教室に朝の光がささっているのがこんなに綺麗なんてまったく知らなかった。今日はいつもよりも早く来たために、誰もいない教室にさしこむ太陽の光を見ることになったのだ。
と、どうでもいいこと考えてる場合じゃなかった。早く荷物置いて外に行かないと。
今日は委員会の仕事で先生に呼び出しを食らってしまい、いつもより1時間も早く学校に来た。まじこれで大した用じゃなかったら絶対許さないからな・・・・・・
ちょっとだけイラつく心を静めつつ、昇降口を出て体育館の前までやってきた。
昨日ここら辺で待っててって言われたよな。
放課後の廊下、もう少しで帰れるとウキウキしていたのに下駄箱から靴を取り出したときに体育の秋原先生が僕に話しかけてきたのだ。
「おおー!!よかったよかった、まだ委員会メンバーがいたか。」
「秋原先生?どうかしたんですか?」
「実は色々やってほしいことがあるんだよ。とりあえず明日の朝体育館の前に来てくれ。」
「色々ってなんですか・・・・・?」
「いやちょっとな、先生一人じゃできないことだ。まあ明日頼むぞ!」
「ええ、、、」
せっかくいい気分だったのに、今日のことを考えて昨日はどうしても憂鬱な気分を拭うことが出来なかった。そもそも色々ってなんだよ、色々って。
「お!いつき、おはよう。」
「秋原先生。おはようございます!それで今日は何をするんですか?」
「実はさとても言いづらいんだけど、、先生ちょっとやらかしちゃったんだよ・・・・・・。」
腰を低くして小声で話す秋原先生。体育の先生と言えばやっぱり元気で声が出てなによりすごく厳しいイメージがあった。でもここの学校の体育の先生、秋原先生は真反対。気弱で常に腰が低い、小声でネガティブ。
申し訳ないけどなんで体育の先生なんだろうって思う、、
「やらかしたって、なんですかー。」
「そ、その。委員会でこないだ作成した資料、あれ外か体育館の中かどこかに無くしちゃったんだ。」
この人のやらかしはいつも平凡。なぜならネガティブだから、どんなに小さなことでも落ち込む、、いや。
「それやばいじゃないですか!!」
「ああそうなんだよ。本当にすまん、一緒に探してくれないかな、、」
「いやいいですけど、用務員さんとかなんか他の人も呼んだほうがいいんじゃないですか?僕たち二人だけじゃさすがに。」
「それはそうなんだけど、こんなこと言ったらどれだけ上に怒られるかわからなくて・・・・・。怖いんだ。」
嘘だろ!?いや僕、今日一時間も早く学校に来たんだぞ?電車もいつもより早いのに乗るために頑張って走ったのに。それで?なに、無くした資料を探してほしいってバカげてるだろ!!!!
なんでこんなことに付き合わされなきゃいけないんだよ・・・・・・。
でも確かにあの資料はとても大事だ。委員会で作成した資料、その正体は美化活動の協力を呼び掛けるためのポスター!!!あれはただのポスターではなく、委員長の似顔絵付きの可愛いポスターなんだ。どう考えてもあれを1から作り直す負担はとんでもない!
「先生。とにかく探しましょう。僕は校庭の隅から隅まで探します。秋原先生は体育館に!みんなが来ちゃうまでに済ましましょう。」
「ありがとういつき・・・・・・。」
とは言ったけど、見つかるわけない。だって校庭ってめっちゃ広いんだよ、どっから探せっていうんだよ。
倉庫の棚、部室、全てありそうな場所は探した。でも一向に見つかりそうにない。体育館を探す秋原先生も戻ってこないから多分見つかってないんだろうな。
ああまじで最悪だ、こんなこと頼まれるって知ってたら昨日あんなゆっくり帰んなかったよ。バカバカ昨日の自分が嫌い、、
「はあダメだやっぱり無さそうだ。まったく見つからない。」
チャイムが学校の中で鳴っているのが小さく聞こえた。いつもの登校しているくらいの時間がやってきた。他の生徒も一気に登校してくる時間だ。
「一旦先生に確認取るか。体育館行ってみよ。」
「先生!秋原先生、どうですか?ありました?」
「それが無いんだ・・・・・・。」
「そんな、残念ですけどやっぱりみんなに正直に言うしかないんじゃないですか?」
「そうだなあ。ん?あれあの生徒誰だ?」
「あ。先生すいません。もう行かなきゃいけないです。」
「え?どうしたんだ急に。」
先生が目が悪いわけではなく、僕がなんとなく誰だかわかるというだけだ。身の危険を感じる、さっさと逃げなきゃ、、
「あ、ありがとう。いつき!でも、あんま走るなよー」
「はい。わかってます!!」
学校の正門から入ってきた生徒は必ず僕らのいた体育館を通る。だから誰がきているかは見えていた。当然みんな朝の体育館に用はないので過ぎ去っていくが、たった一人こっちを見ていた生徒がいた。
「ひさき!!あいつもうストーカーじゃん!!」
ひさきがこっちに来る前にどっかに隠れないと、またなんか言われるだろ!もう嫌だ告白は。
「いつきくん!」
「うわっ!ひさき、」
「うわってなに?ひどくない落ち込んじゃうよ私。」
「僕ちょっと急いでるんだ今日は本当に、、」
「いや待って!」
走ろうとした寸前でいつもとは違うような真剣な声で言われ、つい足を止めてしまった。
「これ、いつきくんの委員会のポスター?体育館通る前あたりに落ちてた。」
「えっなんで・・・・・・」
「私は拾っただけだから!盗ったとかじゃないからね!なんか秋原先生とずっと騒いでたから何かなって見てたら、急にいなくなるから、、」
僕の勘違い?事実ひさきがいなきゃ今この段階で見つかることはなかったかもしれない。
いやでもそんなこと言ったらまた調子に乗って・・・・・・・。いやそうじゃない、今回ばっかりは。
「ひさきごめん、まじ助かった。ありがとう。」
「え、、いつきくんにありがとうって言われちゃった・・・・・・。」
「当たり前だろ今回は。」
「きゅるん。」
「変な効果音出すなよ・・・・・。まあ本当に助かったよ。」
「どう?ぶっちゃけちょっとだけ好きになっちゃったりなんだりした?」
「無理。」
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