お題「1㎝」
たぶんエスデュワンドロにあったやつ ちゃんと確認してない
エスデュで1㎝といえば身長差
まぁ素直に身長の話だけしてもつまんないからなんか捻るか……
→単に距離の話するか?
→膨らむか?
→そも身長1㎝ならほぼ誤差だし背骨の伸び具合でいくらでも変わるやつじゃんね
→じゃあエスデュの身長差逆転させるか! エースの方が身長1㎝高いやつ!
→誤差で笑う
→たぶん計測はオルトがしてくれる オルトが有能すぎるけど本編でもイベント時空でもあらゆることをやってのけてくれるワンダーボーイなので……
→抜かされたデュースがどうするかっていうとまぁ身長を伸ばすよね 栄養を取って運動して寝るんだ
→寝る時間を確保したら勉強が進まなくなって頭を抱えるんだ
→限られた時間で効率よくスケジュールをこなそう! 専門家がいますね? そう、リドル寮長です 彼は分単位のスケジュールを年単位でこなし続けてきた努力の人……
→タイムスケジュール組んでもらってこれで安心だ! したものの、たぶんそれをこなすには習熟が必要なんですよ 寮長はもうそうするのが当たり前だから何でもないような顔でやってのけるけれども きっと「スケジュール通りに」こなそうとして返って失敗するのがデュース
→たぶんスケジュールの隙間に突発的に挟まってきた補修とかイベントとかに対応しきれなくて固まっちゃうと思うんだよな
→ここで要領の良さに定評のあるエースくんの登場です
→デュースのスケジュール管理なんてもう喜々としてやるじゃん たぶんデュースには教えないけど
→周りがやれやれして終了 オチもついたな! では始めます
(エース視点)
「計測完了。エース・トラッポラさんの方がデュース・スペードさんよりも1㎝身長が高いね!」
 オルトにそう宣告されたデュースの顔は、たいそう見物だった。背景に「ガーン」というテロップがでかでかと掲げられているのが見えるかのよう。オレは固まるデュースの肩に無理やり腕を回し、そのまあるい頭をうりうりと撫でてやった。実にいい気分だ。九月の身体測定でたかだか1㎝上回っていたくらいで、これまで延々マウントを取られてきたのだから当然だった。
「ヘーイデュースくん、ねぇ今どんな気持ち? 1㎝下から眺める景色は一体どんな感じですかーぁ?」
「ちょ……やめろエース、離せ! たかが1㎝だろうが! だいたい今日まで1㎝しか差がつけられなかったんだったら、僕だってすぐに逆転してみせる!」
 食事の量も運動量も上だし、夜更かしだってしてないからな! オレの腕を振り払って胸を張るデュースだったが、近寄ってきたオルトはカメラアイをきゅるきゅる言わせてデュースを観察した。
「睡眠不足の兆候が見られます。デュース・スペードさんも夜更かしをしてるみたいだけど?」
「う……ぼ、僕のは夜更かしじゃない。いつまでもスマホでゲームしてるエースと違って、ちゃんと予習復習をしてるだけだ」
「それがなかなか終わんなくてテッペン越えてんだから大して変わんなくね?」
 何なら日によってはオレが寝落ちして起きたとき、落ちる前と同じ姿勢でウンウン唸ってたりする。それで朝のランニングを飛ばさずにこなしてるんだから、睡眠時間が足りないのも致し方ないだろう。
「睡眠時間が不足すると集中力や免疫力が低下するし、記憶の定着が進まなくて学習効率が落ちるよ。予習復習は確かに大事だけど、まず身体機能を整えるところから始めた方がいいと思うな」
「オルト……そうだな、優等生なら自分の体調管理もできて当たり前だ。今日からはちゃんと消灯時間に寝るようにしよう」
 オルトに向けて頷いて、デュースはギンッとこちらを睨んできた。だからさ、お前ガンつけると元ヤンがばれるからやめとけって。
「見てろよエース。飯食って寝て運動して、今月中にお前を追い抜かしてやるからな!」
 何なら身長差を10㎝にしてやるとまで吠えられたが、それはそれで成長痛で死ぬんじゃね? と思ったりした。
 なおこの様子を監督生に話したところ、「背骨の関節ってけっこう収縮の幅があるから、午前と午後で1㎝くらい差ができるのは当たり前らしいよ」とのことだった。つまりオレとデュースの身長差なんか睡眠時間と起床時間のバランスでいくらでも変わる、誤差の範囲内らしい。めちゃくちゃ微笑ましい目で見られたため、購買で牛乳を買い込むのはやめにしておいた。
 というわけでデュースくんの規則正しい生活が幕を開けたわけだ。
 朝は早起きしてランニング、食事は主食1・主菜1・副菜2を心掛け、部活はしっかりこなして消灯と同時にベッドに入る。元々体力自慢の健康優良児は、今週は特に溌剌としていた。オレとしても、目の下にたまに居座るクマが見られなくなって大変よろしいと思う。
