やったああああ!! 暗黒SFだああああ!!(3日目)
というわけで今日も見てきました「ポーランド暗黒SF」。みんなで見よう暗黒SF。
今日見てきたのは「オビ・オバ 文明の終わり」。
舞台は核戦争から1年が経過した世界。氷と放射能に覆われた世界で生き残った人類は、かろうじてドームを作りその中で暮らしていました。
ドームの住人たちを管理する管理者の一人である主人公・ソフトは、反乱の鎮圧や故障箇所のチェックといった仕事を日夜こなしていました。ある日知り合った娼婦から、いずれ来る救いの方舟に乗るために綱渡りの練習をしているという話を聞いたソフトは、方舟の伝説を知ろうとドームの各所を探検し始めます。その果てにソフトが目にした真実とは――。
全2作に比べるとわかりやすいというか、直球で素直なディストピアSFでした。救いの方舟の話はドームを作った管理者たちが人々を管理するためにでっちあげたものであり、人々の避難所であるドームは最初から1年で崩壊するように作られていた。
最終的にドームは当初の予定通りに崩壊して、救いの方舟の到来を待ち望んでいた人々は我先にドームの外へ出ていく。雪と氷と放射能に覆われた世界に足を踏み出したソフトが見たものは、娼婦といっしょに気球に乗って空へと消えていく自分自身の幻影だった……という、虚しさと悲しさだけが残るラストでした。
本作の中心にあるのは「空疎な希望」とともに「目先のことだけ、あるいはありもしない救いしか考えられない近視眼的状況に陥った社会」でしょう。
前述の通り本作で救いとされていた方舟の到来は最初からデマで、それをさらに人々に信じさせるためにドーム内には「方舟は存在しない」というアナウンスを逆に流すというのが性格悪い。
この方舟を本気にして、その到来に備えて綱代わりの練習をしたり宇宙に出たときにクッションをかき集めていたりといった、いわゆる衆愚の行動を取っています。
これ、自分でも覚えがありますね、現実世界でもオイルショックによる地位レットペーパーの買い占めという社会混乱はコロナの際にもマスクの買い占めということで起こりましたし、方舟と同じく無根拠の救いはもう探さなくても向こうからやってきます。
そして目先の生活を重視した結果、格納庫に唯一残っていた飛行機はすでに鉄板を我がされ銀と偽って通貨の材料になっている。ここ「将来より目先のことを優先して緩やかに自滅していく描写」としてとても秀逸です。
目の先に希望という人参をぶら下げてやれば、人間なんてのはかってに都合のいい解釈をでっち上げてそれを信じ始めるもの。そしてそれを信じて破滅するもの。それを本作は「なるべくしてなった物語」として淡々と描いています。
また本作、本の扱いが非常に示唆的だと感じました。こうしたディストピア社会における本とは知識と情報の集積であるのはもちろん、知性や理性、過去、そして文化そのものの象徴だったりします。しかし本作における本は、粉砕機で分解されてセルロースになり、合成配給食のかさ増しにされるという……。こういう社会になったときにまっさきに不要のものあるいは敵として排除されるのが「本」なんだなあというイヤなリアリティがありました。
今日はここまで。