手癖で描いてるうちに夕暉だから弓持たせとくか~となったが弓矢への解像度が低くてなんともいえなくなったやつ(町の火消しにいくあたり?)
夕暉と鈴の少女漫画が読みてぇんだけど
散発的に場面が出てくるばっかでまとまらねぇ~~
夕暉が鈴を好きになるかどうかは正直あまり自信がない
虎嘯と鈴がお互いカラッと人間として慕いあってて、周囲もなんとなく一緒にいることが多いから夫婦みたいに見える、ってのが余程ありそうではあるが
完全に個人の趣味で、私は虎嘯と李斎がねぇ!!一番好きなのでねぇ!!
戴が落ち着いてお礼の使節の中に李斎を見つけて生きてたのか本当に良かったって感動のあまり軍人同志の熱い抱擁をしてほしすぎるんだよな
アニメやりませんかそろそろ、ねぇ
「出来ることならついていってやりたい」って、アニメでやってくださいお願いしますお願いします
すみませんね表記のないカプの話をして
話戻るけど夕暉が鈴に興味を持つきっかけ
年頃の娘と接することがこれまでなくて、家にいるのが珍しい
→おかえりなさい、と言われて不覚にもちょっとキュンとくる、みたいなベタなやつをね
(清秀がなんやかんやで懐いた百歳超えの包容力や生活力、目を離すと心配になる幼さ)くらいしか思い付かねぇんだよな
あとは虎嘯と似て「許せない!」って義憤に駆られて考えるより先に身体が動いてしまう感じが世話焼き属性を刺激する、みたいな?
鈴本人は自分の恨みだと思ってるけど、清秀は鈴の家族でもなんでもないわけで
(清秀と鈴の間になにがあったのかは本人達だけにしか分からないから、旅の途中に行き合っただけの少年を医者にみせるためにあんな一生懸命だったのか、となる周囲)
反乱のさなかに王師が来て、お前らのお陰で拓峰の民丸ごと逆賊にされた、余計なことを、と罵られる虎嘯を見て、辛かったのは夕暉の方だと思うんだよな
有能な夕暉がいなけりゃ、そもそもこんな大事にはできなかっただろうから……
そんな時に「いい加減にしなさいよ!あんたたちは昇紘が憎くなったの!?」という鈴の一喝は、兄弟にとってどれだけ救いになっただろうか
☆
「ありがとう、鈴」
慶王と面識があるという娘二人の「いまは信じて待て」という言葉に、ひとまず町の代表らが引き下がったあと。
夕暉は鈴に旅券を返しながら言った。
「なにが?」
「さっき、兄さんを庇ってくれて」
「あら私、庇ったつもりはないわよ」
小首を傾げて、鈴はいう。
「ここにいる皆が思ってることを、代表して言っただけじゃない。夕暉だって同じこと思ってたでしょう?あんたたちは昇紘が憎くなかったのか、あのまま許していいと思ってたのかって」
平然とのたまうその顔に、夕暉は苦笑する。
「そうだね。でも、やっぱり巻き込んでしまったのは事実だし――ここまで大事になったのは、采配した僕の責任が大きい」
「そんなこと……」
あるんだ、と夕暉は息をふっと吐き出した。
「兄さんには、もともと組織立って反乱を起こすなんて発想、なかったんだ。兄さんを思い止まらせるために、僕が言い出したようなものなんだよ」
事の発端は、もう我慢ならねぇ、と一人でも郷城に殴り込みにいきそうな虎嘯を止めるための方便だった、と夕暉は振り返る。
「そんなことしても兄さんが殺されるだけだ。下手したら、僕や近所の人まで殺されるかもしれない。それってとても自暴自棄で、なんの意味もない、むしろ悪いことだって、言い聞かせてなんとか引きとめた」
「……私が虎嘯に連れ戻された時と、まるきり同じお説教ね」
くすり、と鈴が笑みを漏らすのに、夕暉も目を細める。
「うん。鈴は兄さんに似てるところがあるかもね」
「……それ、褒め言葉、なのよね」
もちろんだよ、と夕暉は笑う。
「仲間に勧誘するときに、鈴がどんな人なのかは、一通り予想したんだけど……ポンと騎獣が買えて、尭天の医者を頼ろうって時点で裕福な家の人とは思ってた。でもまさか、采王に縁があるなんて」
