食料の買い込みに30分くらい外に出て帰ってきただけで汗だくになってしまう昨今、皆さんいかがお過ごしでしょうか。わたくしなもうだめです。
・海が消えた日(久住氏)
 ページ数にしてわずか5ページの掌編の形に、まさにカラビ・ヤウ空間のごとく壮大な世界観が折りたたまれた珠玉の一編。
 本作から感じるペンギンイメージは「幻想の存在」。
 人類文明から遠く離れた南極大陸に住む人鳥ことペンギンは、本作においては高次元断層の向こうを自由に泳ぐ波動存在として描かれています。
 宇宙空間は海に例えられますが、本作の高次元断層に囚われて滅びゆく人類の生き残りである主人公が宇宙という海に幻視するドローンが舞う姿があまりにも美しい。
・人鳥(上雲楽氏)
 そもそもSFは大ウソぶっこいたもん勝ちという世界です。その大ウソは大真面目であればあるほどいい。
 本作から感じるペンギンイメージは「鼻行類」じゃねーかこれ!
 ボルヘスの「幻獣辞典」を引用して謎の動物「ペンギン」と人類社会の関わりを語り……ではなく騙ります。
 あまりにもそれっぽすぎて100人に読ませたら80人くらいは本気にしそう。「人類とは異なる形態のインテリジェンスが存在するという確信は特にキリスト教圏において広く共有された」とかなかなか危険な一文も。
 ペンギンというのはこれほどの大ウソを仮託されるほどの神秘性を帯びた存在と言えるのだなあ。
 今日はここまで。
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