「面倒だが、武器集めなら私が請け負おう」
そう声を上げたのは孔明だった。
国は違えど、軍師としての在り方は変わらない。
「弓兵を二人借りていく」
その白羽の矢が立ったのが、ロビンとアーラシュだった。
「とにかく敵を引きつけて矢を一本でも多く放たせろ。頃合いをみて反撃に転じる」
孔明の言葉に察しのいい二人(一人は千里眼持ちだが)は、言葉を挟まず頷いた。
矢をつがえるという行為は、集中するためのスイッチのようなもので、それが入ると一切の音が世界から消える。人々の怒号もうるさい風の音も。そして放たれた矢が風を切る音だけが響き渡る。どれだけ遠くても、果てで矢が獲物に突き刺さる音まで聞こえるようだった。
ロビンが罠を仕掛けに行っている間に囮になるのはアーラシュだ。障害物の少ない草原を駆け抜け、その姿を仕留めようとアーラシュに矢が降り注ぐ。それを躱しながら弓を引きながらひたすら逃げ回る。反撃の矢は、相手を仕留めるように見せかけこちらが反撃しないわけではないと思わせるため。そうしてより多くの矢を放たせる。
(さすがにこりゃあ、矢の数が多いな)
完全に読み切れずに腕や頬を敵の矢が掠める。時折樹を盾に少し休憩しながら再び飛び出す。
「そろそろお出ましか…」
少数ながらも剣や槍を持った兵たちの姿がアーラシュの視界に入る。少し前に妙に騒々しい声がした。怒号と悲鳴の混じったそれはロビンの仕掛けが発動したからだろう。つまり迫ってくるのは、それを運良く逃れてきた兵たちということか。
「…いやぁ、本当ならもう少し落とせるはずだったんだが…面目ねぇ」
すぐ傍らに戻ってきた気配に。
「いや、ただ駆けているのに退屈してきたところだ、丁度いい」
「はは、アンタならなんとなくそう言ってくれると思ってましたよ」
アーラシュが土を蹴る。矢をつがえて迫る敵を落としていく。先行する後ろでロビンが抜けた敵を落としていく。矢で仕留めながら、弓で剣をいなし、振るわれた槍を躱して跳躍。その槍の柄を助走に、敵軍の中へ飛び込んでいく。その姿が人の中に消えていくのを横目で確認したロビンは小さく舌打ち。
「ったく、俺は前線向きじゃねぇってのに」
そして一度視線を森に流して、再び戦場に戻す。障害物の少ない場所で、宝具で姿を隠しながら残った敵を確実に仕留める。森に身を隠すマスターたちの元へ敵を近づけるわけにはいかない。
「ロビンっ!すまん、一人抜けた!」アーラシュの声に無理矢理体勢を変えてロビンは矢を放つ。
(だめだ、間に合わない!)
迫った敵に崩れた体勢で脚を叩き込む。地面に両手足をついて、森に向かってよろめきながらも足を進める敵を見据えると弓を構える。だがぞわりと肌を撫でた予感に、その場を飛び退く。森から吹く強い風。押し戻された敵に今度こそ仕留める矢をつがえる。
「―――…潮時か」
森から孔明と共に姿を見せたマスターに、ロビンは敵の中に消えたアーラシュの方を見る。するとそれを察していたかのようにアーラシュが姿を見せた。そして一旦こちらに退いてくる。
「もう頃合いか、旦那」アーラシュの言葉に孔明は頷いた。
「了解だ」
引き返すようにアーラシュが再び地面を蹴る。
「まぁ、勤勉なこって」
ロビンはアーラシュの背中を見、自らの弓に二本の矢をつがえて放つ。アーラシュの進む先に突き刺さった矢をアーラシュは走る速度を緩めることなく抜くと弓につがえて放ち、馬上の敵大将を狙う。その矢を敵は剣で弾く。
一瞬の隙。
大振りの剣が次の攻撃に対応するまでの、ほんの数秒。
「マスターっ!!」
敵に向かう速度は緩めずアーラシュが叫ぶ。その声に呼応するようにマスターの令呪が光る。脚力の強化で草原を光のように駆け抜ける。
「アーラシュ!!」
ロビンの宝具で地面から出現する木々の枝へ飛び移りながら敵大将に迫る。跳躍。背後から放たれたロビンの一矢を目視することなく後ろ手に掴むと、とどめの矢を弓につがえる。敵大将と目が合う。落下する身体、それでもつがえた矢は少しもぶれることなく手を離れ、そしてその矢は綺麗な軌道を描いて敵大将の首を射貫いた。
敵大将が倒れ、統率を失った兵たちをロビンの毒が襲う。
敵を見ていたロビンだったが、その足でマスターに近づくと、後ろから抱きしめるように腕を回して口許を覆う。同様に孔明もストールで口許を隠した。
「…んん?」
マスターがロビンを見上げる。
「私毒耐性あるよ?」
「用心にこしたこたぁないでしょ」
そうしてアーラシュが戻るのを待つ。そして全員が揃ったところで孔明が口を開く。
「この矢を回収する」
その言葉にアーラシュが頷き、ロビンはやはり…とでもいいたげに面倒な表情をした。
「あぁ!三国志の逸話!」
今更納得しようにマスターがポンと手を叩くと、その反応に孔明は小さく舌打ちをした。
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FGO弓パ書きたいとこだけ
初公開日: 2020年05月02日
最終更新日: 2020年05月02日
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はじめて触ってみるやつ。メモだけの文章の校正用。