「弘樹いんじゃん!!!」
「いや絶対ハリウッドだと最初に死ぬやつなんだよな」
「顔がうるさいって言われた!ヘコむ!」
「いやヘコめ。頼むからへこんでくれ」
いくらなんでもあからさま過ぎないか……。主水の顔を見ると俺と同じような表情をしていた。晋平がおそらく理解せず酒を仰ぎつつ楽しそうに笑っているのが唯一の癒しだ。
「あっ、切れた」
先ほどまで煩く騒いでいた顔が突然消え、レノ聡を示していた正方形が画面上から姿を消した。
「 マジで通報された?」
伏線回収として完璧過ぎるでしょと笑うとコメント欄にも「w」の文字が並ぶ。レノくんには悪いけど出来ればこのまま戻ってきて欲しくない。空気を一瞬で塗り替えるだけの力を持っているからというのもあるが、弘樹の明らかにわかる態度の変化は目も当てられないからというのが本音だ。
理由もわかりやすい。十中八九、よしくんのことだ。今どこでなにをしているのか、それなりに目をかけていたつもりだった俺に一切の連絡もなく消えてしまった彼は、二人の関係をぐちゃぐちゃに掻き乱してどこか遠くへと行ってしまった。俺にその気は無いが、彼は魔性の男と呼ぶのが相応しいだろう。
その日は三年目の、俺とよしくんからしたら二度目の秋の祭典が間近に迫ってきた頃。
俺たち別れましょう、よしくんは大きな目を伏せてか細い声で言った。
「それ、本気なの」
こくりと頷く。後ろから見ると彼の白く艶やかなうなじが丸見えなんだろうな。一瞬脳が理解せず思わず全く関係ないことに思考がいった。
君から告白してきたくせに、という小言は言わないでおいた。
「わかった、何が至らなかったのかだけ教えて貰ってもいいかな」
「別に、俺は弘樹さんに相応しいだけの人間なんかじゃないって、ただそれだけです」
俺は決してそんな大層な人間なんかじゃないのに、よしくんは自分を卑下し考え込みすぎる気がある。それこそが彼の性格であり、長所でもあるんだろうけど、恋人として居た堪れない場面が多々ある。これはその最たる例だろう。
「よしくんはそれでいいの」
なんて言って欲しいの、とは言えなかった。
「弘樹さんは、いい人ですね」
「どこが」
「そういうところですよ。いい人で、優しい人で、狡い人なんですよ」
お世辞であろうが、俺の人生上『いい人』だと言われることは稀にあった。『サイコパス』とも。
「ごめんなさい。あなたにふさわしい人になれなくて」
「やけに今日は女々しいね。何かあったのかな」
「だから!そういうところ……なんですよ。もう一緒に隣で立つことは俺には、できません」
そこで初めてよしくんはこちらを向いた。大きな目が俺の奥深くまで見通しているような気がして、彼と目が合うたび昔やらかした色んなことがフラッシュバックしてくる。そういうところも彼と共にいて居心地が悪くなる一因だった。
よしくんの瞳を見るのは随分と久々だった気がする。
持ち出してきたのはよしくんからだったけれどもおそらく俺たちは別れるべくして別れるのだ。
「よしくん、別れよう」
「……はい。ありがとうございます」
二度、深々とお辞儀をして彼は目の前から立ち去った。
これで喧嘩相手の役を演じるだなんて、全く持って笑えないじゃないか。
天使のような美しさと小悪魔のような悪戯な笑みを浮かべたよしを見た時、瞬時に思い浮かんだのは、彼を俺自身の色で染め上げ汚してやりたい、という黒々とした劣情だった。
初めて会ったときに人見知りばかりして俺の話に乗ってこない時点でかなり変わったやつだと思った。テーマパークという環境で働いてる以上同僚には誰かを笑顔にしたいからという理由でいるものが多く、明るい人々が多い中で一人ポツンといるよしは大分浮いてた。だからこそ仲が良くなるにつれて見せる純粋な眩しい笑みに気狂いしそうな程惹かれてしまった。
「付き合ってくれない?もっと一緒に、もっと嘉則に近づいて触れていたい」
悩みに悩んだが結局彼には直球な言葉で伝えた。
