「徹底した自己管理、健康維持も仕事のうちなのだよ。風邪を引くなどあってはならない」
――そう偉そうに講釈垂れていたのは誰だったか。
目の前には力なくベッドに臥せている怜侍さん。いつかベラベラと饒舌に語っていた人と同一人物とは思えないほどに憔悴しているように見える。
「最近流行ってますからねえ、風邪」
「……」
ここ最近は昼と夜の寒暖差が激しく、体調を崩す人は少なくない。局内でも熱が出て休む人が出ている(的な何か)。だから別にこれは恥ずべきことでは無い。確かに、怜侍さんが仕事を休まざるを得ないぐらいレベルなのは珍しいなとは思ったけれど。
「な……、」
……どうやら声を出せないほど喉が荒れているらしい。その一音を発するだけで相当辛かったのだろう、しゅんと黙ってしまった。可哀想だ(みたいな感想が欲しい)。しかし声が出せない代わりに、「何故ここにいる」とでも言いたそうにジトっとした視線をこちらによこした。バツが悪いので知らんふりをさせてもらう。
こちらから言わせれば、そもそも私一人でこのマンションに立ち入れる範囲はエントランスまでだ。残念ながら合鍵は持っておらず、そこから先は怜侍さん次第。インターホンに映った私を突き返すことだってできたはず。無言で大きな自動ドアが開き、その後すぐに「玄関の鍵は開けておく」と書かれたメール。だからつまり、そういうこと。内心、私が来て嬉しいと(←あとでおんなじこと言うしな~~~感が否めない)
思えば、怜侍さんの家にはいつも彼と一緒に来るばかりだった。こうして一人で訪れるのは初めてだ。頻繫に来ているし、とっくに慣れたと思っていたけれど、それは勘違いだった。彼がいつも開けてくれていた大きなすりガラスの自動ドア。今日は大きく立ちはかる壁のようだった。(ドアに対して壁という例えはどうなんでしょうか???)
当たり前か。ここは怜侍さんの家であって、私の家ではない。
//首から下は完全に布団の中にもぐっている様子をどこかで示しておきたいところですが…
買い物袋を床に置いて、軽く中のものを漁る。ここに来るまでに、道中のドラッグストアに寄って買ってきたものだ。
「濡れマスク買ってきましたけど、いります?」
「ム……」
「じゃあ置いておきますね」
3枚入りの箱を取り出して怜侍さんに見せると、視線だけで頷いた。怜侍さんが使わなければ私が使おうと思って買ったけど、どうやら使ってくれるらしい。私が帰ったあとにでも使ってもらおうと、ベッド横のサイドテーブルに置いておく。
冷えピタ(メモはここで途切れている・・・)←お買い物メモだな。
「冷えピタ貼ります?ていうか貼りましょう。気持ちいいので」
買ってきたものを取り出して、並べる。
(ウィダーとか。レトルトのおかゆとか?食べ物系はキッチン周りに置いておくべきでは?なのであとでキッチンに置く描写を入れておきます。)
汗かいてるだろうし、スポドリも。
「病院行きました?」
「行った……」
「じゃあ薬はもらったんですね」
怜侍さんはこくりとうなずいた。よく見ればテーブルには飲みかけのペットボトルの水と、薬の殻。(????) 薬を飲んだらしき痕跡が残っていた。
いつもの覇気がなくしおらしく見えるのは気のせいなんだろうか。
じーっとこちらを見る視線が痛い。悪いことしてないのに。
「……何考えてるか当てようか」
「……」
「うつしてしまったらどうしよう。申し訳ない。なんで来たんだ!」
「」
「……でも本当は来てくれて嬉しい、とか?」
//ぐぬぬ顔の方がよさそう。
「しんどいなーって時ぐらい、素直になっていいんですよ。まあ、気が向いたらでいいですけど」
「じゃあそろそろ帰りますね。あんまり長居するのも申し訳ないし…」
「……!」
手を取られる。今日初めての接触(言い方)。その手は(ナントカ)のように熱く、~~~~~~
「……もう少しだけ、そばにいてくれないか」
聞きなれないガサガサの声。
手握って待つ。気付いたら寝てる御剣。
御剣の寝顔、見た過ぎるな。
(後日合鍵もらう。やったね!←ここまで書くかは文章の収まり次第で決めます)