なんか窓の方からじわじわと寒波が押し寄せてきているのを感じる……。
・地獄の沙汰も化け次第(折葉坂三番地)
おなじみの小説系サークルさんの新刊、今回も表紙絵はありませんがぱっと見でマミゾウさんの名前が出てたのでマミゾウさんが主役の話だということはわかりました。
年の瀬の12月を迎える幻想郷。そんな中、マミゾウはある企てを胸に居座っている命蓮寺をあとにします。向かう先は、地獄。
化け狸の生業の一つが金貸しなわけですが、今回はそんなマミゾウさんの仮想通貨ビジネス講座はっじまっるよー!の巻。地獄の支配者である日白残夢相手に、マミゾウさんは地獄を巻き込んだ仮想通貨ビジネスを持ちかけます。
話は突然変わりますが、わたくし人形使いはかねてより「語彙力というものは小難しい単語やや難解な表現を用いることではなく、適切な語彙を適切な、あるいは意外な使い方ができる選択力である」と思っています。
しかるに折葉坂三番地さんの作品は、本作に限らずですが語彙のチョイスが抜群に上手い。
本作は前述の通り仮想通貨がテーマなんですが、仮想通貨関連のワードをうまく世界観に取り入れているんですね。本作では地獄は刑期の長さによる魂の渋滞という問題を抱えており、それを解決するためにマミゾウさんは地獄の増掘を提案します。この「増掘」というワードを「マイニング」と読ませるこのセンス!
そしてさらに上手いのが、その地獄の増掘によって得た信用を変換させた通貨の名前が、代表的な仮想通貨である「ビットコイン」ならぬ、奈落貨(『ピ』ットコイン)! 残虐行為手当!
もうこれだけで「勝ち」ですよね。この分量の短編だと、いろんな要素を詰め込みすぎると破綻しますし、かといって何も詰め込まないとただ物足りないだけの小説になってしまう。なのでこのワンアイデアが実に光る。
そしてこの、地獄への経済介入というテーマはそれこそまだまだマイニングできそうなテーマなので大ボリュームのお話も読んでみたいところ。
今日はここまで。