ドゥドゥアシュのタイトルは『拝啓、愛する人へ』
煽り文は『もうどこにも行かないで』です
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拝啓、愛する人へ
そう書き出し、手を止める。久々に手紙を書こうとすると、案外何も思い浮かばないものだ。直接会うと最近あったことを何もかも話してしまうというのに、いざ紙に書くとなると全て取るに足らないことのような気がしてしまう。
日頃の感謝を書くのもいいが、大事なことは口で言いたい。
不満も特に思いつかない。
うーん、と一つ唸り、古い便箋を見下ろす。
事の始まりは倉庫掃除だった。年々増えていく物をいい加減整理することになったのだ。掘り返せば掘り返すほど、懐かしい品物が出てくる。常連からもらった小物や、何かに使おうとしたと思われる資材など雑多に放り込まれていた。
「これは骨が折れるなぁ」
1人呟きながら不用品を集めていく。中には学生時代に使っていた帳面などもあり、つい手が止まることもあった。そうして見つけたのが、まだ残りの多い使い差しの便箋だ。学生時代は弟たちに送るためよく使っていたが、最近は使う頻度も減っていた。誰かに送るとしても、もう少し質のいい紙を使っている。流石にアッシュが手紙を送るような相手は、こんな質の悪い紙で送ると失礼になってしまう。かといって捨てるにはもったいない。覚え書き用にでもしようか、と眺めふと思いつく。ドゥドゥーに手紙を書いてみよう、と。普段あまり言えないことも手紙なら伝えやすいかもしれない、と思い至り早速書いてみることにした。
が、結果は冒頭の通りだ。そもそも言えないことがあまりない気さえしている。強いていうならば愛の言葉だとかは素面のときにあまり伝えていないが、逆に文字として残ってしまうため余計書き辛い。残ってもいいような、改めて伝えたいこと。忘れないでいてほしいこと。
腕を組んで目を閉じ、彼の姿を思い描く。昔から変わらない、大きく広い背中。誰よりも前に出て、敵を倒しながらも仲間を庇い、守る姿は頼もしくも哀しかった。傷はすぐに治せるとわかっていても、受ける痛みは確かにある。それでもドゥドゥーは前に出続け、今も出続けているはずだ。以前よりは頻度が減っていても、反乱などが起きるたびに戦地に赴いている。
心配にならない、と言えば嘘になる。彼は強いから大丈夫、そう思っていたらもう会えないと告げられた時が確かにあった。
その時のことを思い出し、胸が氷でも通ったかのように冷たくなる。目を開くと、目の前には白いばかりの便箋があった。
残ってほしい、忘れないでほしい言葉を真ん中に一行書き、封筒にしまう。
顔をあげれば日は高く、そろそろドゥドゥーが帰ってくるはずの時間だ。やはり手渡すのは気恥ずかしい。それでも、これだけは忘れずにいて欲しい言葉だった。
おわり
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ドゥアシュ お題のやつ
初公開日: 2020年04月25日
最終更新日: 2020年04月25日
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