パソコンにみんなの顔がうつっている。シンジはガウン、レベルクロスとレオンは部屋着。
「僕らは寮で会いますけど、シンジくんだけなかなか会われへんもん。久しぶり、元気やった?」
「うん、レオンくんも元気そうで何より」
「僕はいつでも元気ですよ。っていうか、隣のレベクロ部屋も元気すぎてめっちゃうるさいねん」
「ああ?! いいだろ、このご時世元気がないよりは」
「レイジはライブで使う予定だったエネルギーが余っちまってんだよな」
「そういうダイヤも体力有り余って、しょっちゅう外に走りにいってんじゃねぇか」
「あ、ダイヤくん走りに行ってるんだ。僕もだよ」
「もう、二人とも外に出るときは気ぃつけてくださいよ」
「大丈夫だよ、レオンくん。心配ありがとう」
「でも、もう、ほんまに早く歌いたくて踊りたくて、うずうずしとんねん。ほんまは山下公園で踊りたいんですけど、あかんやろか」
「だめだろ」
「だめだよ」
「あかんかー」
「レオンくんが踊り出すと、みんなが集まって来ちゃうでしょ。だから、ね。我慢しよう」
「叶家の力でなんとかなんねぇのか」
「えっと…どうにかなるなら、どうにかしたい、かな」
シンジが困ったように笑う。
「おまえら、信じこまらせんな。どうしようもできないことってのはあるもんだろ」
「ライブやりたーいー」
「レオンくん。ライブはやりたいよ。も、ARSのみんなのことも考えなくちゃいけない。それだけじゃない、僕たちのライブはとても多くの人が支えてくれている。彼らの健康のことも考えなくちゃいけないんだ」
「シンジくんは、悔しくないんですか、ライブやりたくないんですか。なんでそんな物わかりよくいられるん?」
「おい、レオン!」
「やりたいよ! …くやしいよ…」
シンジの声に涙が混じる。沈黙が流れる。
「…シンジくん、かんにん…」
「どうしようもないことはどうしようもない。それもわかってる。でも、心は止めらんねぇだろ。悔しい気持ちも、ライブをやりたい気持ちも。真剣に取り組んでんだから、当然だろ」
「だな。いいんじゃねぇの、口に出したって。俺たちの年齢って、まだそれが許されるんじゃねぇの」
「レイジくん、ダイヤくんも…」
「はぁ、よかった! シンジくんもおんなじ気持ちだったんやね。安心した」
「レオンくん、どういうこと?」
「なんか、シンジくんだけ僕らと温度が違うのかな―ってちょっと寂しぃなってん
「…そんなこと」
シンジは先ほどの勢いが恥ずかしいのか、なんだかちょっと声が小さい。
「落ち着いたら、楽しいこと、いっぱいいっぱいしよな。僕たちが楽しくて、ARSさんも楽しいこと!」
「うん、そうだね」
「ほんなら、指切りげんまんや」
「ゆびきりげんまん、嘘ついたらハリセンボンのーます」
「ゆびきった!」
「ちょっと待って。ハリセンボンって魚やんな。そんな大きな物飲まれへん」
「はぁあ! 違うだろ、針を千本のますんだろ」
「ええええ、いたいから嫌や」
「嫌だから破らないようになるんだろ?!」
「あ……ほんまや」
「おーまーえー」
ふふ。シンジは笑いながら、そっと目尻をぬぐった。
ああ、みんなと一緒なら乗り越えていける。
乗り越えた先で、またみんなと、ARSさんと会おう。
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