わりだというのに、その声が気になって仕様がない。
聞き取れもしないその声に、何故だか呼ばれているような気がしてならなかった。
例えるのなら、不意に聞こえてくる鈴の音のような不穏な雰囲気。
それでいて、この変わらなかった日常に波紋を立ててくれる決定的な何かであることを、直感で感じ取っていた。
どこから聞こえてくるのかも分からないまま歩き出すと、程なくして向かい風が吹き始めた。
行く手を阻む程の強いものではなく、そっと優しいそよ風が、先程の声無き声を運んできてくれる。
『……、……――』
近付いていっているのは何となく分かるのに、何を言っているのかは全く聞き取れそうにない。
まるで水中で聞く声や音のようにくぐもって不鮮明なその声は、どうやら耳の奥、あるいは脳内に直接響いてきているらしい。
ようやくそれに気が付いた頃、俺は近所にある人気の無い雑木林の中に足を踏み入れていた。
木々の隙間を縫いながら進む頭上を、妖精たちが通り抜けていく。
陰気な雰囲気漂う林の中を進むにつれて妖精の数が減り、ぐっと胸を締め付けられるような、妙な圧迫感を覚えて首を傾げた。
この感覚には、覚えがある。
「陰の気が溜まる場所には邪が出る」と、「だから、決して近寄らないように」。
そう、母から何度も言いつけられていた。
それを思い出してふと我に返り、立ち止まる。
一体自分は何をしているのだろう?この声の主が自分に害を為す可能性だって、決してゼロではない。
今なら引き返せる、今なら。
――今から引き返して、どこに戻るというのだろう。
結局自分の居場所など、現状どこにもありはしないのだ。
ああ……もう、いいじゃないか。
例えこの先に何が待っていようと、これは自分だけの問題だ。
止めてしまった足を再び踏み出す。
一歩、一歩と進むに連れて不快感はいよいよ強まり、頭痛までも伴いだした頃になって、ようやくそこに辿り着いた。
辿り着いたそこには、何もなかった。
何もない開けた空間だけが、この薄暗い雑木林の中にただ忽然とそこに在ったのだ。
『……、……――』
呼ぶ声が、聞こえる。
声が、音が、自分を喚べと囁き掛けてくる。
喚べなどと言われても、何がなんだかさっぱり分からない。
それよりも頭が痛い、ガンガンする。
何だこれは、何なんだ?
『……、……――』
うるさい、うるさい。
もう勘弁してくれ、苦しい、痛い――。
息苦しさに膝をつき、両手を地面につく。
するとそこから何か空気が吹き付け、自分を囲うようにして魔法陣が現れた。
切れかけの蛍光灯のように明滅を繰り返す魔法陣を呆然と見ていると、まるで𠮟責するように頭痛が強まる。
待ってくれ、これは一体何なんだ?
この魔法陣は?ここから吹き出してくる〝ここではないどこかの空気〟は、一体何だというのか。
『……、……――』
混乱を極めた頭の中に声が響く。
先程までくぐもって聞こえていたそれは、鮮明とまでは言い難いがようやく何か言っているくらいには聞こえるようになった。
全部は聞き取れなかったが、その中でただ一言、すっと頭に入って来た言葉がある。
それは、名前だった。
これはきっと、この声の主を喚ぶための鍵だ。
口にしたら最後、何が起きてもおかしくはない。
それでも俺は、その名前を口にする。
あらゆるものからの解放、ただそれだけを求めて。
「……リリス」
今にも消えそうに明滅していた魔法陣が鮮明に光り輝き、足元から風が巻き上がる。
まぶしさに一度は目を覆ったが、何故かそれを見届けなければならない気がして細く目をすがめた。
光の中に、ぼうっと人の形が浮かび上がる。
徐々に明確な人の形となっていった光は紗を纏い、それが粒子となって巻き上がった。
風が止み、そこに残されたのは一人の女性。
柔らかな髪を掻き上げて小さく息をつくと、こちらを見下ろし口元だけで器用に笑う。
「やっと私を喚んだわね、待ちくたびれたわ」
ーーーーー
突如として魔法陣の中から姿を現したこの女性だが、あの後どうしたのかと言うと……ただひたすら、喋り続けている。
さながらマシンガンの如く話し続けており、こちらが言葉を挟む余地など一切無い。
最初こそ混乱した頭ながらも真剣に話を聞いていたのだが、時間が経つにつれてどうやらそれがただの雑談、しかも愚痴に過ぎないことに気が付き、呆気にとられてしまった。
よくもまぁこれだけ一方的に話し続けていられるものだと、一周回って感心してしまったくらいだ。
辛うじて耳に入って来た内容だけ簡単にかいつまむと、どうやらこの女性は過去に何度かこちらに対して呼び掛けを行っていたらしいという事と、どうやら俺が、いざ喚ばれてみたら彼女の望んでいたような逸材ではなかったらしい、という事だった。
あとは聞いてもよく分からないような身の上話だったり、なにやら熱く野心を燃やしている旨の話だったりと、要領を得ずまとまりの無い話だけがだらだらと続くばかりであった。
……先程までの緊迫した空気はどこへやら。
「ちょっと、人の話聞いてる?」
あくびを噛み殺した頃になってようやくそちらの話を聞く姿勢に身が入っていないことに気が付いたらしい女性、リリスが不満そうな声を上げた。
「聞いてても意味が分からなくて、眠くなってきた所」
「失礼な奴ね……!」
そっくりそのまま返してやる、と今度は噛み殺したりせずに大きなあくびをしてやると、彼女は呆れたと言いたげに額に手をあて、ため息をついた。
「まぁいいわ、仕方ない。こうして伴侶になっちゃった以上、貴方で頑張るしか無い訳ね。いいじゃない、望むところよ」
そして何やら独り合点したようで、小憎らしいものを見る目でこちらを見下ろしてくる。
「待って、伴侶って何?」
勝手に話が進んでいる。
いや、聞いていなかった部分にそういった旨の話をしていたのだろうか?
「伴侶は伴侶よ、言葉の意味くらい自分で調べなさい」
「そうじゃない、言葉の意味じゃなくって、」
発言し終わるのを待ってはくれず、人差し指でこつんと額を小突かれる。
にんまりと笑った彼女の輪郭が、ぼやけていく。
「うるさいわね」
やがてその姿が完全に消え去った後も、耳の奥から聞こえてくる声が止むことは無かった。
ーー
出会いの話、これで締めますー!
長々としてしまいましたが、ご拝読ありがとうございました!
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虚匣「序章」
初公開日: 2020年04月19日
最終更新日: 2020年05月16日
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創作キャラクターのマスターとリリス、ちょっと長めのお話。
完結済み。
短編2
マスターと晴明、リリスの小話マスターの誕生日(7/7)の出来事。
Kei
空目
何がおかしいの? 創作読切小説。意味が分かるとやや胸糞と思われる描写があるので、閲覧の際はご注意くだ…
Kei