修行中になんとなく外して縁側に放置していた指輪が、休憩中に彼に見つかってしまった。
「なんだこれ、誰か殴る予定でもあったんか」
「別にメリケンサックみたいに使うやつじゃないんで、それ」
「ほぉ」
 意図の読めない嘆息を漏らして、波羅夷空却はその指輪と五指を交互に見て小首をかしげてから、自分の親指に嵌める。
「サイズもいい感じ」
「メリケンサック扱いする人には絶対あげませんからね」
「別に貰わねぇけど……」
 しばらく興味津々といった様子で自分の指に嵌まった指輪を見下ろしていた彼は、やがてあっさりと興味を失って「ほれ」とそれをこちらに返してきた。
「しとけよ、これ。こんなところに置いてたら失くすぞ」
「……どうも」
 指輪を受け取って、そのままそれをしばらく見下ろす。
 そんな弟子を訝しげに見ていた師匠が、やがて「おい」と痺れを切らしたように声をかけた。
「嵌めとけっつったんだけど」
「…………はぁい」
 諦めて、十四はその指輪を薬指に嵌めた。
「…………」
「…………サイズもいい感じ、なんて」
 呟いた瞬間に、背中に勢いのいい張り手が飛んでくる。
「痛い!」
「調子に乗んな!」
「だから躊躇ったのに! 絶対そうやって怒られるから躊躇ったのに!」
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