「俺と来るか。それとも、引き返すか」
ごくり、と乾いた喉がそれでも固い唾を飲んだ。
右を見る。自分が来た道。知っている道。ぼんやりとだが、照明の光が届いている。
左を見る。自分が来ていない道。知らない道。照明の光が届かず、暗闇が続いている。
文字通りの分かれ道だ。今ここで、選択しなくてはならない。今しか、選択する機会はない。
そして――アキラは選択した。
「神像」と拝水を巡る諍いが本格的な戦闘に拡大するまでには、そう時間はかからなかった。地下空間を照らすマズルフラッシュにも、銃床を伝わって肩に響く反動にも、アキラはもう慣れてしまっていた。自分の中の銃口の先で、人が死んでいることにも。
「神像」を信仰する人々は、レジスタンス側の説得に耳を貸そうとはしなかった。信仰はもはや彼らにとっての現実となっていた。かつて、アキラがそうであったように。
引き金を引くたびに、アキラは自分の中の信仰が砕け、新しい現実が構築されていくのを感じていた。
これだ。アキラは確信する。
父や母やキョウコや――この地下世界で死んでいった人々を殺したのは――この信仰だ。そしてそれが作り出した現実だ。だから、壊さなくてはいけない。