ついに見てきました2026年最大の話題作にして約束されし傑作SF映画!
 公開を明日に控えた昨日の晩にはなんか緊張してきてオゲェェといった感じだったんですが、なんとかかんとか行ってきました。
 なお、わたくし人形使いは原作小説はkindleでセールしてたときに購入して読了済。さてこの上下巻にわたる作品をどのようにして2時間半に収めたのか、そしてあれとかあれとかあれをどのように映像化したのかを目を皿のようにして見届けてきました。
 というわけで今回の日記はタイトルにある通りネタバレ全開なので未見の人は回れ右推奨。
 一般人が偶然発見した太陽熱の減少。このまま太陽の熱が失われていけばやがて地球の基本は低下し続け人類は絶滅してしまう。
 調査の結果、地球以外の恒星系も同じように熱を奪われ続けていることが判明。しかし唯一、地球から11.9光年離れた恒星「タウ・セチ」だけがなぜか感染を免れていることがわかります。
 そこで「タウ・セチ」まで宇宙船を送り込み調査を行う計画「プロジェクト・ヘイル・メアリー」が発起されます。しかし、その道程はあまりに長く遠く困難で、最初から片道切符のイチかバチか(ヘイル・メアリー)の計画でした。
 ――そして、見覚えのない施設の中で目を覚ます中学校教師・グレース。宇宙船「ヘイル・メアリー号」の3人の乗組員のうち唯一の生き残りとなった彼は、地球を救うためにたったひとりで試行錯誤していくことに。
 しかし――この困難に立ち向かっているのは、彼一人ではなかった……。
 まずはいちばん気にしてた尺について。
 原作では長く尺を取っていたグレースが目覚めてから自身が置かれた状況を知るまでの流れは一気に済ませて、本作ではみんな大好きロッキーと出会ってからのパートに大幅に尺を取るかたちになっていました。
 なので、原作で濃密に描かれていたさまざまな科学理論を使っていろんなトラブルに対処していくという「オデッセイ」的な部分は控えめで、ロッキーとのバディ感を思いっきり前面に押し出した構造になっています。
 なので、映画を先に見た人にとっては原作小説は「詳細の解説が得られる解説本」として機能すると思われるので今すぐ原作買え。ちなみにわたくし人形使いは電書で読んだのに映画館からの帰りで気がついたら買ってました。
 映画を見ただけだと、本作のトラブルの根幹であるアストロファージとその解決手段であるタウメーバの関係性や各種のトラブルの原因や仕組みはちょっと分かりづらいかとは思いますが、おおまかな仕組みは十分わかるとは思います。
 もちろん重要な部分はしっかり残っているので安心。特に個人的に好きだったアストロアファージが逃げ出してえらいこっちゃのシーンと偶発的に繁殖してるのを発見してばんざーいのシーンが残ってたのでよし。逆に原作で好きだったサブキャラのひとりディミトリの出番がなかったのはちょっと残念だった。あと個人的にはパワーグローブのくだりは入れてほしかった。あそこ読んでて吹いたもんな。
 まあでも映画という媒体で原作の小説媒体での描写をそのままやる必要もなかろうなあという感じなので、原作→映画の順なら「圧倒的・具体的ビジュアル及びグレースとロッキーの交流をさらに観たい!」という部分を、映画→原作の順なら「出来事の細部やグレースが置かれていた状況の詳細を知りたい!」という部分を相互補完できると思います。つまりどっちも触れるべし。
 さて、文字媒体から映像媒体になったことで注目するのはなんといってもビジュアルです。その点今回はドルビーアトモスで見たのもあって、このご時世にわざわざ映画館に行く理由のひとつである大画面での圧倒的なビジュアルを顔面パンチされてきました。
 特に良かったのがグレースが「ブリップA」から放られたカプセルを回収するためにEVAに挑むシーン、あそこのエアロックから広がるあまりに広大な宇宙空間、まさに「人類がまだ踏み込むべきではない世界」という感覚を覚えました。そのあとのグレースの「ムリ」も無理もないといった感じ。
 そして本作のビジュアルが最大に生かされたのが惑星「エイドリアン」での試料採取のシーンでしょう。地球の常識を超えた宇宙の想像を絶するあの光景たまらん。そも映画というのは実際には見られないものを見せてくれて、その場にいるかのような没入感を味あわせてくれるものですが、あのシーンはまさに「臨場感」という言葉がふさわしい。あの光景を見たあとで原作を読めばさらに本作への解像度と没入感が増すでしょう。
 また、これはトレーラーの段階で公開されていましたが「ブリップA」のデザインがまたいいんだ……。あの細い棒状の金属繊維で編み込まれたかのような外観がいかにも「地球外文明の技術で建造された船」といった感じでセンス・オブ・ワンダーをビンビン感じます。
 そして映画だけの要素として、「ブリップA」の中身が見られる!これは完全に予想外のサプライズだったので映画館で大声上げそうになりました。あのですね、もうこれ「ブリップAのひみつ」とか言ってケイブンシャから図解を出してほしいです。あの金属線を爪弾くようにして操作するであろう操船システムがあまりも美しすぎてわたくし思わず「ああ……う……美しすぎます!」とエリナ・ペンドルトンになってしまいました。
 これも言っておきたい。ヘイル・メアリー号とブリップAが等速回転運動するあのビジュアル、あまりにも美しい。わたくし今までいろんな映画を見てきましたが、「物体が回転している光景」をあれほど美しいと感じたのは初めてです。ヘイル・メアリー号の立体物としてはレゴが出ているようですが、ぜひとも「ブリップA」の立体物も出してくれないかなあ。
