「ただいまー。」
玄関から響く亮平くんの声を聞いて、慌ててぐらぐらと水面を揺らす火を止めた。
パタパタとスリッパを鳴らして玄関まで行くと、亮平くんはちょうど靴を脱いでスリッパに履き替えてる最中だった。
『おかえりなさい。』
「ただいま。」
改めて言われるその言葉には他の言葉にはない安心感がある。
「あ、そういえばさ。じゃーん。」
にこやかな笑顔を浮かべる亮平くんが私の目の前に差し出したのは、取っ手の付いた真っ白な箱。
「ケーキ買ってきちゃった。夕食の後とかにどう?」
優しく問いかけるように亮平くんは小さく首を傾げた。
『うん!ありがとう。』
亮平くんからケーキを受け取って冷蔵庫にしまおうと くるりと体の向きを変えた。
「あー、まじで臭かったあの女。最悪。ごめん。俺すぐにシャワー浴びるわ。」
ぼそりと吐き捨てた亮平くんは急ぎ足で私の横を通り過ぎる。
その瞬間、独特な匂いがふわりと香った。少しキツめの女物の香水とそれにも負けないような鉄臭い匂い。嫌でもツンと鼻を突くその匂いに思わずぎゅっと顔しかめた。
あぁ、ご飯…食べてきたんだ。こんな異様な匂いを嗅いでも もうそんなふうにしか感じれない私はたぶん普通じゃないんだろうなぁなんて。普通になりたがったことなんて1度もなかったくせに考えた。
誰も居ないキッチンに戻って、冷蔵庫にケーキをしまってからまた夕食の準備に戻った。
少し冷めてしまったお湯を再び温めるためにコンロに火をつけた。勢いよく着火したそれは簡単に大きめの鍋の中のお湯を沸騰させた。少しだけ火を弱めてから多めに塩を入れた。そこに1人分のパスタの束をひねって入れると、ザザっと音を立てて等間隔にパスタが広がった。
最近の早ゆでパスタの茹で時間なんてあっという間で、茹で上がったパスタを伸びないようにお湯から取上げて、絡まらないように少しのオリーブオイルを回しかけてからお皿に置いた。
ソースを作ろうと生クリームや牛乳を準備する。まず先に少し厚めに切ったベーコンをほんのり焦げ目がつくまで炒めてから、その中に玉子や牛乳、生クリームを加えてカルボナーラのソースを作っていく。少しずつ味見しながら調整してから取り上げておいたパスタをフライパンに戻してソースと絡める。
そしていつもよりも少しだけ良く見える亮平くんの表情と肌とかの雰囲気。それから分かるのは亮平くんは外でご飯を食べてきたということ。それは私が関係することではなくて、亮平くんが亮平くんのタイミングで食べたい時に食べたいものをたべたらいいとは思うけど、毎回どんどんひどくなっていく女物の香水の匂いにめまいをかんじるように
阿部ちゃんは喰種で小説家。ヒット作も何個かある。【人間が喰種を飼う話とか。】
「先生、本当にリアルにお話書かれますよねぇ。まさか本当に喰種を飼ってたりしないですよね?」
「そんなわけないじゃないですか。喰種なんて見たこともないですよ…。全部集めた情報から想像しただけの作り物です。」
とか言いつつ自分が喰種なんだよね。しかも人間を飼ってるんだよね。
「先生のお話は本当に描写が細かくて素敵です!特に味とか匂いの表現の仕方がすごく好きです!」
阿部ちゃんは喰種で小説家。ヒット作も何個かある。【人間が喰種を飼う話とか。】
「先生、本当にリアルにお話書かれますよねぇ。まさか本当に喰種を飼ってたりしないですよね?」
「そんなわけないじゃないですか。喰種なんて見たこともないですよ…。全部集めた情報から想像しただけの作り物です。」
とか言いつつ自分が喰種なんだよね。しかも人間を飼ってるんだよね。
「先生のお話は本当に描写が細かくて素敵です!特に味とか匂いの表現の仕方がすごく好きです!」