来週からまた上映スケジュールがえらいことになる上に原稿の締切も近いので、久しぶりに1日4本鑑賞してきました。こうでもしないと追いつかないんだよ塚口のスケジュール。
 というわけで1本目はこの作品!
 本作もまた例によって例のごとく塚口がきっかけで知った作品。
 本作はタイトルの通りうさぎを主人公にした児童文学をアニメ化した作品です。
 英国ハンプシャー州にあるうさぎたちの巣。そこに住んでいるうさぎの一匹であるファイバーは予知能力を持っていました。彼はその能力で巣に危機が迫っていることを群れのうさぎたちに告げますが、群れの大部分は彼の言うことを信じません。しかし、彼の兄であるヘイズルと一部のうさぎたちはその予言を信じて群れを脱出、新天地を求めて旅に出ます。
 本作で特徴的なのはそのうさぎの描写。動物を題材にしたアニメーションであるにも関わらず、本作のうさぎたちはほとんど擬人化、戯画化されておらず、セリフこそあるもののその習性や行動は本物のうさぎに非常に忠実に作られています。
 動物、特にうさぎなんて特に「かわいいうさぎさん」的な扱いをされることが当たり前ですが、本作ではうさぎたちは弱肉強食の自然界に生きるリアルな動物として描かれているので、それだけでかなりショッキングでした。
 特に、うさぎという動物にはほぼ付与されないと言っていい残虐性・凶暴性という側面までも容赦なく描写されているので、いわゆる動物アニメとしてはかなり異端だと思います。そしてうさぎたちの神話に基づく宗教観や死生観とも言える彼ら独特の世界観もやはり動物アニメではまず描写されないもので、なんというか異世界感の強い作品でした。
 次はこの作品!
 なんでいきなりデビルマンを上映してるのかワケがわかりませんが、この作品をスクリーンで見る機会なんて早々ないので見に行きました。
 本作は説明不要の永井豪原作「デビルマン」のOVA第1作。来週には2作目に当たる「幼鳥シレーヌ編」も上映されるのでこちらも見に行く予定。
 OVAはテレビアニメ版に比べて原作寄りの内容になっており、「誕生編」はデビルマンこと不動明が飛鳥了の導きによってデビルマンへ変貌するまでが描かれています。
 まず言及しておきたいのがすっごく久しぶりに見た昭和の不良の描写。というかそもそも学ランを着たキャラが出てくるの自体久しぶりに見た気がする……。というかそもそも「OVA」ってワードも聞いたことがない世代の方がもう多いのか……この話やめよっか悲しみのあまりデーモンと化しそうだから……。
 そしてセルアニメですよ。我々古のオタクはセルアニメってだけで喜ぶんですよ。あと透過光。
 いやーやはりこの年代のOVAにしか出せない味ってありますよね。TVアニメよりも豪華でボリュームもあるこの感覚。ちなみにwiki情報によれば本作は1987年11月1日発売ということでいろいろ時代を感じますがそれがまたいい。というかOVA版の不動明が速水奨さんとか意外すぎる。
 そして3本目はこの作品!
 もはや今がいつなのかまったくわからなくなってきました。なんでこの作品を令和7年にスクリーンで見てるんだろうか、もうなにかもわからない。
 というわけで本作は日本人なら誰でも知ってるデビルマンとマジンガーZ夢の共演という東映まんがまつりです。ちなみに上映は1973年……。もう時代の流れが把握できません。
 わたくし人形使いはもちろんこの年にはまだ生まれていないヤングメンですが、この2大コンテンツが夢の共演を果たしたこの作品、上映当時はどれほど盛り上がったんでしょうかね。
 しかも本作では、ただデビルマンとマジンガーが共演するだけでなく、マジンガーの弱点である「空を飛べない」を克服する強化パーツであるジェットスクランダーのお披露目も兼ねているんですね。これで盛り上がらないはずがない。
 ジークアクスでガンダム未見勢が盛り上がってるのを見ててホクホクしてますが、当時リアルタイムで本作を見た人々も同じ気持ちなんだろうか。
 あとドクターヘル、部下はちゃんと褒めるし指示は的確かつ具体的だし上司としてはかなり理想的なのではなどと思ったりしました。
 そして4本目はこの作品!