 キャラクターも素晴らしかった! 主人公グレースを演じるライアン・ゴズリングはもう映画化の第一報が届いたときに原作既読勢が軒並みイメージぴったりだと喜んでいましたが、公開された予告では予想以上にグレースのイメージぴったりでよくぞこの役をやってくれた!と思えました。別に英雄的性格でもなくかといって悪人でもない、計画達成のために特別な意識を持つでもないひとりの人間としてのグレースを魅力的に演じてくれてたと思います。特にグレースのあのユーモアや軽口でトラブルを乗り越えようとする姿勢、そして知性の象徴とも言える眼鏡をかけていながらもどこか抜けた印象のある顔つきが実にグレースだった。原作には挿絵もないのでグレースの容姿に関する情報はあまりありませんが、もう予告の最初の映像を見た時点で「あ、これグレースだ!」って思いましたからね。
 またグレースのユーモアもよかった。本作は人類大ピンチのシリアスな問題が立ちはだかっている作品ですが、これによって作品のトーンが過剰に重く暗いものになってしまうのを防いでいたと感じました。あとユーモアと言えば突然のメリル・ストリープでわろた。あれ、後述のカラオケと並んで今回の映画版オリ要素でトップクラスによかったシーンだと思います。
 ザンドラ・ヒュラー演じるストラット長官もよかった。今回の映画版で原作からいちばんパワーアップしてたのは確実にストラット長官だったと思います。最高に株が上がった。
 原作ではアストロファージの爆発事故のシーンをはじめ、人類を救うためには一切の感情を切り捨てた冷徹な印象の強かったストラット長官ですが、原作にはなかったあのカラオケのシーンでもう……(滂沱)。
 予告でマイクを持ってるシーンがあったのでおそらく歌うか演説するかのシーンがあるだろうなと思って楽しみにしてたんですが、あのカラオケのシーンほんとよかった……。「火星の人」でも思いましたが、仰々しい演説や感動を誘うセリフなんかよりこういうののほうがすんなり入ってくるんですよね。映画版のストラット長官はわりとウェットな部分も見せてる気がします。どっかの石油王がストラット長官視点のスピンオフとか作ってくれないかなあ。
 ラストでグレースからのメッセージを受け取った年を経たストラット長官の優しい笑みがとてもいい……。
 そしてみんな大好きロッキーですよ。登場と造形自体は公開が近くなった段階ですでに公式から公開されていましたが、やはり実際に動いて喋っているのを見ると魅力が倍加しますね。
 人間のシルエットとはかけ離れた姿のロッキーですが、だからこそその一挙手一投足に人類とは異なる異星の文化を感じられました。生物として異なるのはもちろんのこと、知的存在としても異なるというのがわかるのがよかった。
 そして、その相違が逆説的に「科学への好奇心と信頼」という共通点を強調するわけですよ!! 科学は共通言語!! なんとすばらしい!!
 そしてこの共通言語を頼りにしてコミュニケーションを図るシーン、まず最初に知性の原点とも言える「数字」をとっかかりにするのがいいですよね。本作はエイリアンと戦うタイプの作品ではないのでいわゆるバトルシーンはありませんが、あの両者が時計を通して意思疎通に成功するシーンはまさに「初戦突破」と言えるでしょう。
 ロッキーの造形もよかったなあ。作中ではロッキーたちエリディアンの文化や生態については原作小説ほどには情報がありませんが、具体的なビジュアルが出たおかげでエリディアンの文化や生態についてはいろいろと感じさせてくれる仕様になっていてオタクに優しい。その表皮の文様とかどんな意味があるのかじっくりたっぷりねぶりあげるよーに鑑賞したい。
 ジェスチャーもいかにも異星人といった感じでよかった。グレースの真似のシーンだけでなく、前腕2本を合わせるエリディアン独自のものと思しきジェスチャーも好き。あとヘイル・メアリー号を訪れたロッキーが大はしゃぎしてるの最高に好き。
 本作、本筋は「のっぴきならない危機的状況に追い込まれた人類が起死回生の一手を図る」というSF作品としては非常にオーソドックスなものなんですが、むしろ主眼はグレースとロッキーのともに孤独な状況にあったもののつながりにあるんですよね。グレースは昏睡処理の失敗によって仲間を失い、ロッキーもまたエリディアンに放射能についての知識がなかったばかりに仲間を失っている。その両者が出会うことによって「科学知識」という共通言語によってお互いに理解と共感を得る。「火星の人」でも思いましたが、アンディ・ウィアー作品の根幹部分には「科学への信頼」があるんですよね。それは奇跡や信仰に頼らない、ある意味で非常にドライな態度です。しかしそれは、どんな奇跡よりも確実に救済をもたらしてくれる手がかり足がかりであるとこれらの作品は示してくれていると感じました。
 人間、追い詰められれば追い詰められるほど具体性のないあやふやなものに完璧な救済を期待してしまいがち。しかし、真に我々を救い得るのはこうした具体性を帯びた事実とそして行動であると感じる次第です。
 次はミサトさんが出るという吹替版を観に行くぞ。
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TOHOシネマズ梅田「【ネタバレ注意!】プロジェクト・ヘイル・メアリー・字幕版」見てきました!
初公開日: 2026年03月20日
最終更新日: 2026年03月21日
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