めも
え、セリフ調べてくるね(情弱)
「ひとーつ!士道に背くまじき事!」これこれ
♡飛んできた……!!!
タイトル
かねちゃんのおおごえ
本文
武道場に一番乗りした和泉守兼定は、竹刀を肩にもたせかけて、すう、と息を吸った。
「ひとーつ! 士道に背くまじき事!」
朗々と声が響くのが、なんとも爽快である。続きも言ってやろうと、もうひとつ息を吸う。
「ふたーつ!」
「かねちゃん!」
「うお、主じゃねえか」
ひょこ、と引き戸の影から顔を出したのは、和泉守兼定の主。といっても、諸事情により、まだ言葉の拙い幼児である。
和泉守兼定が慌てて声を引っ込めたのも、以前この大音声で驚かせて、泣かせてしまった苦い思い出があるからだ。初期刀の山姥切国広にすごい顔をされた。あんな思いは二度とごめんだ。
「稽古を見に来るたぁ、立派なつとめじゃねえか」
審神者を抱き上げると、彼女は楽しそうに右の拳を突き上げる。
「ひとーちゅ!」
「俺の真似か?」
「かねちゃんのおっきなこえ!」
「あのときは悪かったよ……」
さておき、今日は乗り気のようなので、和泉守兼定は審神者を横に下ろして、腰に手を当てる。
「じゃあ繰り返せよ、ひとーつ!」
「ひとーちゅ!」
「士道に背くまじき事!」
「しょしょーにしょむむむこと!」
和泉守兼定はずっこけた。まあ、たしかに、まだこの歳の子どもには難しい言葉だ。しゃがんで視線を合わせ、大きくゆっくり口を動かす。
「しどうに」
「しょしょーに」
「し・ど・う」
「しおーに」
「そむく」
「しょむむ」
「まじき」
「まきき」
「こと」
「こと!」
「うーん、まあ、こんなもんか?」
審神者は満足げににこにこ笑顔だ。なら、いいか。
よし、と和泉守兼定が立ち上がると、何やら視線を感じる。そちらに視線をやると、指でカメラの形を構えた堀川国広が目を輝かせていた。
「なぁに見てんだよ!!!!」
「だって、可愛すぎるよ……!!!!」
「ほりくん!」
「はーい主、さっきの兼さんのセリフ、言えるかな?」
審神者はちょっと真面目な顔でぐっと唇を結んだ。緊張の一瞬。
「しおーにしょむむまききこと!!」
「「可愛い……!!!!!!」」
ふたりが崩れ落ちていると、さらにあとから来た山姥切国広に、「何してるんだ、お前ら……」と呆れられたのだが、それはまた別の話。