「ごめんね。隠してたわけじゃないし、実は王さまの御使いっていうのは大袈裟なの。ただ、私が慶王に会いたいといったら、手助けをしてくださっただけで」
鈴は遡って、今回の旅に至るまでの経緯を夕暉に語る。
「じゃあ、鈴は仙人だから、僕たちより随分歳上になるんだ」
「そういうことになるわね」
「全然実感、湧かないな」
じっ、と夕暉は鈴の顔を見つめる。
「……仙人相手でも、女の人に年を聞くのってやっぱり失礼?」
「人によるんじゃないかしら。少なくとも私は」
気にしない、と言おうとしたが、鈴は言葉を詰まらせる。夕暉に見つめられているうちに、百年以上も生きておきながら、自分はこの少年に何度要らぬ心配や世話をかけたのか、という気分になってくる。
「その……あんまり、見ないで」
鈴が目を伏せると、ああ、ごめん、と夕暉も戸惑ったように視線をそらす。
鈴は、じわじわと頬に熱が集まるのを自覚する。
この場にいるほとんどの人間よりも鈴は長く生きているのに、癇癪を起こしたように強い言葉で言い返したり、自分本意で考えなしに飛び出したり。
「別に、言いたくないならいいんだよ」
「そういうわけじゃないわ。私、見た目は十六かそこらで止まってるけど――百は超えてるの」
「ええ!?」
現れた王旗を前にしても声を荒げなかった冷静沈着な夕暉にしては、珍しい驚愕の滲んだ声。
「百、か……祥瓊みたいに五十そこそことかかなと思ってた」
「それにしては子ども過ぎるって思ってるんでしょ。分かってるわよ、自分でも」
二十歳にもなっていない夕暉や清秀の方が、鈴より余程大人だ。出会った頃の清秀に至っては、図星をつかれて思わず手が出たこともある。
かえすがえすも、恥ずかしい。
「私でも、今さら思うわ。百年もいったい何してたのかなって」
「そうかな。鈴って、自分で思うよりも、ずっとすごいことしてきてると思うよ」
夕暉は苦笑して、自分が鈴を勧誘――という名の保護をしてからの日々を振り返る。
「いらっしゃいませ」
「お、お嬢ちゃんが新しく入った娘かい」
拓峰の町の宿屋に若い娘が雇われた、という噂はすぐに知れ渡った。
「なんだってこんなあばら屋にわざわざ?」
「えーっと……」
町の人間は、旅の男の子が無惨にも郷長に牽き殺されたあの事件を忘れてはいない。
しかし、その子の連れの少女の顔までは知らない者も多く、好き好んでこんな町に来るなんて一体、と毎度不思議そうに尋ねられる。
その度、鈴はどこまで説明したものか、と顔を曇らせるのだった。
「あばら屋で悪かったですね――ああ鈴、ちょっと裏の片付け、手伝ってもらえるかな」
そういうときは、さりげなく夕暉が助け舟を出すのがお決まりの流れになっていた。
「虎嘯はどうしたの?」
「兄さんに任せるとかえって仕事が増えるんだよ。鈴が手伝いに来てくれてうちは本当に助かってるんだから」
「あら、そう?なら張り切って働かせてもらうわね。それじゃお客さん、ごゆっくり」
裏へ引っ込む前に、ありがと、小声で夕暉に囁くと、鈴はいわれたとおり台所の方へと姿を消した。
「虎嘯のやつ、どこであんないい娘を見つけたんだか」
「なに?やっぱりあの二人、そういうことなのか」
鈴が曖昧に誤魔化すのもあって、どうやら虎嘯が成人前の恋女房を捕まえて囲っている、と考える人間も多いようだ。
別に、そう誤解されて困ることは特にないのだが――
「違いますよ。ちょっと事情があって、うちで預かってるだけです」
夕暉はなぜか毎度、律儀に訂正してしまうのであった。
慶はただでさえ女が少ない。給仕に若い娘がいるだけで繁盛する。
そんな中、嫌な顔ひとつせずくるくるとよく働く鈴は、仲間たちからも客からもすこぶる評判がよかった。
「なぁ夕暉、あの嬢ちゃんはどこの出だい」
「才です。残念ながら」
「……なんだ」
鈴の見ていないところで、夕暉は何度この会話を繰り返しただろう。
「慶の子だったら、うちの息子に是非と思ったんだがなぁ」
