あなたの小さなお題は特待生 玲音くんで
【言葉や単語】・着替え
【台詞】・『………にゃーん』
【場所or天候or季節】・電車内
なんてどうでしょう?
ゴトン……ゴトン……
任務の終了、アカデミーに帰るの銀河鉄道に乗ったはずが、いつの間にか眠り込んでいた私の耳に心地よく揺れる電車の響きが遠く聞こえてくる。
眠っているような起きているような、夢うつつの中でどこかの駅に着いたのがアナウンスで聞こえた
次の停車駅は〜
ああ、まだ終点じゃないなぁ
開きかけたまぶたがまた落ちる
プシューという音と共に、ドアが開き誰かが乗り込んでくる気配がした
「……ああ、もう、最悪、雨降るとか予報にないんだけど」
どこか聞き覚えのある声の主
踏み込んでくる足音が雨音と水の滴りに混ざって低く響いた
「うーわ、最悪、下着まで濡れたじゃん、帰ったらもう絶対風呂入ろっと……おきにの入浴剤切らしてんのに、あーあー」
声の主は、椅子の背に隠れた私に気がつかないようで、だんだんと近づいてきているようだった。
んん……
重たくなっていたまぶたが、声に釣られて少し軽くなる
あ、この声
れお、くん??
思ったのとバサッと濡れた服をはたく音がするのが同時だった
勢いよくずぶ濡れの上着を脱いだ玲音くんが、斜め前にいる!
ば、バレたら大変なことになる?なるのでは?!
出来るだけ身を縮めて見つからないように無駄な努力に励んでみる。
ああ、見つかりませんように……
「ねぇ、なんか言うことあるでしょ?」
祈りは虚しく、椅子の背に手を掛けてかがみ込んでくる玲音くんの前髪から、冷たい雨の雫が落ちて私の頬に落ちてくる
じっとりとした目で見据えられると、もう言葉が出なかった
「人の着替え、覗くとかさあ」
「にゃ、……にゃあん」
猫のフリをしてごまかそうという悪あがきは、もちろん通じる事はなく、この後アカデミーに到着した私は、大変な代償を払わされることになるのだが、それはまた別の話である
「とりあえず、帰ったら購買部まで走って、お気に入りの入浴剤買ってきて」
「えっと、お気に入りって、どれでしょうか?」
「当ててみてよ」
無理難題が、これからしばらく降ってくるのを覚悟しながら、ボーッと綺麗な目を見上げてしまった
水も滴るなんとやらって、本当なんだなぁ……