※五月頒布予定のキース主本の原稿です。盛大に本誌のネタバレをします。
いつも以上に間が開きますので、気長な人向け。
R18部分は規約に従い書きません。
(そこに差し掛かったら配信を止めます)
あらすじ
結婚式を済ませたキースと姫は、オックス国王にとあるしきたりを済ませないと二人の結婚を祝福出来ないと告げられる。
そのしきたりとは「二泊三日オックス城の別邸で睦み合ってその愛が本物であるのか確かめてこい」というもので……!?
要は新婚キース主の子作り本です。
アスタリスクより以下、原稿の本文になります。
***
「受け取るだけなのに、随分と遅かったですね」
姫が待ちくたびれた様に言うので、キースは曖昧な笑顔を見せた。トレイのシャンパングラスをガラスのローテーブルに置いて、キースはそのままソファへ腰掛ける。
「お前も飲むだろう?」
「はいっ!」
姫を呼び寄せると彼女は嬉しそうにキースの隣へやって来た。キースがトレイのシャンパングラスを渡せば、ルームランプに煌めく気泡が姫の瞳に映ってきらきらと輝く。
「乾杯」
お互いにグラスを傾け合ってから、金色に光るシャンパンを口に含む。しゅわしゅわとしたむず痒い感覚は、まるで初恋のようだとキースは思う。好きなのに伝えないなんて、今のキースには考えられないことであるが、若かりしあの日ではきっとそうも上手く出来なかっただろう。今そう思うということは、多少なりとも今は大人になったということなのだろう。
キースと姫は談笑しながらグラスのシャンパンを空ける。キースは胸ポケットの赤い薬包紙のことが気掛かりであったが、不用意に侍女を疑いたくも無かった。これは彼女の常用薬かも知れない。中身が入っていなかったのも彼女が服用した後だったからだと、キースは自分を納得させようとした。
「このシャンパン、甘みがあって飲みやすいですね」
「お前ももう少し飲めるだろう? グラスでは無くボトルを用意させよう」
キースが侍女を使うために内線電話をかける。五回ほどベルが鳴って侍女は受話器を取った。
「は、はい。如何なさいましたか」
相変わらず侍女の声は震えている。怪訝に思ったキースは遂に彼女に問うた。
「……お前、声が震えているぞ」
「!」
侍女の息を飲む音が受話器越しに聞こえる。キースは侍女が何かを隠していることを確信した。
「俺に……何か隠し事をしているだろう」
「い、いえ! そのようなことはございません」
「本当だな? その言葉、神の前で誓えるのか?」
「お言葉ですが、キース様こそどうしてそのようなことを仰るのですか?」
「お前が部屋から去った時に空の赤い薬包紙を拾った」
きっぱりと事実を告げるキースに、侍女は唇が震えているのか歯ぎしりをしている。キースは構わずに話を続けた。
「この薬包紙を……知らないとは言わせないぞ」
「……っ!」
「言え。本当のことを言うんだ」
キースの責め立てる声に、侍女はとうとう泣き出しそうになりながらぽつりぽつりと真実を吐露することにした。
「じ、実は……その赤い薬包紙は国王様からの指示で御座います。秘密にしろと言われたので黙っておりました。中身は……媚薬です」
「なんだと……っ!」
「国王様は最後の夜までキース様と姫様がしっかりとお励みになれるようにとの仰せでございました」
「父上も随分とふざけた真似を思いついたな」
「そのお達しがありまして……私が先程のお二人のシャンパンに混ぜてしまいました。申し訳ありません、どうかお許しください……!」
***
二時だ。寝よう。
そろそろR18部分に差し掛かるかと思いますので、5月用の原稿配信は今週中に終了します。
(今週中に終了してくれないとまじで締め切りがやばい)
またSSとかはこうして配信して書いていくこともあると思いますので、その時はどうぞよろしくお願い致します。
お疲れ様でした!
それではおやすみなさいー!