「君の居ない春に眠る」をお題に書いていく。
春雨は暖かい日に降り注ぐ。手のひらに一粒の雨がぽつんと落ちて、テンゾウは空を見上げた。
灰色の雲があるものの、水色の空も心細げに覗いている。柔らかくて細い雨は、あの人の涙みたいだと思った。
病室であの人の寝顔を眺める。もしかしたら永遠に目覚めないかもしれないと医者からは言われている。テンゾウは恋人だったその人の寝顔を毎日見に来ていた。
その人……カカシは交通事故にあっていた。詳しく言うならば、小さな子供を庇ったのだ。本人は頭を打ち付けて重症。未だ目を覚まさず。
カカシが交通事故に合った日は自分がカカシに別れを告げた日だ。まさかそんな日に元恋人が事故に合ったとはだれも思うまい。
切れそうな縁が不覚にも永遠に切れそうにない糸へと変わってしまい、テンゾウは毎日どんな気持ちで過ごしていけばいいのだろう。
病院からの帰り道、テンゾウは二人が別れたあの場所へ向かう。
ありがとうございました!