毎週木曜は滑り込みの日。というわけで今日は豪華3本立て! さらに全作品アニメでなおかつ東映まんがまつりならぬマッドハウスまんがまつりだ!
というわけで1本目はこれ!
タイトルはもちろん知ってはいたものの原作・アニメともに未見だったので、今回がわたくし人形使いにとっての初Dとなります。そういやこれたしかゲーム化もしてたよな。
まず最初に言っておきたいのはこの作品ポストアポカリプスものだったの!!!?!!!?
いやー驚きました。ラーメン屋の看板出してるラーメン屋に行ってラーメン注文したら闇鍋が出てきた感じ。このタイトルとこの絵面なら当然ゴシックファンタジーを想像するじゃないですか。ほとんど詐欺に近いのでは?(言いがかり)
いやアバンタイトルで「数千年先の未来」って言ってるし、冒頭でモブが構えてた銃がマスケット銃とかではなく明らかに中世的な世界観とは外れたスコープ付きのライフルだったし、ちょっと引っかかる部分はあったんですよね。でもまさかポストアポカリプスものだったとは……。
しかもゴシックファンタジー的な味もしっかりあり、なおかつ「荒くれ者が屯する酒場」「保安官」「ガンスミスの爺さん」といったウエスタン要素まであるという……。よくこれだけ色んな要素詰め込んで破綻してないなとびっくりしました。
でも芯の部分はやはり吸血鬼ハンターものであり、後年の同ジャンルに大きな影響を与えたのものむべなるかなと言った感じ。
そも「吸血鬼」というモンスターは強大な力を持った存在ですが、本作ではその強大さの表現が実に素晴らしい。吸血鬼の強大さはその不死性にあるという印象が強かったですが、本作に登場する吸血鬼であるマイエル=リンクの登場シーン、まだ直接姿を現していないにも関わらず、家々の屋根に設えられた十字架はねじれ、噴水の水は凍りつき、薔薇は枯れていく! 存在するだけで畏怖(おそ)ろしい!
特に吸血鬼の代表的な弱点であるはずの無数の十字架がいっせいにねじれていくあのシーンの「あっこれダメだわ」感よ。これを映像で叩きつけられたらもうこりゃかなわんわ。
そしてそれに対抗するDもまた「人間と吸血鬼のハーフ」という吸血鬼ハンターのお約束中のお約束を作ったキャラであるのはもちろんのこと、黒衣に身を包んだ長身痩躯の美青年、身の丈ほどもある、巨大な黒馬というコッテコテでありつつも一度見たら忘れられないビジュアルとその剣技、キャラとしての完成度があまりにも高い。さすがは菊地先生と平伏するしかありません。あと土に埋まってるDがなんかシュールで好き。
また、まさに妖怪変化といった「バルバロイの民」たちにはいわゆる山田風太郎作品的な奇々怪々な忍者たちの匂いを感じました。「吸血鬼もの」であるなら狼男とかそういうのが出てくるのがお約束でしょうが、そこにとどまらずモブにも種々様々な怪人がいるのがイマジネーションを感じられてよかった。
そしてあのラストよ……。ファンタジーのみならずSF要素もあると分かっていながらもあのラストは吸血鬼ものとしてはあまりに予想外でなおかつ美しい。オタクは最終的に宇宙に飛び立つラストが好き。
いやー前述の通り本作は初めて見ましたが、これだけの要素をいっぺんにぶち込んでちゃんとした料理として成立してるのがほんとにすごい。普通これだけの要素を詰め込んだらぜったい破綻しますって。
続いて2本目はこの作品!
