ダグんちにはいろんな本がある。
捜査資料……は、本じゃないか。それ以外にも、案外色々。
「お」
それを発掘するのは少し楽しい。
そういえば前はキッチン用品発掘してたな。ダグんちではそういうのばっかりやってんのか。
「まぁ散らかってるしな」
「悪かったな」
「いや、楽しいからよし」
なにせそんなことできないくらい(というよりも物を置く場所がそもそもない)じーちゃんちって狭かったし。なかなか新鮮なのだ。
「えーと、褒められてる?」
「オレ的には!」
「じゃぁいいか」
いいんかい。と自分から振っておいて笑ってしまったが許可が出たので作業を再開する。
画集とか、写真集とか多い。
重いな画集。
あんま物語系ないな?
「読む時間がなかったからなぁ。ちょっと気分転換に眺めるので丁度いいくらいの心持だったんだ」
「なるほど」
読書ってわけじゃないってことだな。ふむふむ。
けどなんだかんだとダグが気分転換をしてたってのはちょっとほっとした。
つっぱしったらとまんねー!とばかりの印象あったし、結局オレはとめらんなかったし。
「うーん」
「なんか目的のものがあるのか?」
「え?」
「なんか分類しながらも色々探ってるようだったから」
気のせい?と一人ベッドに腰掛けて悠々自適に珈琲飲んでる相棒どのが首をかしげる。
えぇい畜生どっかかわいいな流石だぜ。
「それは褒められてるのか?」
「うん」
ふぅというため息がどんな意図かは考えないことにしよう。
「なぁなぁダグって結構名言とかつかうだろ?」
「そうだっけ?」
「そうだよ」
おかげで出展もわからんネタをひたすら調べたこともある。
……まぁ元気づけようとしてくれたんだろうけどさぁアレは。内容はともかく。
「だから引用先がチェックできたらいいなと」
「えぇえ」
「元ネタ知ってればそこから話題が盛り上がるだろ?あんた調べてきたぜー!ってつっこんでっても「そう」の一言でおわっちゃうしさぁ」
オレは会話がしてーの。あんたと、もっといっぱい。
そう口をとがらせて主張すれば「そんなもんかねぇ」と不思議そうに首を傾げられる。そんでずずず、と珈琲を啜る音。
いい加減埃っぽくなってきたしオレものみたいなぁと思うんだけど。
「なぁなぁ、哲学書とか兵法書とかそーゆーのどこー?」
とりあえずめっけないと悔しいので聞いてみるが、さぁてと明らかに楽しんでいる声が耳を打ってくる。こんにゃろめ。
「じゃぁなんか気に入った台詞をメモしてるノート!」
「ないよそんなの」
「だって一発で覚えられるわけないだろ!ってのいうだろあんた。舌噛みそうなのさらっというだろ」
「まぁうん、覚えたし?」
「そーゆーとこ!!」
そういうとこかぁ、とダグは笑いながら立ち上がった。マグカップは持ったままで、水場の方に歩いていく。
「んぁ?」
「まぁばぁちゃんトコで読んだ話だから多分そこにないよ」
「へ?」
「片づけてくれたお礼に珈琲を煎れてやるからもうちょっと分類頑張ってて巡査」
くつくつと笑いながらそんな提案をする様子に他意はなさそうで――あるとしたらねぎらいじゃなくてオレの目的をしったことで満足したことか――自分はさっきまでの勢いがしおしおと萎んでいく気持ちの中で「おぅ」と間の抜けた調子で頷くほかなかった。
おしまいー