和州以外の人間と結婚すれば、この町から他の土地に戸籍を移して逃げ出せる。
その意味でも、自分や自分の息子の妻に、と鈴を望む声は後を断たない。
それを夕暉が間接的に断り続けるうちに――そろそろ面倒だな、と思い始めた頃だった。
「……この国の人って、本当に簡単に求婚するのね。夕暉のいう通り」
びっくりしたわ、と鈴が言うので、夕暉が何かあったか尋ねると、鈴は頬に手をあてる。
「今日来たお客さん。いま好いた相手はいるのか、とか自分と結婚する気はないか、とか色々聞かれて。いきなりが無理ならちゃんと段階を踏むから、成人するまでに考えてみて欲しいって」
「……皆、必死だからね」
こうなることを見越して、夕暉は鈴にあらかじめ説明しておいた。
おそらく、戸籍目当てで鈴に婚姻を持ちかける人間がたくさん出てくる、と。
「蓬莱では、一大事なんだから。誰かの家にお嫁にいくって……」
「その"イエ"っていう考え方がないから、海客のすす鈴が戸惑うのも仕方ないね」
こちらには居配という、婚姻を利用して任意の町に戸籍を移すのを仲介する仕事まである。これらは国が荒れる程盛んに行われるので、安定している才にいた鈴にはあまり馴染みがない話だったのだろう。
説明したときには、唖然としていた。
「結婚って、もっとこう……ああ、もう、こんなの夕暉に言っても仕方ないわね。木に子どもがなるんだもの」
「?」
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「生まれた国で決まってしまうことって、多いのね。私も流れ着いた先が海客に厳しい国だったら、問答無用で殺されてたかもしれないし」
運が良かった、とこぼした鈴は、自分で自分の言葉に驚いた様子だった。そう思えるようになった
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いつまでも子ども扱いされる夕暉が、時は進むし人は老いるよ、仙人になったら皆忘れてしまうんだろうけどね。だから僕だっていつまでも子どもじゃない、ってなる話、読みたい!!!となったので書きます
まとまるかな~~
いつでもみきり発車の自力救済
・弟扱いされている話
・泣いていた鈴のことを気にかけてるうちに、大事に想うようになる話
・清秀のお墓を尭天に移してあげたいという話
☆鈴が土地を持っていれば清秀はその土地に埋葬できるが、身寄りなく客死したものは閑地に埋葬され、七年で棺ごと骨を砕かれて廟に合祀されてしまう
→引き取りたいに決まってるのでどうにかするんじゃないか?
※虎嘯は拓峰の人間だろうけど、そこに土地はあるんだろうか……(ならそこに埋葬する、というパターンも考えられるが。話の導入で、虎嘯に清秀のお墓の話を聞いて、俺の土地の隅でよければ昔の仲間で町に残ってるやつらに面倒見てくれるよう頼むし、たまに帰って掃除してやったり……と申し出てくれたけど、さてどうしよう、的な感じにするかな)
→荼毘にするのは仏教の影響がある芳周辺国(雁も。衛生面から導入したのかな?ということは慶もならう可能性はあるな)
?明治時代の日本では火葬は主流か?(鈴が埋葬の仕方に希望を出すとしたら?)
→甕棺のなかに埋葬している場合、七年ではおそらく骨になりきれていないので、掘り返しても荼毘にすることになりそうかなぁ
(直に土に埋めて70年経っても土に還りきらずに腐敗臭がすごい、棺のなかなら装束や肉も残ってるという体験談をみた/※描写して気分が悪くなる場所は端折れ)
→生まれ変わり、という概念は十二国にあるのだろうか
→そもそも鈴は仏教徒か
(大木鈴、の字は歩き坊主習ったらしいので、まぁ仏教のうっすら先祖供養と輪廻的な教えはじわーっと広がって知ってたろう、多分)
毎回思うけど、日本の仏教の先祖供養と輪廻の概念矛盾してるよな(いつまでもお墓のなかに先祖がいたら解脱できてへんやんけ)儒教ミックスによるオリジナリティだったっけ?