 ただ問題がないわけではなかった。元々デュースの夜更かしは基礎がすっぽ抜けた学力と効率の悪さから来るもので、睡眠時間を確保した場合、当然のごとく勉強に使っていた時間は削られることになる。
 結果はこちら、今週行われたテストとレポートの散々な評価だ。赤点まみれのそれを前にデュースは寮の自室で膝を折っていた。オレとしては、まぁこうなるだろうな、という感想。何でもかんでもうまくいく人生なら、デュース・スペードはこうなっていない。
 一通り打ちひしがれたデュースが向かったのはリドル寮長のところだった。元々寮長に勉強を教わることも多かったデュースだから、困ったときに寮長を頼る選択肢は取りやすかったらしい。寮長の方も学習意欲のある寮生を助けるのはやぶさかではないらしく、いそいそとデュースのための学習計画表を作るなどしてやっていた。
 たぶんあんまり同意されないだろうな、と思っているので人には言わないでいることだが、リドル寮長とデュースはちょっと似ている。「やらなければできないんだから、できるまでやる」という脳筋思考だ。
 というわけで出来上がったのが「デュース・スペード専用デイリースケジュール」である。授業・部活・睡眠の時間を確保した上で、予定を組み合わせて少しでも学習の時間を増やすべく寮長が顔を真っ赤にしながら作成した、デュースのための一日のスケジュール表だ。ちなみにガチで分単位だし移動は基本早足で行うことになっている。廊下を走るのは校則違反だからだ。
(続き)
どう見てもそれなりに無茶なスケジュールだったが、立てた当人のリドル寮長は何も思わずにこなすんだろうし、受け取ったデュースは普通に喜んでいた。そして何の疑問も持たず忠実にこれを実行しようとした。
 朝、起きて顔を洗ってランニングをする(寮長はデュースの部活の成績も考慮してトレーニングの時間もちゃんと組み込んでいた)。戻って軽くシャワーを浴び、身だしなみを整え直して朝食。授業を受けつつ空き時間には寮長お手製の単語帳で各教科の重要単語の暗記。昼食を摂りながら魔法史系チャンネルのweb配信を流し見て用語の耳馴染みだけでもよくし、移動教室の際は他の生徒にぶつからないよう注意しつつ公式の暗唱など試みる。部活の前に少しでも課題を進め、自主練は大会前でもないから控えめに。夕食の前後にも課題の時間を取って消灯時間に就寝。
 デュースは忙しなく日々を過ごしていた。朝は慌ただしくオレを蹴り起こしてから食堂へ行き、休み時間は教科書か単語帳を睨みつけ、「座る時間が惜しい」と脇に抱えた教科書類を落としそうになりながらメモを取る。ようやく授業が終わったと思えば「空き教室で課題やってくる」とすぐさま教室を去り、ここは後輩の矜持として部活の片付けだけはきっちり済ませてから帰寮。シャワーと食事を大慌てで済ませ、消灯までの時間をウンウン唸りながら課題と睨めっこ。それでも消灯の点呼の頃にはベッドに入るようになっただけ、マシだと思っていたかった。
 リドル寮長とデュース以外の全員がわかっていたことだが、デュースはパンクした。
 そもそも寮長のスケジュールは、「デュースがポカやって補修や追加課題を出される」ことを想定に入れてない。正確に言えば「入れてるけど見積もりが甘い」。スケジュール通りに行動したくても、デュース本人が寮長が想定してるよりお馬鹿さんなのだ。小テストの範囲勘違いしてて赤点取って補修が追加、隣の大釜のトラブルに巻き込まれてレポートが増量、更にはいつもの学園内の面倒ごとも加わって、あっという間にデュースのキャパを越えてしまった。
 ある日運動着を着たデュースが片手に洗面道具、片手に魔法薬学の教科書、鞄から実験着の白衣をはみ出させたまま机に広げた占星術のレポートを睨んで固まっていたとき、オレはこりゃダメだと思って寮長に直談判に行った。あのスケジュールをこなすには、デュースの偏差値があと20は上がらないと無理です、と言いに行くために。
「――デュース、午前のToDoリスト見せて」
「ああ。こんな感じだ」
 リングメモの今日のページに増えた文字を追う。魔法史のレポートと動物言語学のテスト予定日は共通、体力育成の測定は三日後……陸上部の買い出し? そういや今日廊下に呼び出されてたのコレか。じゃあ週末時間削れんじゃん。錬金術のレポートせっついとくか。