 これもまたサンサン劇場がきっかけで知った作品。上映終了まではまだ間がありましたが、見られるときに見ておけとゴーストが囁くので見てきました。
 ある街のマンションに住んでいるドッグは、変わらない日々を過ごしていました。そんなとき、彼の目に「友達ロボット」の広告が飛び込んできます。ドッグはさっそくロボットを注文。
 友達を得たドッグは、ふたりで楽しい日々を過ごします。しかし、海に遊びに行ったときにロボットのエネルギーが切れて動けなくなってしまいます。海に入れるのは次の海開きの日。離れ離れになってしまったふたりはどうなってしまうのか?
 本作はやわらかな絵柄で描かれたアニメーション。そして声はあるもののセリフがまったくないという特徴的な作品です。
 しかし、セリフがないにも関わらず本作は非常に雄弁。ドッグやロボットの素朴で素直な感情がしっかり伝わってきますし、なにより視線とわずかな表情の変化が本当に多彩。改めて102分という長尺をセリフ無しで語りきってるのは本当にすごいですし、最後まで見た人にはわかると思いますが本作はセリフ無しだからこそあのラスト、あの余韻が効くんですよね。
 本作は前述の通り、ドッグとロボットがアクシデントで離れ離れになってしまうことが重大なイベントとして配置されています。それなら二人が再会するのがラストでハッピーエンド、もしくは再会できずにバッドエンドだと思うじゃないですか。
 しかし本作のラストは「再会しないけどハッピーエンド」なんですよね。このパターンは全く予測してなかった。
 海に放置されたロボットは繰り返しドッグと再会する夢を見ます。再会したと思ったら現実に引き戻される。ドッグもなんとか封鎖された海に入ろうとしますが、不法侵入で逮捕されてしまいます。
 結局ドッグは救出を断念し、海開きの6月1日まで待つことにします。その間も新しい友達や恋人を作ろうとしますがうまくいかない。
 そしてその間に、ロボットは廃品回収業者に回収されてしまう。
 直接的ではないものの、本作は見た目からは想像できないシビアな描写があるんですよね。見た目の温かみのある絵柄とのギャップも相まって、この「繰り返し再会する夢を見るけど結局は現実に引き戻される」「ドッグがそこかしこでロボットの姿を求めてしまう」描写がかなり辛い……。
 でも最後には二人は再会して……というのを期待してたら、6月1日になってドッグが海で見つけたのはロボットの足だけ。結局ドッグは諦めて、新しい友達ロボット・ティンを買うことにします。
 一方ロボットはラスカルというアライグマによってジャンク屋で売られていた頭と手足を購入され、胴体代わりにラジカセを取り付けられて復活。かつてドッグとそうであったように、ラスカルと友情を築きます。
 そしてロボットは街なかにティンと親しげに歩くドッグの姿を見つけ……声をかけませんでした。前述の通り二人は別れたまま、それぞれの新しい人生を歩んでいくことを選択するのです。
 わたくし人形使いはいわゆる「多様性」という言葉はあまり好きではないと言うかあんまり信用してないんですが、このラストは「再会してハッピーエンド」「再会できずにバッドエンド」以外の可能性である第3のラストを実に鮮やかに叩きつけられた気分でした。
 ここ、ロボットがすでにティンと新しい関係性を築いているドッグを、そして同じようにラスカルと新しい関係性を築いている自分自身を尊重したんだと思います。でも、お互いに喧嘩別れしたわけでもなく、忘れてしまったわけでもない。あの二人のお気に入りの曲である「September」に合わせてのお互い別の場所で一緒に踊るというシーンがそれをどんなセリフよりも雄弁に突き刺してくるわけですよ。あのシーンの演出最高だった……。
 ……であるとともに、個人的には本作から「ロボットは代替品」というシビアでシニカルな視点が最後まで剥がれ落ちていなかった気もします。そも「ロボット」の語源は「働く人」という意味のチェコ語。労働力を代替する存在として生み出されたロボットは、さまざまなものを代替する存在です。本作でもロボットは「友達」という関係性を代替する存在ですし、店に行けばさまざまな用途のロボットが売られている描写もあります。そしてロボットは、ドッグにとっては友達、鳥の巣、廃品、そして家族といったようにさまざまな役割を外部から与えられていました。そしてさらに本来の「友達」という役割も新しい友達ロボットであるティンに移行しているという。彼は、そしてロボットたちは常になにかの代替品とされ続けていた、という苦さは最後まで抜けなかった気がしました。
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塚口サンサン劇場「ウォーターシップ・タウンのうさぎたち」「デビルマン誕生編」ほか2本見てきました!
初公開日: 2025年02月16日
最終更新日: 2025年02月17日
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