閑話休題
☆和州の乱から七年経って清秀のお墓をどうにかする話
夕暉は十四、五+七歳なのでちょうど成人した頃合いだな
戸籍と土地はもらってるだろうけど使わないし、売ってるかねぇ……
大学にいるだろうか?
官吏になるのはもう少し先かな?
鈴の仙籍は才のまま……?
ん?王宮に使えるならその国の人間しかいかんかったっけか?なら慶の戸籍もろてるか?
官吏になったら給田を受けた土地はあるけど遊ばせている、みたいなパターンになるのか?
→そもそも鈴にとっての拓峰は負のイメージか?思い出すと辛いけど、仲間に会えた場所でもあるだろうしな……
→清秀の帰りたがってたところに葬ってやりたい的な考えもできるか
→ま、とりあえず拓峰の墓地の隅っこにそのまま放置なんてことはしないだろうから、どこに移すにせよお墓を掘り返す作業は必ず入るだろう
→となれば何かしらの物語はそこに必ずあるはず
→七年なのは七回忌的な区切りと同じかな~?仏教ないにしても
→死者の再生を願う、卵果を模した丸い甕棺のヒビを見て「もし生まれ変わったら会いに来てくれるかな」と思う鈴
→【捏造上等だオラァ!!な部分】
どうして七年で棺を掘り返すと思う?という夕暉
一説には天帝のもとに死者がたどり着いて、再び卵果になるのに七年かかるから
誰かの死後七年経ってから生まれた子どもは、その人が帰ってきたと考える人もいるから、その時機にあえて子を願う人もいる。
鈴は思う。故郷にも生まれ変わりという考えはあったけど、こちらは本当に天が親を選んで子を授けるというから、死者も本当に天に帰っているのかもしれない。
そして、強く願えばもしかしたら、再びその懐かしい魂と会えるのかもしれない、と。
?王は子をもてない、人ではないから、ということは、仙も人ではないから子どもは持てないのか?
(「仙籍」というくらいだから、人としての戸籍を返上して仙人になるのかなぁ……となると、所属する里がない→子を願える里木もない→子を持てない、となるのか)
・休みを合わせて取ったりするので、虎嘯と鈴ができてる、と王宮の皆が思っていたりする話(夕暉の休みに合わせて3人でご飯いってたりする)
・海客も里木に願えば卵果が実るのか、という疑問に、戸籍の条件さえ満たせば大丈夫らしいよ、試してみる?と軽く言われた鈴は気分を害した様子で、そっからのすれ違いと相互理解までの話
・夕暉は軽く言ったつもりはない
・鈴もこちらの婚姻に日本ほど重い意味がないことは知ってるけど、"あなたとの子どもが欲しい"に対する感覚差がどうしてもある(日本だとそれは肉体関係を望まれてるのと同義なので、反射的にぎょっとしてしまう)
・鈴は明治頃の人間として、まだまだ女にとって"嫁ぎ先"が一生を左右する時代に生きてたはずだから、陽子以上に子が要らないなら野合で済ます、みたいな感覚には馴染めない
・二世を誓う夫婦の契り、みたいなのへの、少女らしい憧れとかもあったりする(揃いの指輪を身につけて、互いが互いの唯一だと示す現代の蓬莱の風習への憧れとかね)
・いくら言ったところで、圧倒的少数派の海客側が夕暉たちに合わせないといけないのは理解してるから、これらの本音を口にできなくてなお拗れる
・夕暉は賢いので、自分に何か原因があることは理解してる
・鈴が怒ってないわよ、といいつつ目をあわせてくれなくなった理由を探って遠甫とか陽子に尋ねたりする過程で文化差を肌で感じる
・こういうのを繰り返していくうちに、相互理解を諦めて心を閉ざして自分の不幸に耽溺するだけの時間を過ごしたんだろうな、と百歳超えてもなお幼い鈴の人生を思ったりする
・鈴は清秀に会ってからは、己を恥じて自分の苦労や過去を語りたがらなくなってるからなかなか本音が聞き出せない(夕暉が理解しようとどんな想いで生きてきたのか聞いてみても、色々あったけど陽子みたいに殺されかけたりした訳じゃないし、親切な人達に拾われたのよね。考えてみたら別に大したことなかった、で全部まとめてしまう)