本作はすでにレンタルで見たことがありますが、まさかスクリーンで見る機会に恵まれようとは。サンサン劇場で見てきた「まさかこの作品をスクリーンで見られる日が来ようとは……」という作品はもう両手では足りません。そしてこれからも増えることが確定している。
あと見てるはずなのに原作小説があることを知らなかった。読まなくては。
本作は「ラビリンス・ラビリントス」「走る男」「工事中止命令」の3作品を集めたオムニバス作品。どれも個性的かつ幻惑的な作品ですが、これをスクリーンで見るとさらに幻惑度が増すのでおすすめ。
「ラビリンス・ラビリントス」は少女・さちが飼い猫とともに不思議なサーカスに迷い込むお話。「現実と虚構が入り交じるサーカス小屋」というシチュエーションには「パプリカ」を連想します。
しかし個人的にはむしろ、「夕方の路地裏」というシチュエーションにこそ異界感を覚えました。夕食を作るお母さんの包丁の音、窓から差し込む夕日、子どもの低い視点から見た大人たちの行列。「あの頃」にしか存在し得ないノスタルジーをまとった幻想、たまらん。この年齢になってしまったからこそ感じ取れる味わいがある。あの頃に戻りたい……。(嗚咽)
「走る男」、命の危険も顧みないレーサーたちによる狂気のレース「デス・サーカス」のチャンピオン、ザック・ヒューの物語。
わたくし人形使いはメカが破壊される描写はゴア表現であると同時に一種のエロティシズムを感じさせる表現でもあると思ってるんですが(個人の意見です)、本作におけるレースマシンの崩壊描写、いい……。(余韻に浸っている)
あとやはりどうしようもなく習性というか走性として崩壊に向かっていくしかない男もいいですね。どぎつい色使いの画面とともに強烈な印象を残す一編です。
「工事中止命令」、南米の奥地でロボットによって進行中の工事を中止させるために出張してきたしがないサラリーマンのお話。Wikiによれば本作が大友克洋先生の初監督作品なんですね。
オタクはモノがブッ壊れる描写が大好き(個人の意見です)! 特に大規模建造物がブッ壊れる描写が大好き!(個人の意見です)!
本作ではコンクリバキバキケーブルグネグネの大規模建造物破壊描写がゲップが出るほど楽しめるので大規模建造物破壊描写フェチの方にはおすすめです。そしてロボットは言うことを聞かないのがお約束。本作では結局工事現場がどうなったかの顛末は描かれませんが、そのへんも含めて「人間の虚しい独り相撲」感があって好き。
そして3本目はこれ!
これはもう何回も見ましたが面白い作品は何回も見るんじゃい。そしてスクリーンで見るのは例によって今回が初めて。ほんとサンサン劇場には足を向けて寝られません。
本作は「彼女の思い出」「最臭兵器」「大砲の街」の3本で構成されたオムニバス作品。
改めてスタッフを見るとまあとんでもない面々が揃ってますよねこの作品。石野卓球の名前なんて当時は知らなかったし。
「彼女の思い出」、デブリ回収作業を生業としているハインツたちは、作業中にSOS信号を受信する。その信号の発信源は、サルガッソー地帯に浮かぶ巨大な廃墟だった。その中でハインツたちは、「彼女の思い出」と遭遇する。
もう「サルガッソー地帯」ってワードだけで満足です。
作品は1995年制作と古い作品ではあるものの、そのメカデザや世界観は未だに古さを感じません。まだまだCG技術は発展期でしたが、この作品でのCGはそれこそ当時最先端だったんじゃないかな。
ラストの幻覚によるオペラ劇場は圧巻の一言。そして壊滅的なラストからのあのラストカットが実に好き。
「最臭兵器」、山梨の雄大な自然をぶち壊し! 薬品研究所に勤める若い研究員が解熱剤だと思って飲んだカプセルは、彼を有毒ガスを撒き散らす生物兵器に変えてしまう恐ろしい薬品だった!
オタクは街なかに戦車が並んでるのが大好き! 本作の自衛隊は明らかになんらかのタガが外れている感じで過剰な戦力を投入してとてもいい。戦車とヘリはなんぼあってもいいですからね。
大友作品はブラックコメディも多いですが、本作はなんかもうどうしようもない感じで好き。あと物がたくさん壊れるので嬉しい。あと大塚さんの怪しいカタコト日本語が聞けるのは本作だけ!
「大砲の街」、巨大な大砲が並ぶ街。今日も街からは「敵」に向けて雄々しく砲撃が放たれる。
本作は今日見てきた作品の中で最も塚口の音響の恩恵を受けた作品だと言えるでしょう。
本作の見所は詳細に描写された砲撃準備作業のシーンなわけですが、この砲台内のやかましさが塚口音響のお陰で完全再現されており気分はもう戦争って感じです。とにかくまわりじゅうがうるさい。
あとはこの絵本みたいなグラフィックでやってることが非常にシニカルなのかいいですね。実在するかもわからない「敵」に対して日夜砲撃を続けているという。また本作はスチームパンクとしても優れている作品ですね。ピストンと蒸気で動くマシンっていいよなあ……。