書きたいところから書いていく~
パパラチアのことでルチルと言い合いになっちゃうね…
「彼のことを愛しているのね」
愛?
「あ……!大変、ルチル!」
景色が割れる。ダイヤモンドの悲鳴が聞こえて初めて、腕が落ちていることに気が付いた。
草原の青が。ぼくらの美しい住処が。空の光が。乱反射してくらくらする。気持ちが悪い。砕けた胸が擦れ合う音。もう、何度修復したって無駄だ。このままでいさせてほしい。
そうして。彼の一部になれたら。ルチルの悲しみが消えたら。あの赤い瞳は、ぼくには鋭すぎる。パパラチア。
最後に、ルチルや他のみんなが遠くから走ってくるのが見えた。ぼくの体を連れていくだろう。何度でも。
「何か、心当たりはないんですか」
ルチルが白粉を叩く手は優しい。意識が戻った時には、もう腕は元に戻っていた。視界も良好。体内のインクリュージョンが活発に働いているのを感じる。主に反して現金なやつだ。
「自壊って、よくあること?」
「よくあるとは言えませんが、事象としては確かにあります」
「ルチルも、たまに割れるよね。すごく怒ったときにさ」
「最近は月人の出現も多いですし、白粉の実も不作です。割れるほど怒らせないでください」
その横顔は疲れていた。何千通りものパズルを試しては、眠ったままのパパラチアに落胆する夜を何度も繰り返して。何百年。何千年。(ルチルて何歳?)
「感情の起伏の激しさと関係はあります。心当たりがあるんですか」
ルチルの金紅色の目がこの胸を透かしている。生と死を繰り返す肉体には思考や生命を司る機能があるという。ぼくらの心は(心って概念ないよね)どこにあるだろう。今、ルチルはぼくの思考を覗いているんだろうか。
ぼくの体を砕いてパパラチアの胸にはめたら、ぼくは彼の心になれるだろうか。
「これといって」
「……そうですか」
しばらくは戦闘に出ないこと、直した部分を固定するためにしばらく光に当たっておくことを言い渡されて、この部屋を後にする。ダイヤモンドに謝りに行かないと。
「ダイヤ、さっきは驚かせてごめん」
「あら、よかった。こちらこそ、その……僕のせいだよね? パパラチアのことを」
硬度十の髪が七色に光る。
「ダイヤはさ、ボルツと組むのをやめたの」
伏せた瞼に集まる小さな光さえ一級品だ。あ~
「近くにいるのにね。あの子はどんどん強くなって、遠くに行っちゃうから。憎らしくて、だめだったの。愛が重すぎるんだわ」
「愛してるの」
「とてもね」
ぼくのインクリュージョンがパパラチアと近い性質でよかった。この体だけが、ぼくの誇り。それだけを祈りとして。ラピスラズリは自分のインクリュージョンに記憶を託したらしい。やり方を聞いておけばよかった。
できたら、この体がなくなっても、彼と話すことができるだろうか。
「やっぱり、ルチルが嫌がりそうだ」
着地点が決まってないからもうだめだ…
「でも、ルチルのものではないよね」
「あなたのものでもありません」
「わかってる」
「あなたがパパラチアを特別に思っていることはわかっています」
「照れるなあ。……内緒にしていて」