・でもそう思えるのは、世の中にもっと辛いことがあると知ったからだし、もっと辛い目にあったからだよねという夕暉
・もし、夕暉がどうしても米俵二つを抱えて市場まで運ばなきゃいけないとしたらどう思うか聞くと、三騅に乗せてあげるか貸してあげるわ、という鈴に笑う夕暉
・じゃあ、同じ荷物を兄さんが抱えていたらどう思う、と尋ねると、市場にいくならついでに何か買ってきて、とか用事を頼むかも、という
・荷の重さは同じでも、一人一人腕力は違う。もし同じ出来事が――同じと定義できるならの話だけど――起きたとして、それを易々抱えられる人、押し潰されてしまう人がいたって不思議ではない
・誰の苦労も、そんなの耐えられて当たり前、なんてことは他人には言えないよ。
可哀想な出来事があれば、程度の差はあれ確かに当事者は辛いんだ。
自分が一番可哀想だと決められないのと同じで、可哀想なんかじゃない、とも決められない。
・親に売られた鈴が、海客になったこと、言葉が分からなくて苦労したこと、仙になって言葉の暴力を浴び続けたこと。それを辛いと感じた鈴は確かにそこにいたんだから。それまで否定しなくていいんだよ。
・辛かったことを、実は辛くなかったんだ、と上書きできたことを喜ぶのは構わない
・僕より百年長く生きているって言うなら、その百年生きてきた鈴をなかったことになんかしないであげて、という夕暉に、ポロポロ泣き出す鈴
・でもあの頃の自分を振り返ると本当に恥ずかしくて、と言いながらゆっくり当時を思い出し始め、そんな自分が清秀にどう諌められたか語る
・なるほど。清秀に会う前の鈴だったら、たしかに僕はその場で適当に表面だけの慰めを口にして、そっと離れたかもしれないな、という夕暉がいうのに、そうでしょう、とうつむく鈴
・でも僕が出会ったのは、今の鈴だ
・人が人と出会うのは運命だけど、その時機や順番も運命だと思う
・清秀、と遺体にすがり付いて泣く鈴をみた拓峰の民のほとんどは、二人がたいそう仲の良い姉弟なのだろう、と哀れに思った
・事件の報告を受けた夕暉や虎嘯も、もし自分たちが同じように兄弟を亡くせばどんなに辛いだろうか、と胸を痛めた
・それも、偶然この町に立ち寄ってしまったばかりに
・自分の選択ひとつで、この世でたった一人の兄弟を亡くしてしまったとしたら
・轢き殺される現場を見ていた者の話を詳しく聞けば聞くほど、やるせない気持ちになった
・ゾッとするくらい痩せて、まともに歩けない様子で、焦点の合わない目で御者の方を向いて、呂律の回らない舌で何事かを口にしながら、どうにか迫る馬車から身を避けようともがいていた、と
・周囲の誰かが、助け起こしにいく勇気さえあれば、と歯がゆかった
・そして、同時に鈴の激しい慟哭と悲嘆を見るにつけ、改めて思った
・この町は異常なのだ、と
・こうして身も世もなく泣いて、壊れるくらいに嘆いて然るべきことが起きているのだと
・拓峰の民は、虐げられることに慣れてしまっていた
・どんな非道も、繰り返されれば心は次第に麻痺していく
・罪のない者が殺される、幼い子どもが死ぬ、こんなこと日常茶飯に起きている
・嘆きを表に出せば不満ありとしてさらに酷い仕打ちが襲いかねないから、家族を殺された者は忍び泣きに泣いて耐えた
・それを見ている側も、いちいち憤っては身がもたないくらい繰り返されるから、心は次第に波立たぬようになり、しまいにはこれが拓峰に生まれた運命、と諦める者もいた
・けれど、鈴のなりふり構わぬ涙が人々に本来の感情を思い出させ、夕暉たちの決意を新たにさせた
・自分たちだけ、土地を捨てて逃げ出せばいい話ではないのだ
・旅人だろうがなんだろうが、見境なく牙を向く昇紘はまさしくケダモノ
・絶対に除かねばならない害獣なのだ、と
・陽子に看取られた清秀の遺体を抱え泣き通した鈴の記憶は、正直途切れ途切れだったが、どうやら夕暉の仲間達のような心ある人達が、遺体の安置や埋葬の世話をしてくれいたらしい
