もう寒いんだかあったかいんだか冬なんだか春なんだかわからん。わからんがとりあえずやることはやっていきます。
・人喰御禁制 オルターイーター(薬味さらい)
冬コミで入手した本サークルさんの作品の残り2冊です。読んだ人には今回なぜこの2冊がセットでレビューされるのかはわかるはず。
「人喰御禁制」、妖怪による人喰いがシステムとして行われている幻想郷。しかし、里の人間が往来で妖怪に捕食されるという事件が発生。これを受けて幻想郷内での妖怪による人肉食が禁止されるという事態に。人肉食が禁制品となってしまった幻想郷はどうなってしまうのか!
創作作品を読む際の楽しみはそれこそ星の数ほどあるわけですが、その中で特に大きい楽しみのひとつが「書いてる人がノリノリになってるのがあからさまに分かるとき」です。
しかるに本作における一連の事件における天狗の面々の、特に組織に属する一員としての文の描写はもうノリノリのノリノリで描かれているのがあからさまに分かって読んでるこっちもニッコニコですよ。
あとがきによれば「最初は文は狂言回しに留める予定だった」とのことですが、書いてるうちに暴れ出して収まらなくなってきたんだろうなあ。
本サークルさんの作品は今回で冬コミ時点で発行されたものはすべて読んだことになりますが、文はその中でも格別な思い入れを感じるキャラのひとりです。しかるに本作では改めて文が「組織に属することによる不自由さと歯がゆさ」を感じているかということをまざまざと見せつけられた気持ちです。
権謀術数に長け、幻想郷で最速のスピードを持ちながら、だからこそいかに自分が組織という軛に縛られているかを深く理解せざるを得ず、器用に立ち回れるからこそそこに順応することもできない。ことのほか不器用なんですよね文は。
本作では前述の通り人肉食が禁じられる事件が描かれています。そして当然、作中でも描かれている通り禁じられば欲しくなるもの。人肉食の禁止に耐えられなくなった妖怪たちは人里を警護する白狼天狗部隊と一悶着起こします。
文の不自由さはこれに対応しているんじゃないでしょうかね。本質的に自由と真実を求める性分を備えていながら、組織という枷に縛られている。禁じられてば欲しくなる。縛られているからこそ自由になりたい! まあ最終的にボッコボコにされてますが……。
ラストでは「奉公しつつも自由にも振る舞う。それくらいの賢しさは備えていますのでね!」とか言ってますが、これって要するに「お腹いっぱい食べて気が済んだだけ」なのでは。つまりこの天狗なんか事件が起きたらまたやらかすぞ。
「オルターイーター」、こちらも同じく人肉食が禁止された幻想郷での事件をまた異なる側面から描いた作品。
前述のとおりわたくし人形使いは本サークルさんの作品はこれでぜんぶ読みましたが、本作で完全にこのサークルさんの脳内ジャンル分けが飯テロ系サークルになりました。おめでとうございます。
こっちのほうは人肉食が禁じられた幻想郷における闇人肉料理の流行が事件の発端になるんですが、メニューがイヤに具体的でなんとも言えない気持ちになる。「中留」とか一瞬考えて読み方がわかったとき爆笑してしまいました。
とか言ってるのもつかの間、事態はだんだんエスカレートしていきます。例えるなら「クッキングパパ」を読んでたらいつの間にか「包丁人味平」になってた感じですかね……。
人形焼まではまあまだ理にかなってるかな……そうかも……って感じですが本サークルさん描かれる幻想郷におけるいちばんヤバい人物である咲夜さんが出てきた時点でもうアウト。何が「TAKE IT EASY」なんだよ……。
そしてなんでこの流れでいきなり大怪獣バトルが始まるんですか。俺はなにを読まされてるんですか。海は死にますか。山は死にますか。
本サークルさんはこのようにしばしばギャグ方向にフルスロットルな作品を描かれますが、そのなかでもちゃんとそれまでの設定や理屈が通っているのでどんな無茶をされても納得するしかない。このとんでもギャグの中にも隠し味的にシリアスが隠されているのも油断ならない。
あとあとがきにてFSSに言及されている以上は総集編の書下ろしにてツインタワー八卦炉フル装備のゴライアス人形vsフレイムランチャーフル装備の大磨弓ちゃんの大怪獣バトル(30P)で幻想郷が火の海になることが確定事項と見てよろしいですね?
今日はここまで。