そう口に出してしまうと、余計に孤独感が背中に重くのしかかってくる。同時に、ルーミアの無邪気な笑顔がまぶたの裏に浮かんできた。
「気楽でいいよな、お前は……」
 いつもふにゃふにゃのんきに笑っているルーミアの顔を思い出して、魔理沙は枕のうえに笑みをこぼした。
 その無邪気な笑顔が、訪れる眠気とともに少しずつ変わっていく。
 金色の髪、黒い服。でも、ルーミアではない。知らない誰か……ではない。
 むしろ、よく知っている。だからこそ忘れている、誰かの顔。
 頭を撫でてくれた、誰か。
 ルーミアが頭を撫でてくれたときの感触が、遠い記憶を脳裏に浮かび上がらせる。
 それが誰なのかわからないまま。魔理沙は眠りに落ちた。
・第3章もしくは第4章、もしくは幕間にするか?
「けほ、けほっ……」
 咳は年を追うごとに明らかにひどくなっている。
 ただの病気ではない。この魔法の森に生育している魔法植物の撒き散らす瘴気によって呼吸器がやられているのだ。
 もともと、ここは人間に適した場所ではない。標本採集のための短時間の滞在ならともかく、住まいを構えるような場所ではないのだ。そして、私はもちろん、それを承知でここにいる。
 しかし、それは私がここにいる理由の半分。もう半分は……家を追い出されたからだ。
 まあ、それも当然のことだと思っている。
 人里の大店に左道に手を染めた者がいるとなれば、追い出されるのは無理もないだろう。まあ、それはそれで、これで大手を振って研究に没頭できるといい方に考えている。その結果、寿命が多少短くなってもまあ……許容範囲だ。
 それに、自分の目指すべき道が分かっていながらそこから目を背けて、周りから要求されるまま役を演じて長生きしたところでそんな人生には意味はない。そこで生きているのは私ではなく、屍となった私だ。それに比べれば、この魔法の森で瘴気に肺を侵されながら血を吐いている私のなんと生きていることか!
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紅楼夢原稿を書いていきます。
初公開日: 2026年09月09日
最終更新日: 2026年09月09日
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