あの時の顔は見ものだった。俺の言葉が罰ゲームやタチの悪い嘘などではないビールを飲んで赤らんでいた顔が青くなったり、また赤くなったり。「うー」だの「あー」だの母音を真伸ばしに発した後しばらくして
「お酒の力を借りないと言えないなんて、聡は弱いな」
なんて笑った。
俺がそっち側と知ってからよしくんはたまに“元カレ”のことを話題に出した。
「本当にかっこいい人で、初めて付き合った男の人だったんだけど、優しくて大好きで、こんな俺でもいいよって言ってくれて、かっこいい人だったんだ。ってかっこいいって二回言っちゃったよね」
もう恋人関係になったというのに持ち出すのはどうかと思ったので一度意地悪に「俺よりもそいつとよりを戻したらどうか」と聞いたことがある。すると「俺を変えてくれたのは聡だから」なんて恥ずかしげもなく言ってくれる。
若々しくエネルギーに溢れたよしくんが随分と年上の俺にいてくれるのが当時の俺にとっては今生の幸せだった。
「俺、俳優業を引退するつもりなんだ」
そう言って相談というなの報告をしてきたときはついに、やっとカウントダウンが始まってくれたのだと思った。
「……いいんじゃないか、やりたいことが見つかったんなら。よしも年齢からしても新しいことに挑戦するのにちょうどいいんじゃないかな」
そこそこ長い時間をこの業界で暮らしていると去っていく者をたくさん見送ることある。彼もその一人となるのだ。恋人である前に友人であるよしの門出を年長者として笑顔で見送るべきだ。
「そんなこと言うんなら、泣かないでよ」
あの頃と同じように小悪魔のようで、天使のように笑った。
だから何度も言ってるだろう。俺の演技はいつもフィーリングなんだから、苦労するんだって。
真面目なよしのことだ自分で抱え込んで悩みに悩んでこの答えを導き出し俺に第一に伝えてくれたのだろう。それならばルール違反かもしれないがあの男に俺自身の言葉で伝えたかった。
「久しぶりだね」
よしくんの言うように優男は優しげに笑みを浮かべた。
「何のことで呼び出したかわかる?」
「何のこと、かわからないけど、誰のことかはわかるよ」
「どうする?恋人を巡り合って殴り合いでもしようか」
優男は肩を竦めて言った。
「殴るだけでよしくんを俺のものにできるなら是非とも今からでもするんだけどね。よしくんは君にぞっこんだし、君が彼を変えてくれたから。変えるよりか汚染の方が近いかな」
俺に会うまでと、出逢ってから随分変わったと目の前の男は言う。
俺からしたら結局のところは何も変わってくれなかった。そこがこの男の敗因なのかもしれない。
やはり、よしくんの引退については伝えないことにした。彼自身の口から伝えた方が相応しいだろうから。
伝えるかどうかは知らないけれども。
しゅう
________
<メモ?みたいな、なんかそんなの>
久しぶりにハートの11番目の方みたんですけど、あれ改めてやばくないですか??????????snさんが続けてジャクハやってたらって妄想が一切止まらなかった。snさんとysくんの関係を知りたいよう……
この上?のやつはこの間のキャスヤバかったね(語彙力)って言う駄作です。飽きたらやめるから多分完結できない。
ysくんがただただ幸せになって欲しい……
でもhrysは幸せになれないだろうことはほぼ確定してしまったのでダメですね。あとの望みはrnysだけだ……
でもあいつらはダメなんだ……2人ともチキって付き合えない。
ちなみになんですけどツイステくんの試験メダルってどうしてます?鍵交換以外に特に目敏いものなくてそれなりに溜まってきた。
幸せなysくんが見たいのに私から生まれるのはかわいそうなysくんばかり……どうして゛(ナイフを持ったままでは以下略)
でもよしくんってどんなに汚れても芯のところはきれいなままって感じするじゃん??
今考えたけどこれ失恋rnysの世界線ってことにしよ
お酒おいしーーー!!!相変わらず誤字がひどいけど酔のせいってことにしときます
最後まで行けそう