例大祭が終わったら夏コミなんてもうすぐなのでどんどんやっていきます例大祭戦利品レビュー。
・あたいとげんそーきょー~飛べない霊夢~(北国もやし製造所)
「あたいとげんそーきょー」シリーズではあるものの、本作は霊夢がメインキャラ。自身のアイデンティティとも言える「空を飛ぶ程度の能力」を突然失った霊夢の、「博麗の巫女」ではない霊夢の1日を描きます。
世の中に偶然の奇跡というものはたくさんありますが、この作品の感想を5月11日の母の日に書いているということには運命を感じますね。
「巫女としての能力を喪失する霊夢」「擬似親子としての紫と霊夢」は東方二次創作における古典的なテーマのひとつですが、本作ではそんな霊夢の姿をフルカラーで鮮やかに描いています。
本サークルさんの作品では、これまでもしばしば博麗の巫女たる霊夢の「隠れた弱さ」をが描かれてきましたが、本作では「空を飛ぶ程度の能力」を喪失させることでそれを直接的に描いていると感じました。
また、本サークルさんの作品はキャラクター単体にフォーカスしていると言うよりはたくさんの人妖が入り交じる様子を好んで描かれている印象があります。しかるに本作は、ただの人間になってしまった状態の霊夢がたくさんの人妖のもとを訪れることで、各々のキャラクターから「ただの人間になった霊夢がどう見えるか」を描いています。
個人的には同じ巫女である早苗さんかとのやり取りが、いかにも気心の知れた友達という感じで好き。
霊夢を連れ回すのが魔理沙というのがまた象徴的。「空を飛ぶ程度の能力」の喪失という欠落を埋めるのが魔理沙というのがとてもいい。これまでの作品で、霊夢から魔理沙に対してはけっこう依存的な感情が伺えてましたが、これを「空を飛ぶこと」を任せるという形で描いているのは作劇的に非常にスマートだと思います。
そして本サークルさんの作品では基本的にだらしない寝巻き姿の紫さまがちゃんと正装して「おかあさん」してるのがいい。それに対して霊夢がだんだん子どもになって甘えていくのも好き。その甘えの象徴的な行為として「普通の格好で人里で遊びたい」を出してきたのがなんとも……。
本サークルさんは毎回賑やかなフルカラー本を描いておられますが、本作のラストシーンの夕暮れはその威力が遺憾なく発揮されたシーンだと言えるでしょう。
今日はここまで。