「ええ?本当にお前らカップルみたいだな」
「うん?なんでです、普通ですよ普通」
夜遅く、しんとしたリビングで一人珈琲を飲みながら寛いでいると隣にストンと座った黒スウェットを着た可愛い末っ子。聞けば如何やら明日の出かける準備を済ませた後だったらしい。共に出かける相手は言わずもがな知れている。俺の記憶が正しければついこの間のオフだって二人で何処か出かけていた筈だ。予想は見事に的中し、にこやかに明日の予定を語るそのあどけなさの残る横顔はまるで恋をしているかのよう。まるで恋人のようだ、そうホソクが呟いてもあっけらかんと否定するジョングクは、とっくに芽吹き始めていた青い恋心にまだ気づいてはいなかった。
_____いつだって同じ景色を見たいのだ
前に、次はここに行きたいねと話していたところだった。マネージャーからオフの知らせが入ったのはそんな矢先の話だ。スタジオから宿舎に戻り、それぞれ自由に寛ぎ始める。そんな中キッチンで水を飲んでいる兄にチラリと目配せすれば右手を上げ親指をくいっと二回。それを見てコクリと頷けば満足したように笑って、僕もそれに微笑み返しそのままリビングを後にした。自室で少しだけ作業を進めた後、シャワーを浴び寝る支度を済ませ、向かうのは己の部屋ではない。ノックもせずに慣れた様子でそのドアを開ければベッドで既にくつろぎモードに入った兄が居た。
「待ちましたか?」
「んー、そうでもないよ」
それよりも早く、と僕を急かす様にベッドの空いている隣のスペースをとんとんと叩き此方を見つめる兄。それを見て自然と上がっていく己の口角。ワクワクしながら隣に寝ころべば、納得したような表情でスマホを弄り始めたテヒョンイヒョン。暫くして、やっぱり行くなら此処だよねの言葉と共に見せられたスマホの画面に映し出されていたのは前々から言っていた写真家の中で密かに有名である観光地。
「でもほら、こんなとこも見つけてさ、こっちも気になってて…グクはどう思う?」
ヒョンがこう提案して甘えるように僕の名前を呼ぶときは新しく見つけた方に興味を示している時だから。
「わ、こっちも素敵ですね。でも今の時期ならこっちの方がいいですよね、前言っていたやつは季節関係ないですし、いつでも行けます」
ヒョンから気になっていると提案されたのは桜の名所。前々から言っていたところも確かに捨てがたいけど桜は今の時期じゃなければ見られないし、ヒョンに見せられた写真に映る満開の壮大な桜並木と横を流れているであろう小川のコントラストが物凄く良い。それに、桜の花びらが舞い散る中カメラのレンズを覗き込むのもきっと悪くない。こっちにしましょうよと言えば、グクならそういうと思った、と僕が初めから賛同することを知っていたかのような言い方で僕の目を覗き込むものだから全く罪な兄だと思う。こういう彼の魅力に皆惹かれていくのかなとふとそんなことを思った。狡いなあと思うけれど、この二人で出かける場所について悩む時間も、共に出かける時間も、帰ってきてから撮った写真を二人で見せあいながら想い出話に耽るのも、全部楽しいのだから仕方が無い。今だって行く箇所で迷っていたけれど本音を言うならば、趣味の合う彼と行くのならば何処だっていいのだ。だって本当に全部楽しいのだから。兄、テヒョンの撮る写真はどちらかと言えばノスタルジックのような__モノクロームを使ったようなものが多い。静謐で奥深いグレーのグラデーションは無限の光の変化と奥行きを感じさせ、何処かなめらかで威厳すらも感じさせる。時には、色は無いのにも関わらずそこに色づいているカラーが見えてくるようで。それはテヒョンの持っている思考の豊かさと柔軟さが創り出した世界であり、間違いなく、テヒョンにしか撮ることの出来ないものだろう。また、ジョングクの撮る写真は何方かというとカラーが多い。パステルカラーのような淡くて優しい色遣いのものもあれば、時には色補正やフィルターを加え色鮮やかで色彩豊かなものまであり見た景色や人物の切り取ったその瞬間瞬間をダイレクトに伝えてくる。