――最近涼太が昼間にうとうととまどろむことが増えた。
始めはただ疲れているのかな、なんて思っていたんだけど。
「……りょーうっ!……って……」
通い慣れた涼太の棲みかに顔を出すが、俺の声に反応してくれたのは二匹の白い蛇たちだけで。
「サクラ、ニワ、今日もお前のご主人様はお昼寝か?」
ちょいちょいと首元をくすぐってやったけれど、二匹は不満げにしゅるしゅる、と泉の中に潜っていった。ご主人様じゃなくて悪かったよ。心の中で二匹に謝ると、泉の主の姿を探す。
「……いた」
小さな泉の中でもあまり陽の当たらないところ。花の時期が終わって少しずつ新緑が育ちつつある桜の木陰辺りに涼太はいた。目を閉じ、仰向けで水に身を委ねてふわりと浮かんでいる姿を最初に見た時は、溺れているのかと慌てて引き上げたのだが。
『水妖の俺が溺れるとかありえないでしょ』
と笑われてしまった。まぁ、今思えばその通りなのだが。
桜の木の根元にあぐらをかいて座り込んだ。そうっと手を伸ばし、水面に揺蕩いながらまどろむ涼太の頬に手を伸ばして……引っ込める。あの時は必死で泉から引きずり出したりできたけど、なんだか今の涼太はどこか繊細でもろく崩れそうで、触れることすら躊躇ってしまう。
「おそらく、無意識のうちに妖力をため込もうとしているんだろう」
どうにも心配で、ここに来る前に蛟の柊羽さんに相談に行った。彼の見解は「妖力の不足によるもの」だと。
「え、涼太どこかで無理してたってことですか……?」
「いいや、涼太の水妖としての妖力の器が少しずつ大きくなっているだけだよ。桜の季節と黒白天狐の目覚める期間が珍しく重なっただろう?それに影響を受けた桜の木々が、近しい妖怪たちにも影響を及ぼしているようだから」
「じゃあ、眠っている事が悪い事じゃないってことですよね」
「そうだな。……ただ普通の眠りではない、もっと繊細で無防備な眠りだから、少し気をつけてやっても良いかもしれない。」
静かに眠っている涼太の綺麗な横顔を、何となしに眺める。涼太も強くなりたいと言っていた。自分の神格が上がればサクラとニワが冬眠することもないのにと。桜の木の影響を受けてのものであっても、涼太がまたひとつ強くなるわけで。
……なんでだろう。いつも隣にいてこれからも隣にいると信じて疑わなかった相棒が、急にどこか遠く手の届かないところに行ってしまうような気がして。
「……置いていかないでよ」
小さく呟いた俺の言葉は、さらさらと吹きぬけた風に巻かれて消えていった。
中途半端だけど終わり!
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何かかく。
初公開日: 2020年04月25日
最終更新日: 2020年04月25日
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