出勝ワンライ お題:マンネリ
 授業終了のチャイムが鳴り響き、ガタガタと音を立ててそれぞれが立ち上がる。寮生活となった国立雄英高等学校の生徒たちにとって、食事は死活問題。早い、安い、美味いの三拍子揃ったクッキングヒーローであるランチラッシュが提供する食堂の世話になる者が大半を占めていた。
「あ、デクくん。さっきの課題の和訳、わかった?」
「要するに"if"の仮定の派生形だから、それぞれがどう組み合わせられるのかを考えるといいんじゃないかな」
「可能性の多寡となると、暗記するしかないだろうな」
「うーん、いまいちピンと来ないんよねえ……轟くんはどう?」
「そうだな……まあ、確かにうまく思いつかないな……」
「先ほどの例文は……俺たちがこれから思うことかもしれない」
"As I had noticed earlier, would never become irreparable."  
 先ほどのプレゼントマイクの英語の授業の宿題について話をしながら、それぞれ好みの食券を購入して列に並び、目当ての食事をトレーに乗せる。混雑する時間ではあるものの、広い食堂には空席がないわけでもない。
 課題は寮で改めてやることを約束して席につく。一度列が離れたこともあってか、話題は互いの食事に移った。
「緑谷君は今日もカツ丼かい?」
「う、うん……今日もって言うほど食べてるかな?」
「緑谷はいつもカツ丼だな」
「うんうん。デクくんはカツ丼、轟くんはお蕎麦って感じやね」
「美味いからな」
 いつもどおりの会話だ。いつもであればこの後に栄養や身体づくりの話が続くことが多いが、今日はそうはならなかった。
「そういえば、緑谷君も轟君も、いつも同じものを食べていて飽きはしないのか?」
「確かに。いくら好きでも、味も同じやったらこう……マンネリっていうか……思わん?」
「麗日さん……その言い方はちょっと……」
「俺は飽きたことはねえ」
「そういうもん?」
「ああ」
 四人掛けの席での座り方はいつも同じだ。席の場所が変わることはあっても、なんだかんだ並びが変わることは少ない。それぞれが手元の食事をのんびりと進めながら、視線が移る。
「うーん、僕はそう思ったことはないかなあ。好きなものはずっと好きだよ」
「緑谷君のヒーローへの情熱は、幼いころからと言っていたな!」
「デクくんの部屋、オールマイトでいっぱいやしね」
「ということは、緑谷も爆豪も、どっちもどっちにも飽きてないってことか」
「……っげほ」
「デクくん!?」
 あまりの不意打ちにか、口に含んでいた米粒を吹き出すことは辛うじて免れたものの、耐えるばかりに気管に入ってしまったらしい。差し出された水を飲んで落ち着いたところで、握りしめて心なしか歪んだ箸を置く。
「轟くん」
「何だ?」
「それは、なんというか……どうだろうね」
「でも、なんかわかる気いするなあ。小さいころ遊んでた友達で、今も交流ある子っておらんもん」
「む。確かに、俺もそこまで親しい友人はいないな」
「かっちゃんはそんなんじゃないってば……」
"As I had noticed earlier, would never become irreparable."  
――もっと早く気付いていれば、取り返しのつかないことにはならなかったのに。
おしまい!!!
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出勝ワンライ
初公開日: 2020年05月10日
最終更新日: 2020年05月10日
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