夏コミ原稿も一段落しましたがこれから紅楼夢、冬コミと俺達の戦いはこれからなのでなんにも終わってません。
 そしてペンギンSFアンソロジー下巻の感想もこれからなのでどんどん書いていきますよ。
 この感想を書いている時点ではまだ下巻は読み終わっていませんが、上巻は直球のSFを感じる作品が多かったのに対し、下巻はファンタジー色が強い作品が集まっているように感じられました。
・月とペンギンとチョコレート(高橋志歩氏)
 下巻の最初を飾る本作は、泥酔したサラリーマンが月夜に踊るペンギンと出会うなんともファンタジックなお話。
 本作から感じるペンギンイメージは「妖精」。月夜の下という特殊な状況でのみ出会える不思議な存在といった感じです。
 ペンギンを「月の鳥」と語る十二単の謎の女性、名前や出自は書かれてはいませんが、まあ明らかに我が国最初にして最古のSF作品と言えるあの作品のお姫様ですよね。
 夜中の独り歩きをした人はわかると思いますが、知っているはずの町並みがまったく別のものに思えて、なにか日常では起こらない不思議な出来事が起こりそうに思えるもの。本作はそんな不思議を求める心に答えてくれる作品でした。
・ペンギンの国(秋待諷月氏)
 「繁栄の花」だこれ!!!
 本作から感じるペンギンイメージは「侵略者」。本作は間違いなく侵略系SFであると言えるでしょう。侵略する側に侵略の意思はなく、侵略される側には侵略されている自覚はありませんが。
 ペンギンの持つイメージはなんといっても「可愛い!」が真っ先に出てくると思います。本作ではその可愛さが人類社会を癒やし、数々の社会問題を解決し続けて来たことから、国民ひとりにつきペンギンを一羽与えるという法律ができた社会を描いています。
 無条件で人間社会が幸福になる話には絶対にあとからロクなことにならないというのは「繁栄の花」で性癖がおかしな方向に曲がったSF好きなら当然わかることですが、本作はその「ロクなことにならなくなっていく過程」をしっかりじっくり、そしてジャパニーズホラーを思わせる不穏さとともに描いてくれているのでそっち方面のリビドーが満たされました。
 こういう「完璧な幸福」はそもそも歪んだものだというのには、P・K・ディックの味わいを感じます。
 今日はここまで。
カット
Latest / 31:28
カットモードOFF