なんかドバドバ雨が降ったり今が夏なのか冬なのかわからなかったりでもう自律神経が伸びたラーメンみたいになってますがやるべきことはやっていきますよ。
・幻想郷王権秘録(折葉坂三番地)
 東方小説サークルの中でもイチオシのサークルさん、今回入手した2冊目の本は、取り置きをお願いしてた例大祭23発行の総集編。
 これまでに発行されてきた歴史系コピー本の中から、慧音が主役となる2篇+描き下ろし1篇の系3本をまとめた本となります。
 それでは収録作品ごとに感想を。
・きりさめのみはかし
 既読ですが、何回読んでも慧音先生の怒涛のブチギレシーンは笑ってしまいます。まあ皇統の証たる草薙の剣が古道具屋の棚に転がしてあったらこのブチギレもむべなるかな。
 しかし、その剣はさまざまな俗説に登場する架空の金属ヒヒイロカネでできており、つまりはこの場にある草薙の剣の背景にあるのが偽史という流れ、そして霖之助の「道具の用途と名前が分かる程度の能力」によって「霧雨の剣」として新たな存在となる。
 こうして読み返すと本作は、「草薙の剣」という物品、そしてその背景にある歴史の幻想入りモノだったのかなとも思えます。
・幻想郷に麒麟は来ない
 本作も既読ですが、改めて「うまい!うまい!うまい!」と煉獄さんになってしまいました。
 なにがそんなにうまいかというとまず目の付け所。
 これは前回読んだときにも書きましたが、「『東方幻存神籤』にて、慧音だけが例外的に128人の人妖の中で人間形態とハクタク形態の2枚の記載がある」というところから「実は128人の中に入るはずだった何者かが抹消されているのではないか」に至り、じゃあその誰かって誰なの?というところを、旧作紅魔郷のバイナリデータの中にのみその名前を残すボツキャラである「冴月麟」を持ってくるこの発想よ。
 さらに、そこで終わらずにこの冴月麟を優れた王の誕生に伴って姿を現す瑞獣たる麒麟として見立て、その不在=幻想郷における明確な王者、支配者の誕生が意図的に阻止されている→それを行っているのが、歴史を喰う神獣の力を持つワーハクタク、上白沢慧音であるというところまで持って行くこのストーリーテリングよ。
 創作においてはアイデアは点、ストーリーは線だと思っています。そして、点が集まれば必ずしも線ができるわけではない。この点と点を繋ぐ線の引き方が抜群にうまい一編です。
・石の王権
 これは読んだ覚えがないなあと思ってたら描き下ろしだったでござるの巻。
 というわけで最後の1本は、錦上京の舞台裏、もしくは隠しENDとも言える一本です。
 本サークルさんの作品の感想でもう何度も言ってることですが、やはり要素のピックアップとその配置、そしてその結びつけ方が抜群にうまい。
 錦上京の真相には月の都が深く関係しているんですが、本作では「慧音が月の尖兵である」という解釈を核として、現実世界で起こっている「AIによって氾濫した誤情報」という形の穢れが月の都に流入するのを防ぐために、「変化を辞めさせる程度の能力」を持つ磐長姫こと磐永阿梨夜が起用されたという解釈を取っています。
 わたくし人形使いは実はまだあまり錦上京をやり込んでおらずストーリー理解も不十分なんですが、「プレイヤーキャラとして異変解決=ゲームクリアを宿命付けられている存在」である霊夢による異変解決が「表の解決」とするなら、本作の慧音による「今回の異変自体を異変石とすることで月と地上との関係を結び直す」というラストは「裏の解決」と言えると感じました。
 そして同時にこの行為が、穢れから逃れるために幻想郷とのつながりを切り離そうとする月に、文字通りの「要石」を乗せてやったというのが「歴史を食べ、作る程度の能力」を持つ慧音による痛快な反撃なのがよかった。
 今日はここまで。
カット
Latest / 120:41
カットモードOFF
文字サイズ
向き
チャットコメント通知
第22回東方紅楼夢戦利品レビューその6
初公開日: 2026年10月31日
最終更新日: 2026年11月01日
ブックマーク
スキ!
コメント
今日の日記を書いていきます。