昔、まだ彼氏と一緒に住んでいた時に熱を出したことがある。
その時はそんなに酷くなかったけれど念のために会社を休んで、そして私を残して出社していく彼氏をボンヤリとした視界で見送った。あぁ、行ってしまうんだなって。何でかそんな恨めしい気持ちになったのを覚えている。
大人なんだから休んで一緒にいて欲しいとか、看病をして欲しいなんて気持ちは微塵もなかった。
ただ漠然と寂しいと、そう思っていたんだと思う。
それから彼氏は出て行って、一人で住むには広すぎるマンションで暮らしていたら、不思議と体調を崩さなくなった。体調を崩しても頼れる人は誰もいないし、買い物だって碌に行けなければ薬だってない。
そう思ったらしっかりしなければと体調には人一倍気を遣うようになって、ここ一年近くはインフルエンザなんかは勿論、軽い風邪にだってかからなかった。
それがどうだろう。独歩と暮らし始めて数ヶ月足らずで、私は起き上がるのも辛い風邪を引いてしまった。
熱で軋む間接にボンヤリとする頭、少し掠れてしまった声。電話で事情を伝えれば繁忙期を過ぎたこともあり、二つ返事でしっかり休むようにと言われた。
最近ずっと忙しかったから疲れが一気に出たのかもね、なんて上司に言われてしまったけれど、きっとそうじゃない。独歩と暮らし始めて、自分に甘えが出てしまったんだ。
前ならどれだけ忙しかろうと風邪なんて引かなかった。ちょっと具合が悪いかもと思っても、薬を飲んでしっかりと眠れば次の日にはすっかりいつも通りになっていた。
きっと、