※五月頒布予定のキース主本の原稿です。盛大に本誌のネタバレをします。
いつも以上に間が開きますので、気長な人向け。
R18部分は規約に従い書きません。
(そこに差し掛かったら配信は止めます)
~あらすじ~
結婚式を済ませたキースと姫は、オックス国王にとあるしきたりを済ませないと二人の結婚を祝福出来ないと告げられる。
そのしきたりとは「二泊三日オックス城の別邸で睦み合ってその愛が本物であるのか確かめてこい」というもので……!?
要は新婚キース主の子作り本です。
アスタリスクより以下、原稿の本文になります。
***
どうやら随分ゆっくりと眠ってしまったらしい。
姫が慌てて瞼を抉じ開けて時計を見れば、午後の五時過ぎである。派手に風呂でのぼせて、すっかりキースに甘えてしまった。姫は自分の左手が動かないことを感じて視線をやると、未だ眠っているキースがしっかり握りしめていた。
「キースさん……」
素直に甘えてくるキースが嬉しくて、姫はつい顔を綻ばせる。無防備な夫の存在に、姫の胸はじんわりと温もった。
最初にこのしきたりを言い渡された時はどうなることかと不安だった。自分が石女であるのかと疑われたような気がして悲しかった。確かにオックスにとって世継ぎは非常に大切で重要な問題である。しかし、それと同時にかなりセンシティブな事柄でもあった。
もしもこのしきたりを無事に終えても子宝に恵まれなかったらと思うと、姫の心は引き裂かれそうだった。一体何の為の三日間だったのか。仮に国王に問い詰められ、責められても自分に返せる言葉は何も無い。
でも、自分にはキースが居る。
何よりも愛する夫が居るのだ。
彼の為に今自分は何が出来るのだろうか。
「赤ちゃん、出来てるといいな……」
ぽつりと小さく吐き出せば、言霊としてこの願いが天にも聞こえるのではないかと思った。
「……お前はそうやって物事を考え過ぎる癖を改めろ」
聞こえた声に驚いて横を見れば、いつの間にかキースが起きている。
「いつの間に起きてたんですかっ」
「お前が神妙な顔で唸っているから目が覚めた」
「え、すみません……」
「そんなことはどうでもいい。俺にとってはお前が辛そうな顔で悩んでいる方が心配なのだ」
握られていた手に、更に力が籠められる。それはキースの想いの強さに比例するようだった。キースの意志の強い眼差しが姫を勇気づける。その眼差しに見つめられて、姫は改めてこの人と結婚したことは間違いではないと気付く。どんな苦境に陥っても、きっとキースとなら何だって乗り越えられる。たとえ世界中の誰もが自分を否定しても、キースだけは味方でいてくれる。姫にとってキースとは、無限の可能性だった。
「キースさんがいてくれるから、きっと大丈夫です」
「いいや、絶対に大丈夫だ」
キースがきっぱりと大きな声で言う。
「この俺を見縊るなよ?」
ああ、私はこの人のこういう所が好きだった。
絶対に揺るがない芯の強さが好きだった。
それはこの先一生変わらないことだ。
「……キースさんといると、無敵になれるんです。どんなに心がめげちゃいそうなことがあっても、キースさんがいてくれるって思うと不思議と身体の奥からパワーが漲ってくるんですよ」
「それは俺も同じだ。俺が守るものはこの国と住まう民だけだと思っていたが、お前という存在が出来てからは、もっと頑張らないといけないのだと奮い立たせられる」
「それって私がキースさんの負担になっていませんか」
「馬鹿だな、お前一人を守れなくて何が次期オックス国王だ。そのような根性無しに思われているのなら心外だぞ」
頼もしいキースの言葉に、姫は心底安堵する。此処から解放されるまであと一日も無いが、オックス国王に言い渡された通りに二人の愛は本物、即ち確固たるものに変わっていた。キースとの結婚は自分にとって人生最高の幸せだと疑わなかった。こうしてどんなことでも真摯に向き合って二人で話し合って解決出来る。それはキースと姫の間に信頼を超えた確かな絆があるからだ。
起きた頃には朝日が眩しかった部屋には今や西日が差して、白磁のカーテンを橙に染め上げる。人間の三大欲求に極めて忠実に過ごす。こんな怠惰な一日なんて今までにあっただろうか。さらりと肌を滑るシーツの感覚が心地良い。しかし、更に心地良いのは隣にいるキースの温もりだった。ベッドの中から見上げるようにしてキースを観察する。
濃紺の暗い髪。
切れ長でグレーがかった瞳。
色白な頬に影を作る長い睫毛。
姫にとってはキースの全てが愛おしかった。
「何を見ている」
低くて甘い声色だって大好きだ。
「ううん、何でもないです」
二人で過ごしたこの二泊三日は、きっと一生忘れないだろう。こんなチャンスを与えてくれたオックス国王に感謝したい程である。自分に擦り寄る姫の髪を梳きながら、ふとキースが言う。
「……思ったのだが、もうこのまま何もしなくても良いのではないか?」
昨日はこの別邸に来てから夜通し、そして今朝までもキースと姫は行為に及んでいた。合間に休息を取ってはいるものの、それでも確実に体力は奪われていく。
「え……もうえっちしてくれないんですか……?」
存外残念そうな姫に、キースは笑いが込み上げる。
「お前は意外とこういうことに貪欲だったんだな」
「違っ……! だってそれをすることがしきたりだから言ったまでですっ!」
耳まで真っ赤に染めて反論する姫に、キースの嗜虐心がそそられる。しかし、キースはもう既に十二分に姫を堪能したつもりであった。
「そんなに欲しがるならくれてやってもいいぞ」
「ばっかじゃないのっ!」
勢い良くキースに枕を投げつけて、姫はそっぽを向いてしまった。一人ベッド端で背を向ける新妻に、キースはこれが夫婦喧嘩なのかと独り言ちる。キースには姫が何をしたって愛らしさしか感じない。キース自身があまり感情を直接的に表現することが苦手なタイプであるので、喜怒哀楽の激しい直情型の姫は見ていて面白かった。だからつい心にもない意地悪をしてしまうのだ。
「おい、何時まで怒っているのだ」
「怒ってません」
相変わらず背中を向けている姫に声を掛けても、連れない返事しか返ってこない。それでも可愛いと思ってしまうあたり、姫のことに関してはなかなかに盲目だとキースは自分で呆れて笑った。
ちょっとはやいけどトイレ行きたいから終わりますw
ハートありがとうございました!
続きはまた明日ー!!
おやすみっ