「今日のあの一発見たか?!」
「んー?一発?」
夕飯もシャワーも終え、テレビのニュースを少しだけ見て。もちろん、ニュースにはあまり興味がないオクタビオに合わせてすぐにテレビは消える。
しかし、テレビは消えてもすぐにエリオットの目の前には今度はタブレットが勢い良く飛び出してくる。
「ここだよ、ここ!」
録画されている映像はそこそこにぶれているが、彼の胸元にいつも付いているあのレンズが見ていた世界は、どんな腕利きのカメラマンや、性能の良いAIが切り取ったアングルなんかよりも、本当に命をかけた瞬間を鮮明に記録してる。
「ああ、お前が撃ってくれたこの一発で今日のマッチは決まったようなもんだったからなあ。」
「そうだぜー?俺が撃った弾がお前抜いた所から全部ひっくり返ったからな。」
今日は敵同士、終盤戦でやっと出会えたというのに、残っているのは自分達だけではないわけで。
せっかくの最高の時間は、飛び交う銃弾の音やグレネードの爆風によってなかなか純粋に楽しむにはまだ邪魔がが多い。
しかし、これは最高のデコイだと送り出した自分の化身を見破られ『これは、面白いじゃねえか』と唇を舌で潤したその時。
胸を抜けていく、ひとつの熱と衝撃。
熱の後、痛みは少し遅れてやって来る。この感覚にはもう慣れてきた。
辛うじて胸を抜かれただけで心臓は無事なようだったが、真正面から飛んできた銃弾の先には彼が中指を突き立てながら、少し高いポジションから見下ろしていたのだった。
「何であそこで俺を撃ったんだ?他にも撃ちやすい奴いただろ?」
「あー、ぁ?」
ゴーグルの枠の跡がまだ残る頬骨を、傷が残るといったような不安など微塵もないかのように爪を立てて引っ掻いている横顔は、あまり見たことの無い表情が浮かんでいる。
ゆっくりと反らされていくその横顔を追いかけるように、身を乗り出しながらエリオットは次の言葉を待った。
「お前さ、楽しそうだったじゃねえか。」
頬を引っ掻いていた手が勢い良く太股と義足に跨がった足を音を立てて叩き、同時に立ち上がる。
「せっかく楽しみにしてたのに、つまんねーから、最初に撃っといた。それだけだ。」
今度は頭を掻きながらベッドルームへと歩きだしたオクタビオの後を、跳ねるように立ち上がり追いかけた。
「来んなよ、俺はもう寝るんだよ!」
「俺も今日はクタクタなんだ、お前にハートを撃ち抜かれたからな?」
まだ包帯が巻かれているというのにオクタビオは本気でエリオットの胸を突き飛ばしながら我先にと、ベッドへ駆けて行く。
「痛いというより、熱かったのはそのせいか。」
明日の朝にでも、もう一度あの録画されたワンシーンを見直そうとエリオットは隠しきれない笑顔を満開にして、リビングの明かりを落とした。
おやすみミラオク。でした!
後程、またTwitterにあげようと思いますー、ありがとうございました!