ものすごく自己満足・主観的な内容なので、何も期待しないでください。
・「ふーことユーレイ」/名木田恵子
ふーことユーレイの話から始めたいんですけどいいですか!?
先日もちょこっと名前だけ出した、児童向け少女小説(古い)(私が小学校に在籍していたときにはもう既にほとんど古本だった)シリーズで、「とんでる学園シリーズ」というシリーズがあるんですけれども
それの看板シリーズがこの「ふーことユーレイ」でした。
他にも占いトリオキューピッズとかときめきクラブとか有名だったと思うんですけど、
このへんの話は作家の読書遍歴を辿っても村田沙耶香さんくらいしか話してるの聞いたことがなくって、なんか本当に実在していたんですかねあの時間軸は……
作者の名木田先生は、あの「赤い実はじけた」とか「キャンディキャンディ」の原作とかで有名な方なんですけど、個人的にこのシリーズが最も思い入れがあります。
そんな前置きは置いておいて、内容はあれです。
小学五年生の山崎二三五(ふみこ)は、名前がおじいさんの代からのこだわりで数字である、という以外はいたって普通の女の子。憧れの男の子はいるし、意地悪で美人の同級生とは敵対していて、ちょっと並みよりかわいい、というまあまあ普通の女の子。
クラスで流行っているじゃんけん歌があって、それの練習の合間にめちゃくちゃなじゃんけん歌を口ずさんでしまい、
それがなんとユーレイとケッコンしてしまうおまじないなのでした!
という話がシリーズ第一巻「ユーレイと結婚したってナイショだよ」
「グパチョパペリンコグー チョチョンのパヤリングゼンボンのチョキチョコパーのグルンパッチョン」
かな
呼び出された男の子は比村和夫くん。亡くなったのは多分結構最近のことだったと思う。ふーこより一個年上で、顔はハンサムだけど意地悪で頭はいいけど食わせ者、だった、初期は。
ユーレイと間違いで結婚してしまったふーこは、なんとか解消するための方法を探そうとする。そこに和夫くんが言った唯一の方法というのが、「僕のことを本気で好きだって思うこと」
両想いになった瞬間和夫くんが本当に消えて、二巻でどうにか再会しようと目論んで、三巻で和夫くんと守護霊の契約を結ぶみたいな話なんですけど、なんか本当に関係性が好きだったし、今でも全然覚えているんだけどもう一回読みたいなあと思う小説ですね。
印象的なのは、二人の関係の転機になった悪霊、かさねの登場
一番好きな巻は生きている人間で和夫くんと同級生だったデーモンという男の子に横恋慕される「61時間だけのユーレイなんて?」
です。「知り合う前からずっと好き」は名作だと個人的には思っている。
死者は生者に敵わないんですけど、それでもふーこは和夫くんのことがずっと好きだし、
ふーこが死者になっても和夫くんとは会えないという霊界の決めたルールがあるので、死んでも二人は結ばれないんですね。
最後に和夫くんがふーこに生きて欲しいと願った行為に愛を感じました。
読んだの小学生のときですけどね。
・「天使のはしご」/名木田恵子
私の小学生の時の記憶は名木田作品の他にないのか!?
上記はポプラ社で刊行されてたライトノベルっぽい単行本なんですけど、これは青い鳥文庫です。
これは児童書だったけど、内容がヘビーだった。
主人公の女の子は父方の祖母と二人暮らし。
彼女の姉は母親に似ているので、母方の祖父母の家で暮らしている。
主人公は事件のトラウマから声が出せない。その事件というのは、父親が不倫をした母親を殴り殺したもののことで、彼女はその現場を目撃してしまったのだった。
元々母方の祖父母は父に良い印象を持っておらず、この事件をきっかけに完全な溝が生まれてしまった。父似の主人公(紅の絹でもみと言ったはず)は、彼らから可愛がられた経験はない。少し貧しい父方の祖母と暮らすことになる。
ある日、一歳だったか二歳だったか年上の男の子と出会って仲良くなる。彼はキックボクシングで将来を有望とされる選手で、紅絹のこともキックボクシングに誘う。
彼は、紅絹の背後にある事件のことを知っても紅絹に優しかった。
紅絹は、父と母の事件を胸に、彼に向かって強く宣言する。「私は一生、一人の人しか愛さない」
あんなに優しい父を裏切った母、愛しているのに母を殺してしまった父、両方を憎んだ故の発言だった。
一巻のクライマックスで、この物語のヒーローであるそーちゃんは、ライバル・竜人との一戦のため、リングにあがる。
しかし、この試合の結果、リングに倒れた彼はそのまま意識不明の重体に。
これは紅絹という女の子が再び立ち上がるためのストーリーなんですけど、
同時に「一生、一人の人しか愛さない」と誓った彼女が、愛した唯一の人を失い、次に好きな人を作ってしまった自分を赦せるかという赦しの話でもあります。
めちゃめちゃいいのは竜人が後に語った「好きな人の定義」の話。
好きって言われて、自分も好きだって思ったから好きだって返した、でも本当に好きっていうのはそういうことじゃなかったんだ、と紅絹に静かに語るシーン。一番好きなところです。
贖罪と、愛が混同されてわけわからない気持ちになった。
なんかそういう、初めての体験をさせてもらった読書でした……。ルーツかこれは
なんなんだ
・「宿命」/東野圭吾
東野圭吾は白夜行が好きです。
でも白夜行って長いし、誰かにおすすめするのに踏みとどまるところがあるじゃん!?
