※こんばんは。
「髪を切ったから、誰だか気付かれないと思いました。」
 情けなく笑った私を彼は黙って見下ろしている。首筋に触れた毛先を払いながら、不思議な形の瞳孔を見つめれば、その視線から逃れる様に目を逸らした。本当は話すつもりは無かったのだ。ただ会釈をしてすれ違うつもりだった。お互いがお互いを深く知らないただの顔見知りとしてやり過ごす筈であったのに、彼は私に声を掛けた。 
 自慢の髪だった。幼い頃からロングヘアが好きだった私はたまに毛先を整えるくらいで、成長しても長さは腰の上を保ち、真っ黒と言うには少し明るい地毛を伸ばしたままにしていた。手入れも欠かさず、艶の乗った美しい髪は、沢山の人に褒められた。
 そんな髪の毛を切ったのは、恋人に一部を切り取られた為だ。些細な切っ掛けで口論になり、掴み合いの末に鋏を持ち出した彼によって自慢の髪は床に散った。彼はすぐに正気を取り戻して謝罪したが、気が動転したままの私は彼を追い出して、部屋の中で一晩中涙を流した。一部短くなってしまった髪をそのままには出来なくて、手先が器用な同僚に頼みその長さに合わせて全ての髪を切ったのだ。話を聞いた同僚は激昂していたけれど、私はもう彼を許す気にはなれなくて同僚の部屋を出てすぐに別れを告げに行った。意外にもすんなりと了承され、「なんだ、その程度か。」と心の中で嘲笑う。その程度の執着であるのに、あんな些細な事で私の髪を切り落としたのだ。喪失感と僅かな怒りを抱えながらふらふらと廊下を歩いていた私に声を掛けたのが彼だった。
「髪を切ったから、誰だか気付かれないと思いました。」
「…お前に短い髪の毛は似合わないな。」
 エドモンは言葉を選ぶ事もせず、力無く笑う私に対して率直な意見をぶつける。そんな事は言われなくたって分かっていた。出来たよと言う言葉と共に同僚に向けられた鏡の中には、蒼白とした顔を抱えた知らない女が、似合わない髪型で此方を見ていたのだから。それでも、思ってもいない上部だけの言葉を向けられるよりは気が楽だ。
「心境の変化か?お前は長い髪が好きだと言っていただろう。」
「…ちょっと事件があって、成り行きでこうなりました。」
 彼は“事件”と言う単語に、形の良い眉を潜めて此方を睨め付ける。あまり話したくは無かった。あの喧嘩の原因はエドモンにあるのだから。
※眠いので今日はここまでにします…進んでなくてすみません…。
おやすみなさい!
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えふご夢かくよ9
初公開日: 2020年04月18日
最終更新日: 2020年04月19日
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コメント
煙草吸いながらのろのろ書きます。
えふご夢かくよ24
お題で頂いた「Machiavélisteの番外編」を書きます
明智
えふご夢かくよ22
ちょっとだけライブ。おっとっと食べながら書きます。(おいしい)
明智
えふご夢かくよ23
主にデイビットくんとバカンスに行く話。完成しました
明智