20.タイムトラベラー「救う」「これでおしまい」「アンドロイド」
今日びっくりするほど言葉が出てこないですね
世界を焼くような夕焼けだった。一面茜に染まった空はどこまでも果てがない。人間の眼球より余程広い視野を持ったこのレンズを以てしても、その全てを映すには至らなかった。茜の空に、烏の影がふい、と過ぎった。
カア、カア、カア。鳴き声が遠く聞こえる。烏、何故泣くの。データベースに登録されている童謡が思い起こされ、私は搭載されていないはずの心が休まるのを感じた。ぎしり、と半壊した腕のパーツが軋む音がする。
嗚呼、これで。これでおしまい。私の役目は、ようやくここで。人間の感情に変換するならば、安堵と呼ぶべき感覚がボディ全体に行き渡り、私はそこで、頭脳回線がショートするのを感じた。バチリ、と目元で火花が散る。
――嗚呼、これで。私はようやく、自分を救うことが出来ました。博士。これで私は、貴方にとっての失敗作ではなくなりますか。
いつだって、終わりというのは唐突にやってくる。国の全土を焼き尽くす規模の隕石が観測されたのは、よく晴れた夏の日のことだった。