「うえ〜ん」
私はことあるごとに泣いた。バデーニは泣いたりはしていなかった。ただ泣いている私をそのままにしておいてくれたし、ときどき水やココアを差し入れしてくれた。ありがたかった。
 バデーニへ忘れ物を届けた。突然かかってきた電話に慌てて飛び出していった。何をするでもなくぼーっとしている瞬間があるようだった。それを凝視する私に気づかないほど、集中力が無いようだった。
「何かあったのか」
「そっちこそ」
 私はピザをデリバリーした。向こうはケーキを買ってきていた。
「私は」
「元気が出るかなと思って」
「……そうか」
「こちらも似たようなものだ」
「寂しいね」
「……」
「新しい子、飼う?」
「……」
「気は楽になった」
「……」
「……」
「……だが……」
「……家の中がこうも変わるとはな」
「……。うん……」
「……次の猫についてだが、君の気が紛れるというならそれでも私はそれでも構わない」
「バデーニは?」
「……」
「バデーニはどう思うの?」
「……」
「……。飼わないよ。もう生き物なんてこりごりだ。そう思うでしょ」
「──ああ、全く。全くもって、その通りだ」
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飼い猫が死んだバデーニ
初公開日: 2026年02月23日
最終更新日: 2026年02月23日
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