関係性厨としては秘密も捨てがたいですが、オタクにおすすめなのはぜttttったいに宿命。
今各出版社で一冊ずつ電子書籍を売り出してますけど、
普段読書しない人に向けてもう少し、こう、あるじゃん短編集が、とも思っています。これは余談。妹におすすめするなら「殺人現場は雲の上」。理由はライトミステリだから。ライトミステリの皮を被った激重社会問題も扱った本でわりに読みごたえがあるから。
でも関係性厨には宿命だよ!!!!!
とあるお金持ちの一族間で起こった殺人事件。
刑事である主人公がそこに駆け付けると、初恋の人と再会する。
その初恋の人は、彼が小学校・中学校・高校と、長年ライバルを続けていた男の妻になっていた。
って話で、謎解きを兼ねた最終章が見所ですが、彼らのライバルをやっているときの描写がめちゃめちゃにくる。
主人公は刑事ですが、学生時代は猛勉強をしており、元々医者になりたかった。
ライバルは彼と競うように勉強をし、運動をして、常にトップに立ち、結局彼の方が医者になってしまう。
主人公が初恋の女性と出会ったのは彼と進路の別れた後(浪人時代)で、警察になることを決め、彼女と別れてから、ライバルの男と彼女とが出会う、という時系列です。
この三角関係はまだ序の口で、彼らの関係はもっと複雑なので、本当に最後まで読んで「ハ!?」って言って欲しい。
東野圭吾の初期作品の完成度が好きすぎる。
・「海を見る人」/小林泰三
「アリス殺し」で有名になりましたが、小林泰三の真骨頂は短編だと思います。
何故か「酔歩する男」は数回二次創作でパロディされているのを見たことあるんですけど、私が読みたいのは海を見る人一択なのでここの枠に入れました。
山の上に住む少年と、浜に住む少女が出会う話なんですけど、
世界観というか法則として
「山の上では時間が早く進み、谷の方になるにつれて時間がゆっくりになる」
というものがあるんですね。
同じ一年を過ごしたつもりでも、少年の方が早く年老いるわけです。
どうやらブラックホールが同じ原理らしいです。ブラックホールに近付くほど時が止まって感じられるのだとか。
祭りの間、二人は会うことを許される。けれど、恋愛は「大人になるまでは待て」と親から言い渡されてしまう少年。
でも、自分が大人になったところで、彼女は子供のまま。
一方、少女も大人たちから山の祭りに参加することを阻まれている。彼女が山へ行く度に自分たちより早く老い、自分たちを置いてこの世を去ってしまうのではないか。彼女の両親はそのことを恐れていた。
言い争いをし、それらを振り切って彼女は家を飛び出す。そして、彼女は運河へと落ちてしまうのだった。
発見されたときには海面に落下している最中で停止している。水面に近付くごとに、時間の流れがゆっくりになるためだ。それ故に、誰も彼女を助け出すことができない。彼女の一呼吸は浜の村の一年に相当するのだという。
数十年後。
かつての少年は老人となり、望遠鏡で停止状態の少女をずっと見つめている。
彼女のもとへ飛び込んでいけば、彼女と同じ時空の軸に呑み込まれてしまい、一緒に波に呑まれてしまう。しかし、彼が陸地にいる限り、少女の美しい姿は美しいままで凍結させておくことができるのだった。
という話。
小林泰三は時間軸を操るタイプのSFがうまい。
この人はSF作家なのだけど、ミステリも書くし、ホラー小説でデビューしたのでホラーも多い。でも自称恋愛小説家。なんでや。恋愛小説家を名乗るなら、ミステリ作品を書くときの動機にもっと恋愛感情を縺れさせてほしい。利権と出世欲が動機の事件だらけじゃないか……。
でも、この小説はぐうの音も出ないほど見事な恋愛小説だと思う。誰かこの設定上手に活かして推しカプ書いてくれ。
・「星か獣になる季節」/最果タヒ
イメソンもいいけど、現代詩もどうですか、と思う今日この頃。皆さんどうお過ごしでしょうか。
関係性どうの、の話をし始めるととりあえず一回最果タヒに触れておかないとな、と思っている。
最果タヒは現代詩を主に書いている、が、ご本人は言葉で何かを伝えることを専門にしているので、これと言って括るのは失礼かもしれない。Twitterのプロフには「リリカルを生業にして候」とあるくらいだし。
というわけで、小説である。
あらすじはちょっと説明がめんどくさい。地下アイドルのファンをしている「ぼく」は、地味で根暗で友達もいない。応援するアイドルがある殺人事件の容疑で逮捕されたことを知る。「かわいいだけ」の凡庸な彼女が殺人をしたとはどうしても思えないぼく。同じアイドルを応援していたクラスの人気者「森川」は、彼女は犯人ではないと言い切り、その無実を証明しようとする。
森川は純粋に、少女の無実を信じている。ぼくは、心のどこかでは既に彼女の殺人を確信していて、森川の信心に対して親身になりきれないところがあった。
重苦しい思春期の自我と自尊が、テンポのいい短文というか最早詩のような勢いある文章が、小説のような顔をして居座っている。一応行間ごとにストーリーがあるが、彼らの感情こそが主題のような小説で、殺人事件自体が根幹にあるようで無い。教訓、倫理、推理、サスペンス、何もない。
愛というものをちょっと考えてしまう。人はアイドルより日常を愛するものだという決めつけは確かにあって、周囲の人から問答無用に愛される森川のようなタイプは、アイドルを愛しているからと言って罪を犯すべきではないという決めつけは絶対にある。何が優先順位で、その優先順位を守って遂行して、周囲に呪いをまき散らす、後のことは気にしない。これは確かに思春期特有の病の話だったのかもしれない。
アイドルにクソデカ感情を持っている人におすすめです。
なげえ
あんまり数紹介できなかったな
今日は終わります。