・人ってあんなに泣けるんだな、と虎嘯たちの隠れ家で誰かがいった
・虎嘯は、夕暉が同じ殺され方をしたら俺は我を忘れて郷城に突っ込むかもしれない
誰が止めようが堪えきれるかわからん、と唸る
・夕暉も同様に兄を殺されたら、冷静でいられる自信はなかった
・誰かが、奴らの流儀を知らないあの娘が変な気を起こさないよう、見ててやらないと、といった
・穏便に町を出るまでは、それとなく皆で気にかけておいてやろう、と
・埋葬を終えて日が落ちかけてもその場を動かない鈴に、夕暉が声をかけたのは事件から二日後
・同情というよりも、余計なことをしでかす可能性を危惧してのものであったのだが、大事な肉親を喪えば人はこうなる、いうのを改めて実感しておくべきだと思っていた節もある
・明日には他の誰かがこうやって泣くのだ。その姿は見えなくても、必ず泣いている人がいる、と
・この喧嘩は、やる価値があるのだ、と
・そうやって納得させなければ、両親を亡くして以来育ててくれた兄に、ほとんど博打みたいな反乱の党首なんてさせられない
・拓峰から出られない以上、鈴みたいに泣く人がいたら、兄さんの性格では呑気に幸せに暮らすなんてことはできないし、自分もそんな兄さんが心配だから、幸せになれない
・だから、泣かないで欲しいな、と思った、と夕暉がいう
・図らずもそれは、陽子から聞かされた清秀の最期の言葉と重なっていた
・散々、姉ちゃん泣き虫だなぁって言われてたな、と鈴はこぼす
・あの時夕暉が引き戻してくれなかったら、鈴はまた己への哀れみのなかに沈んでいたかもしれない、と思う
・振り返って小柄な体躯が見えたとき、実は清秀かと思ってドキリとした、という鈴の言葉に夕暉は複雑そうな顔をする
・鈴のなかの僕は、あの夕暮れ時のままなんだね、と
・鈴にとって、不可侵の領域が清秀との思い出だ
・船旅の途中で出会って、たった数ヵ月もない短すぎる思い出
・まさか旅の途中に行き合っただけの元は見ず知らずの少年のために、あそこまで心痛めて泣いていたのか、と夕暉は少し驚いたものだ
・もちろん二人の間にどんな交流があったのかは、余人に量りようもないが、夕暉と出会ってからの鈴にとって、行動原理のすべてといっていい程、その存在は大きい
・泣くことは減ったが、鈴はことあるごとに、清秀のことを語る
・遠ざかり薄れていくことはあっても、決して増えることのない記憶
・交わした会話を反芻し、面影をなぞり、もし生きていたら、と幻を描いて、少しでも喪失を埋めようとするのは、自然な作用なのだと思う
・そこに、いるのだ
・お姉さん、と声をかけ、己の哀れみに溺れるなと諭した夕暉もまた、鈴が大事に抱えた不可侵の匣のなかに、清秀の記憶と共に収められている
・だから、いつまでも鈴は夕暉への態度を変えないのだろう
・夕暉は、清秀と重ねられているわけではない
・ただひたすらに、あの頃の夕暉のままなのだ
・鈴の清秀が永遠に生意気な少年であるように、その少年を喪った自分の手を引いてくれた手のひらの、その小ささもまた、鈴にとっては永遠なのだ
・なるほどね、と夕暉は腕を組んだ
・時は戻らない、死者は蘇生しない
・思い出が薄れた分だけ、輝きを増していく
・思い出のなかに確固たる居場所を得た死者は、正真正銘の不老不死になる
・でも夕暉は、生者だ。もちろん鈴も。
・仙の鈴は忘れてしまっているようだが、夕暉は大人になるし、鈴も同じだけの歳月を重ねている以上、いつまでも幼いままでいてもらっては困る
・そろそろ顔をあげて、前に進まねばならない
・あの日、墓標の前で立ち上がり、歩きだしたように
(下世話な話)
・蝕に巻き込まれようとも生き延びた海客の女には子宮と卵巣があり、男には陰茎と精巣があるわけなので、仮に十二国に流された健康な男女が致した場合は、蓬莱同様に女の胎に子が宿るのか?
