自分といると不幸になると思ってる尾形が自分から杉元が離れるように振る舞う
自分に淡い思いを抱いている義理の弟を使って
・付き合ってる杉尾
・幸せが怖い尾形
・なんとしても尾形を手に入れる杉元
・異母兄に少しだけ情を感じている勇作さん
自分の母の再話をする気分はどうですか?
幸次郎と妾/勇作と尾形
勇作は構図に気がついてクレメンス
墓参りしろ
パラレルワールド ラック値は高い 精神の似ている他人
尾形百之助
社会人 勇作より3歳上 父親は石油会社の役員 母親はサナトリウムNow 異母弟に花沢勇作(社会人4年目)
杉元佐一
社会人 尾形の1つ下 父母はでてこんしいいやろ
Let’s kill this love
なんてことない休日の日、尾形は自分が幸せなことに気がついた。
5月。気持ちのいい季節。寒くもないし、暑くもない。ぬるま湯というほどではない空気と布団の温度の差はわずかだ。ぼんやりと眺める空には雲が流れていく。電柱に止まったカラスがカァカァと鳴いている。風は弱く、公園で騒いでいる子供たちの声がよく聞こえた。軽く身動ぎし、ベッドの隣で眠る顔を見つめる。
幸せだな、と思った。
その言葉が染み渡るように、今の自分にしっくり当てはまるのだと気がついてしまうと途端に寒気が背中を震わす。幸せだ、と思ったのか?俺が?それはいけない。幸せはいけない。そんなもの手に入るはずがないのだから。体が芯から冷たくなっていく感覚で、脳天まで冴え渡る。ここにいてはダメだ。すぐにでも逃げ出さなくてはいけない。ゆるゆると続けてきた関係も今日で終いだ。頭の中でパチパチとピースが嵌っていくようだった。逃げ出す算段はついた。
幸せに出会うけど、どうせ終いは悲しくなる。
訳がわからないほど気持ちよくなって、それがどうにも気持ち悪い。まるで幸せを享受しているかのようで。
幸せに行く自分を自分で止めてしまうのが正しい。
優しい愛は俺の首をゆっくりと絞めていく。嘘をつこう。お前も愛に侵されてしまう前に。
これまで数度しか会ってなかった義弟が就職で俺の会社に来た。元はと言えば、俺がくそ親父のコネで彼の会社にいたから会うことになったのだが。数年は外で社会を知るためだとか行ってふつうに仕事していたのに、自分の親の会社に入ればすぐに役員クラスだ。出向してたのでもないのに課長ってどうなってんだよ。ちくしょう。
これ幸いと、軽くカマかけてみたらころっと落ちた。
「ねえ、協力してくださいよ」
心にもない言葉を本気になって言う。これもあいつのためだ。いいじゃないか、お前は。
「じゃあ誰でもいいのかよ」「いいよ、勝手にしなよ」
We don’t talk to anymore
勇作さんのことを肯定されて、身を引こうと決意した杉元。全ては尾形の思うまま。
俺たちの間に話すことはない。そうなってしまったんだ。昔みたいに、笑うこともない。消して行く写真を見ていて泣いていた。
Attention
杉元は尾形のことが忘れられないまま。その視線を知りながらも尾形は勇作と付き合う。
俺の気を引こうと、杉元がよく話かけてくる。騒ぐ奴はじっと熱の籠もった目で俺を見る。俺はそれがなぜかを知っているから避けている。俺はお前のものだった。けど、一緒に帰ることはできない。知ってるよ、その服。お気に入りだったな。
尾形は俺のものだった。だから取り返す。それだけなんだ。心が欲しい。
うわの空だったようで心配そうにこちらを見る。
「はよ」
「なんだ?」「なんか用か?」
「好きだ」
「なんだその高校生みたいな口説き方は」
抱きかかえられたその腕を拒絶することが出来なかった
「ただ、俺はお前を愛してるって言いたいだけだ」
「そうか」
吹き消した線香に似た匂いがした。
隙間だらけの心は何を入れたいのか知っている。
「勇作さん」
「はい」
優しい目元は母様譲りで、俺の知らないその家庭が明るい色を描いていたことは確かだ。正しい子供と、正しい母親。正しい愛を抱いている彼の顔はどんなだっただろうか。俺の母が知ることの無かったそれは想像できない。俺の目を恨めしげに見ていた彼女はきっと光を見出していたのだろう。
間違っているのは俺の方だ。
「別れましょう」
「はい」「だって、あなたには好きな人がいるじゃないですか」「お遊びにしてはよかったですよ。あなたを少しも笑わせることが出来なかったことは心残りですが、それはあの人の領分なのでしょう」「早く行ってください」「これでも俺、泣くの我慢してるんですよ」「覚えていないと思いますが、はじめて会ったときは祖父の葬式で、詰襟を着たあなたを見たときにあなたが家族だったらよかったのにと思ったのです」
「ほんとだ」「あなたも泣くんですね」「兄弟ですよ、俺たちは」
「幸せに」
「あなたも幸せに」
勝手に幸せになるなよ。
俺と幸せになれよ。正しいとかは俺らで勝手に決めればいい。だからもう、どこにもいかないでくれ。
俺だって間違える
お前もだけど
だから尾形、もっと二人で間違えながら一緒に生きよう
間違えたって次に間違えなきゃいいだけだ