それもまた、感受性が豊かでそれを表現する力を持っているジョングクにしか創り出せない世界。そんな“写真”という共通点を持った二人だから、互いに教わることも多々あれば感銘、刺激を受けることだって多い。こういうオフの日に二人揃って仲良く出かけるようになったのもジョングクがカメラに興味を持ち始めたころだった。それに自分にしか撮ることの出来ないテヒョンの表情がとても好きなのだ。今回はどんなワクワクが、発見が待っているのだろうか。そう予定を立てながら胸を高まらせているこの時間が己にとって一番幸せだった。行く場所が決まればあとの話は早く、出発する時間を決め仲良くカメラのお手入れを済ませれば今日はお開きになる。また明日ね、とそう告げて己の部屋へと戻った。
そして翌日、早起きをし支度を始めれば昨日はどうも何故か上手く寝付くことが出来なかった。久しぶりのオフ、しかもテヒョンイヒョンとの外出なのだから、気持ちが浮ついて寝れなくなるのも致し方無いのだけれども。
「準備出来た?」
自室に置いてある鏡の前でファッションショーをしていれば後ろから聞こえた声。振り向けばドアから顔だけ此方に覗かせたテヒョンイヒョンの姿があった。
「いま終わります!」
お洒落なテヒョンイヒョンと並んだ時に自分だけ浮いてしまわない様に一緒に出掛ける日はいつもよりも少し背伸びしてみる。今日は小さくロゴの入ったお気に入りのブランドのTシャツに淡い色のジャケットを羽織り、下は細身のジーンズを合わせた。髪の毛は少しだけ毛先を遊ばせるようにワックスを丁寧に馴染ませて、最近良くつけている香水を一振り。ベッドサイドの小さな箱に入れてあるアクセサリーの中から適当にいくつかリングを選んで指に嵌めれば準備は万端だ。選んだリングの中の一つはこの前テヒョンイヒョンに貰った細身のシルバーリングだ。カメラの入った小さいバッグ、スマートフォンと財布を忘れずに持って、玄関で待っているであろうヒョンのところに向かえば、ヒョンは既に靴を履き終えて壁に寄りかかっていた。
(今日もかっこいいな…)
袖にさり気ないワンポイントのデザインが入った春を感じさせる薄い水色のシャツに落ち着いた黒のスキニーパンツを合わせているヒョン。ウエストにインしてあるシャツがヒョンのスタイルの良さを存分に引き出している。すごくシンプルだというのに、ヒョンが着ればなんだってお洒落に見えてしまうのだ。それがたとえキャラクターもののダサいTシャツだったとしてもきっとヒョンが着れば一流ブランドと変わらなくなってしまうだろう。たまに自分なら絶対疎遠になるような(まず買いもしないけれど)単色の服を着ているヒョンを見るけれど、なんであんなにも自然なんだろうと疑問を持つことも少なくない。
「なにぼーっとしてんの、行くよ」
「あ、うん」
壁に寄りかかっているヒョンを見つめたまま動かない僕を見て不審に思ったのだろう、怪訝な顔をしたヒョンが僕の顔の前で掌をひらひらと振る。ちょっと見惚れていたのだだなんて言えるわけが無くて誤魔化すように返事をすれば少しだけ声が上ずってしまった。
カット
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雪兎
とりあえず清書してますテレテレ
18:22
雪兎
中途半端に思いつきすぎて全然間が埋まらないんだよなあ…遠い目
50:03
ハッカ
ハッカです!本当にありがとうございます😭💜
51:17
雪兎
私の方こそありがとうございます泣 遅筆ですが温かい目で見てください泣
58:19
ハッカ
じょんぐくがボクシング動画をあげました!ㅠㅠ
60:55
雪兎
見ましたーーー!!てんぱりすぎて全部消すところでした危ない…
70:40
ハッカ
いってらっしゃいませ!笑
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向き
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