り、り、りりり、放っておけばおくほど増える電子音に、橙色の髪の少女は重い瞼を上げた。
目覚まし時計を叩き、柔い枕に顔を押しつけ、隣で寝ている青年をぼんやりと眺める。普段なら少女より早く起きて、それどころか朝食まで用意していることの多い彼にしては珍しく、アラームなど初めから鳴っていないといった様子で眠りこけていた。ネイビーのカーテンは閉まったままで、朝日はほとんど射し込んでこない。とろりと重たく微睡む空気に、少女はゆったりと瞬いた。
昨晩は離れて寝始めたのに、今は相手の心音が聞こえてくるのではないかと思うほど距離が縮まっていた。いつの間にか抱きこまれていたのだろう。青年の腕が中途半端に少女に絡んでいた。温くて居心地がいい。
眠る彼の整った顔は、雑誌で誌面を飾るトップモデルのようにカリスマ性があるわけでも、慈愛に満ちた美しさがあるわけでもない。ただ人として整合性が取れているだけの、身分相応な理想形。
薄茶の長い睫毛をじっと眺めたり、少し乾いた薄い唇に触れようと手を伸ばすか伸ばすまいか躊躇ったりしているうちに、男の瞼が小さく動いた。
「……おはよーございます、朝からずいぶんな熱視線もらった気がするんですけど?」
言いながら、声の主人──ロビンが少女を抱きしめなおし、額に口付ける。
「おはよ、ロビン。……気のせいだよ、きっと。ね、起きよ、お腹すいたよ」
しなやかに腕から抜けベッドから出ようとした少女の細い腕を、ロビンが掴んだ。そのしぐさに、少女が小さく笑う。これは彼なりの催促だ、と、彼女は知っていた。少しばかり捻くれたところのある彼は、口づけをねだるときですら、分かり易い言葉にしようとはしないのだ。
一度ベッドから降りかけたその足の動きを止めて身をかがめ、少女はロビンのかさついた唇を食み、頬を撫でた。
「愛してるよ、ロビン」
「オレも好いてますよ、かわいいひと」
儀式のようなこのやりとりは、何度目だったろう。両手を使って数えても、もう足りない。
カーテンを開けると、昨日と変わらずいい天気だった。窓から見える街並みも、至って平穏。
キッチンに向かうロビンの背を追っていった少女は、シンプルな白い戸棚からドリッパーとサーバーを引っ張り出した。そのまま、それらのそばにある、粉末のコーヒーが入った瓶に手を伸ばしたが、瓶は半分も満たされてはいなかった。
「あれ、コーヒー買い足してなかったね」
「お、それじゃあ今日にでも買いに行きますか」
出してしまった道具を戻した少女は冷蔵庫を開け、食料品も残り少なくなっているのを見て顔をしかめた。消費期限の近くなったバゲットを切っていたロビンが、ぎりぎりの生活にも程がありますね、などど言って笑う。
彼はその時にあるもので料理を作りがちで、よほどのこと、たとえば少女が誕生日を迎えたからケーキを焼きたいだとか、そういうことがない限りはわざわざ新しくものを買いにはいかないのだ。レシピか何かを確認してから店に行くことはないのかと、いつだったか、いちど尋ねたことがあった。問われた彼はそのとき、なんだか贅沢に思えちまって、と、困ったように笑っていた。
「そんじゃ、いってきます」
「気をつけてね」
  ついてこないんですか、と、青年が問いかけるのに、少女は小さく頷いた。こうやって断られるのをわかっていても、毎回同じ
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初公開日: 2020年03月30日
最終更新日: 2020年08月02日
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二次創作 文字起こししながら修正もしていくだけのだらだら配信
歩き回るきゃぐを書く
骨を埋める場所をさがしたい二人の話を書きたい
白条
現パロchi夢バデ山とキス部屋(完!)
全てを変える───。(もしよかったら、チャット欄で話しかけてみてね!)
ぱな