 奢らせたフラペチーノを啜りながら、他の日のメモもめくりつつ今日の予定を見直す。レポートと課題と予習に復習、こいつは体を動かさないとストレス溜めるから陸上部の活動は最低限確保しておかないとキレる。深夜三時に奇声を上げながら薔薇の迷路を疾走する不審人物を回収するのはもう勘弁してもらいたい。
 というわけでデュースの専属マネージャーに収まったのがオレだ。デュースは心身の成長を妨げないまま学業を修めたい、オレはデュースの猪突猛進でオレが被る被害を極力抑えたい、寮長は一年問題児筆頭のオレらをまとめて管理したい。各々の認識について言いたいことはあるものの、全員の要望をまとめた折衷案がこれだった。デュースは本人の自覚のない無理でキャパオーバーしなくなる、オレはデュースの無茶による弊害をある程度コントロールできる(あと対価のドリンクやスイーツをせしめられる)、寮長はデュースと一緒にオレのサボり癖も管理できる(何せ同クラなので出される課題はほぼ一緒、オレだけやってないなんて報告はできない)。もちろんデュースはオレを上に置くような措置には目一杯反抗したが、何せ寮長命令だし、苦手な頭脳労働の一部を外注できるから味を占めるのは早かった。今では文句の一つもなく、共有用のリングメモと一緒に奢りのドリンクがついてくるシステムになっている。最近はオレの好みを飲み込んだらしくトンチキな味のものを寄越すことも少なくなった。
「今日ラスト体力育成だから真っ直ぐ図書館行ってレポート進めよ」
「今日片付けの当番僕らだぞ」
「ゲ。今日なに? 倉庫まで行かないといけないやつ?」
「高跳び。ポールある」
「ゲー!」
 長くて重くてかさばる用品に天を仰いで呻くと、今日は卵のメニューがなかったらしいデュースはコロッケを齧りながら「手早く終わらせるしかないな」と言った。お前は部活で慣れてるかもだけど、こっちは屋内競技なんですよね。寮長への報告義務がある手前、デュースだけに押し付けて逃げるわけにもいかない。スケジュールをこなせなかったら詰められるのはオレなのだ。オレはせめてもの腹いせに付け合わせのレタスをバリッと噛んだ。
 睡眠時間を確保し、部活にもきっちり参加し、オレのおかげで(二重線)課題にかかる時間が減ったデュースは、近頃ずいぶん顔色がよくなった。「時間」が確保できてたって「質」が悪けりゃ休んだとは言えないわけで、このところベッドの中での歯ぎしりも絶好調だったのだ。ルームメイトからも「夜中にふと目が覚めて異音にびびらされることがなくなった」と好評である。オレとしても、ちょうどいい口実が手元に転がってきて好都合だった。オレまで優等生まがいの生活させられんのはちょっとダルいけど。
 今日はこれとこれとこれやる予定、とメモに書きつければ、ちょうどパンを齧ったところだったデュースは口をむにむにさせながら頷いた。素直で大変よろしい。オレはグリムが横取りしようと伸ばしてくる手(前脚)を払いつつ、ゼリーをひとすくい口に含んだ。
 後日、オルトの計測。
「すごいね、エース・トラッポラさん、デュース・スペードさん! 二人の身長はぴったり同じだよ! コンマ二桁まで完全に一致してる! すごく珍しいからメモリーを保存しておくね!」
 そりゃあ朝から晩までほぼ同じスケジュールで生活してはいるけれども。
 謎の羞恥心に襲われたオレたちは、どうか保存はやめてくれとオルトに頼み込むことになった。
カット
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41:25
ななし@9ec811
お疲れ様でした!
64:06
ゆいな
あざざま
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向き
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エスデュ短編書く(30mドロ)
初公開日: 2025年05月07日
最終更新日: 2025年05月11日
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コメント
執筆過程に需要があると聞いたので出来上がるまでに何考えてるかをできるだけ文章化した後で本文を30分程度で書けるかどうかのテスト
書き終わらなくても終了
お題はいつかのワンドロで見かけた「1㎝」
【エスデュ】一生傷
卒業if。何も言わないと決めたエースと、言えることが何もなかったデュース。
ゆいな
【エスデュ】悪魔ッポラ書く
悪魔ッポラのラビュル伏せ情報回主に「ロウ組織のボスだいたいやべえ」という話をしています。 あとトレク…
ゆいな