さて9月も終わりが近づき内臓が全体的に冷えてきました。しかし気温はまだまだ下がらないという。これでようやく気温が下がったと思ったらすぐに冬になるんだよな。もはや秋は小さい秋を通り越して微粒子レベルでしか存在していないのでは。
・ペンギン・プロジェクト(レニィ氏)
 「宇宙人は実在しており、密かに地球人類を監視している」というのはSFやオカルトではお約束の展開ですが、本作はそれをペンギンに当てはめた一編。
 本作から感じるペンギンイメージは「エクソダス」。
 前述の通り、本作は水族館でペンギンの世話をしているスタッフが「ペンギンの正体は宇宙人で、今も人間を監視している」という与太話に興じており、しかしてそれは事実だったというもの。
 しかし本作がうまいのは、「ペンギンは本当に宇宙人の末裔だった!」で終わらずに、そこから視点を宇宙人の末裔たるペンギンの方に持っていっているところ。
 そもそもタイトルにある「ペンギン・プロジェクト」とは、惑星アンスロポルニスに生息していた人鳥類が、惑星の滅亡の危機に当たって移民可能な環境を備えた惑星を発見するための計画でした。その計画のために作られた人工生命体こそが「ping」通称ペンギンだったのです。
 これのおかげで、本作の世界観は中盤から後半にかけて一気に大きく広がっています。ワザマエ!
 そして、pingが次第に数を減らしていき、希望が失われつつある中での希望をほのめかす物語の閉じ方もいい。物語の広げ方と閉じ方については非常に学ぶところがありました。
・空の果てをめざしたペンギンと竜のはなし(エンプティ・オーブン氏)
 本アンソロジーでは珍しい、ファンタジー方向に振った作品。
 本作から感じるペンギンイメージは「空への憧憬」。
 ペンギンという動物をフィクションに登場させるにあたっては、やはり「飛べない鳥」という側面は非常に重要です。
 本作におけるペンギンは、かつてパートナーであった竜と戦の中で離れ離れになっていたところ、「片翼の竜が空の果てを目指して飛び続けている」という話を聞きつけます。彼はさまざまな人々からの協力を得て、かつてのパートナーであった竜との再会を目指します。
 物語に登場するキャラクターはキャラ設定以上に物語上の役目が大事だと思っていますが、本作における竜はまさに飛べない鳥であるペンギンの持つ空への憧れそのものだと言えるでしょう。届かないからこそ希求する。
 たくさんの人々の手によって作られた飛行機に乗って、ペンギンはかつてのパートナーであった竜との再会を果たします。ペンギンは空の果て=宇宙にまで到達した場合、自分の身がどうなるか知っていたうえで、空の果てへと飛んでいったのでした。
 これを見届けているうちのひとりがロボットというのがいいですね。事故保存本能やリスクから逸脱したペンギンの行動を、どこか羨望をたたえたように見送るロボットの姿が印象的でした。
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ペンギンSFアンソロジー感想その27
初公開日: 2025年09月18日
最終更新日: 2025年09月18日
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