海客は言葉が通じないんだから、虚海渡ったら自動的に十二国に身体を適応させる親切な仕組み、なんてのはないわけだし……(胎果ならまだしも)
……みたいな疑問に、鈴が(無意識にお腹をさすって)私がもし海客や山客の男の人と夫婦になって愛し合ったら、蓬莱みたいにお腹で育てた子どもを産むことになるのかしら、という発言をして、ものすごい剣幕で気になっても試したら絶対ダメっていう夕暉、という幻覚をみた
試すわけないでしょ!!って真っ赤になる鈴の幻覚もみた
・言っておくけど蓬莱に比べてこちらが性に奔放なわけではないからね、そういうことを不特定多数の人間とするのはこちらでも褒められたものではない、という夕暉
(病気とかもあるので基本的には野合だろうが特定の相手としかしないのが普通)
・そこが蓬莱と違うのよね、という鈴
子が欲しければどんなに行為が嫌でも共寝は避けられないし、快楽のみを求めていても行為をすれば望まぬ子を授かる可能性がある
(だから堕胎なんて、十二国では狂気の沙汰だろうな……)
<脱線>
でもせっかく授かった子を不徳で死なせる親はいそうよね
王が麒麟に選ばれていても道を踏み外すように、一度親の資質を認められたとしても、生活苦とかで歪んでいき、やがては子を虐待してしまう人間とかもいるんじゃないか?
達姐が、自分が子を死なせたのは天から取り上げられてしまったからだ、といってた気がするけど、あれ自責じゃなくて本当にそうだったりして……
悪どいことしてると報いが子に返る、みたいな
(でも国が荒れて食わせてあげられない結果の飢死とかもあるだろうしな……これも必要とする飯を与えない、という行為のみを見れば虐待と同じだから、結果的に育てる力がない親の子はみな死ぬって意味で、不可抗力でも天が取り上げたと取られるのか?)
衣食住に不自由してないのに子が二十歳前に突然死、みたいなときは、天が無理矢理連れていった的な意味の○○死、という表現とかありそうだな
そういや親を虐げてるパターンはみた(斡由)けど、子を虐げてる場面はパッと思い付かないな……実の子を捨てるシーンはあった
他人が他の誰かの子を殺すシーンは多々ある
(清秀は筆頭。結果的に未遂だったけど幼い更夜を海に突き落とすとか、桂桂を刺すとかもある。これで死んでたらこれもまた親の不徳になるのかな?いやそもそも親無しの子が多いしな、現代の倭の子どもが死ななくなってるだけか……一昔前は兄弟八人中成人して孫までいるの四人以下とかざらにある)
</脱線>
ーーーーーーーーーーーーー
夕暉は虎嘯と鈴がいい感じだと思ってたから最初からそういう目で見るのは止めようと思ってたけど、李斎が来て去ったあとに「なんか、私や祥瓊を見るのとは違ったのよねぇ」となり、まさか兄さんが、と驚く夕暉
本人は無自覚だと思うわよ?
