・あとがきパート
人生リスキーゲージ100%、人形使いです。というわけで今回はゲームレジェンドに初参加!
そして今回の本は、サークル「ES4/EternalSphere4」様制作の同人STG「GRAND CROSS ReNOVATION」の二次創作小説となりました。
数ある同人STGの中でも群を抜いた派手さとカッコよさに心の当たり判定を射抜かれ、同人ゲームイベント「ビットサミット」や「ゲームパビリオン」にてサークルさんに挨拶しに行くくらいハマった作品です。そして最終的にこうして二次創作小説を書くまでになったという。
わたくし人形使いはこれまでオンライン・オフラインでちょくちょくSTG二次創作を書いてきましたが、久しぶりに50ページ超えの作品となりました。なったはず。なれ。(※このあとがきを書いている時点で本文は完成してません)
いやー実に楽しかった! 今回は人生初の「作中に人間及び人間的存在が一切登場しない作品」でした。なので主人公であるネグザルツやライバルのレインディアといったキャラクターの思考や感情を人間的なウェットなものにならないように気を遣って書くのが難しくかつ楽しかったですね。
ゲームの二次創作小説を書くときは「ゲームシステムを小説の中に落とし込めるように解釈する」という点を最大の魅力にできるよう書くのことを意識しています。
しかるに今回は原作ゲームの特徴的なシステムである「太陽剣」をうまいこと「戦闘機でのチャンバラ」という形に落とし込むことで戦闘シーンを特徴的なものにできたと思います。
また、本作の表紙と挿絵は以前から素晴らしいメカイラスト本を発行されているサークル「Ether Valkirie」のLIm Worksさんにお願いしたところ被せ気味のふたつ返事で快諾して頂きました。ビジュアル要素がない小説本におけるちゃんとした表紙の威力は本当にすごいのでありがたい。まあほとんど表紙依頼にかこつけてLimさんのGCRイラストを拝みたかっただけとも言いますが。
このように初めての要素がたくさん詰まった本作、楽しんでいただければ幸いです。ほんとにちゃんと完成するんだろうなこの本。
・本編続き
身体感覚に重篤なエラー。破損した機体からのフィードバックが、ネグザルツの思考域の時感覚を狂わせる。ここがエクソダスの内部であることが正しく認識できない。主観時間が逆行し――ネグザルツの認識は一瞬、過去――レーヴァテインに救われる前に戻っていた。
不完全な駆体。星間物質(エーテル)をまともに吸引することすらできない機肺(ラング)。第一幼体(ゾエア)から第ニ幼体(メガロパ)への脱皮にすら失敗し歪んだ竜骨(スパイン)。本来生き延びることなどできるはずがなかった自分を救い出した、太陽の如き威容と権能を持つ偉大な存在。
思考域の中核にある本能が、それを母と認識した。しかし――。
一度満たされたはずの欠落は、再び欠けた。母の――レーヴァテインの、突然の反逆。
知らなくてはならない。追わなくてはならない。
その強烈な衝動をよすがに、ネグザルツは自己認識を繰り返し更新(リロード)。自分がいるのは過去ではなく、現在(いま)だ。
床面が眼前に迫っているのを認識するのととっさに逆噴射(カウンターブースト)をかけるのがほぼ同時。危うく落下の勢いそのままに床面に激突、粉砕するのをかろうじて回避する。
そしてネグザルツは、目的の場所にたどり着いた。
数百平方メートルにわたる培養槽(ヴァット)が整然と並ぶそこは――パープリティアス属が生まれる生産プラントだった。
ケイ素イオン溶液で満たされた培養槽(ヴァット)は、彼らの子宮だ。金属球状の核体はここで培養され、成長段階を経るにつれ神経節を成長させていく。十分に成長した核体はパープリティアス属の証である光核(コア)となり、各種武装を接続されてさまざまなバリエーションを持つパープリティアス属として完成するのだ。
自己再生能力を超える大ダメージを負ったネグザルツの目的は、この生産プラントで傷を癒やすことだった。工場エリアとは異なり、ここの培養槽(ヴァット)にな成長過程の核体しかないため、攻撃を受ける危険はない。
半壊した機体をひきずり、ネグザルツはほとんど身を投げるように培養槽(ヴァット)に飛び込んだ。溶液が機体の開裂部に染み込み、失われた機体構造を徐々に回復させていく。ほとんどむき出しだった神経網が金属膜に覆われ、破断していた片方の機肺(ラング)のフレームが再生していく。
同時に、欠落感に覆われかけていた思考域も回復していく。徐々にクリアになっていく思考域を、苦痛の代わりに満たしていくものがあった。
それは――郷愁。