相変わらず寂しがりやで、人が増えるほど嬉しそうだし、去ってしまえば寂しがる
……将軍は虎嘯がいなかったら本当に助からなかったと思うし、陽子……主上も特別気にかけていたから
私もね、どうか目を開けてくれますようにって、何日もそばでずっとついてたわ
虎嘯の性格じゃ、情が移って当然
でもね、やっぱり……なんだろう
明らかに気落ちしてるのよねぇ
ふぅん、と夕暉は曖昧に言葉を返す
兄のそういう話を聞かされるのは、なんだか落ち着かない
※鈴が虎嘯とそういう関係じゃないといわれてはじめて、自分の射程範囲に入ってきた感じ
元から兄さんはみんなに好かれて当然と思ってたから、勝てるはずない、的な
ーーーーーーーーーーーーー
仙の鈴は、これでも齢百を超えている
しかし、生きてきたそのほとんどの年月を、耳目を閉ざし、外界と隔離された仙洞で朝から晩まで梨耀から虐げられるに任せてきたので、精神的な成長はほとんどしていないといってよかった。
誰と話しても、見かけ通りの十六かそこらの娘としか思われないだろう。
いや、むしろ海客でこちらの常識に疎い分、平均よりも幼く見られがちだった。
――そんな鈴に、夕暉はいつまでも子ども扱いされている。
数字のうえでは、間違いなく夕暉の方が若い。
ただ、先ほど述べたように鈴は長く生きているというだけで、精神年齢も見た目も夕暉とさして変わらない。
出会って数年、いつまでも子ども扱いされるいわれはない――というよりも、まだ昇仙していない夕暉の見かけの変化は、成長期を過ぎて著しいはずだ。
兄ほどではないが、順調に背も伸びているし、声変わりだって済ませている。
誰がみても立派な青年だ。
そして、見目の方もたぶん、悪くはない。
利発で可愛い男の子、と近所でも評判で、幼い時分にはおば様方から夕暉ちゃんと可愛がられていたし、店屋におつかいにいけばでかい兄貴の分も持っていきな、とオマケをしてもらったり。
故郷を離れ大学に通い始めてからは、それがより顕著になった。
異性から今度食事にでも、と誘われることも増えたし、休みの予定を尋ねられることも増えた。
「あら、また来たの?」
けれど、幾多の誘いを蹴って訪れた鈴の態度にはいっかな変化がなかった。
「ねぇ最近、休みの度に来てるんじゃない?虎嘯だって仕事があるんだから、事前に確認したらいいのに」
「だから言ってるでしょ。兄さんはついでで、鈴に会いに来てるんだって」
夕暉が出された茶を啜りながら答えると、鈴は調子のいいこと言っちゃって、と笑う。
「さては、文に書いたこれが目当てね?本当に甘いもの好きなんだから」
棚から高そうな焼き菓子を取り出す鈴に、夕暉はただ笑うしかない。
「蛋糕(かすていら)、だったかな」
「私の時代にもあったけどね、食べるのは初めて」
言いながら、鈴は淀みなく四角い海綿のような固まりを切り分けにかかる。食べたいなんて一言もいっていない夕暉の分も。
砂糖と卵と乳という、庶民には高価な材料をふんだんに使ったそれが、不味いわけがない。
特に、胎果の王が記憶頼りに作らせてみた倭国の料理や菓子の類は、目にも舌にも楽しい一品だ。
同じ虚海を超えた娘同士、鈴はよくそのおこぼれを分けてもらうらしいのだが、好奇心旺盛な夕暉は、それを目当てに足繁く通ってくるーーと、いつの間にか、鈴のなかではそういうことになっているらしい。
確かに、 「主上がまた何か作らせたんだって?」と、何度か自室に招かれる口実にしたのは事実だが、夕暉は普段、菓子を好んで食したりはしない。同じ腹を膨らませるなら、年相応に肉や魚が食べたいと思う。
そう、年相応に。
「甘いものもいいけど、たまには外に出掛けて食事でもしない?」
気になる異性を誘ったりもするのだ。
「いいわね、じゃあ虎嘯と――陽子はさすがに無理かもしれないけど、祥瓊には私から声をかけておくわ。あとは桂桂と……」
みんな上手く休みが重なるといいけど、と
鈴が次々と知人友人の名を挙げていくのに、夕暉はまた笑みを浮かべるしかない。
――二人で、を省いた時点で、敗北は決していたのだ。