2/2の誕生花 スノードロップ
      パンジー:「私を思って」「もの思い」
紫 思慮深さ、揺るがない魂、誠実
白 温順、心の平和
黄色 慎ましい幸せ、田舎の喜び
赤 思い出
青 誠実な愛、純愛
      白いフリージア
      シラー:『冷静』
めっちゃある 上三個が結構主流? どれでもいい パンジーかな
 人間の生まれた日を祝う、という習慣が、この殺伐とした生に染みついていたのはいつからであったのだろう。ああ、生まれた日も場所も定かでないというのに、おさない身を寄せ合い、傷つけあいながら生きていたあのころ、まだそこにいた気の強い「彼女」が、どこからの入れ知恵であったのだか、一年にいちどは、主役に贈り物を渡すのだと、そんなことを決めてしまった、そんなことからであったような気もする。
「おい、キラー」
 立ち寄っていた島の波止場に停めた船の中で、浴びるように酒を交わし、用意された飯をたんまりと腹に詰めて、次々と伝えられる言祝ぎに、マスクがすこし暑苦しくなる、そんな宴も、ほとんど終わりに近づいたころ。かけられる声に振り返ったそこに、佇んでいた相棒が、目が合うなり踵を返して船首のほうへと歩いていく。暗について来い、というそのそぶりに、なにか有事だろうかと、緩みきった気をすこし引き締めては、海を臨む牙の内に潜り込めば、彼はそこで、おれを待つようにこちらをじっと見つめていた。
「どうした、まずいことでも……」
「おらよ」
 今年のぶんだ。遮り、ずい、と差し出される右の、その指につままれた、ちいさなちいさな花に、一瞬、思考が止まる。止まって、そうして、いちどきに思い出した毎年の慣習に、おれは、ファ、と、思わず、声を上げてわらいだしてしまいそうになるのだ。
「……おい」
「フッ、ファッ……いや、すまん、そうだった」
 そうだったな。急激に下がっていく彼の機嫌に、詫びながらその、丸い花びらが数枚集まったちいさな花を受け取る。花芯の近くに濃い斑を持つこれは、たしかパンジーと言っただろう。花などにはまったく興味を持たぬおれでも知っている、この花を、彼は毎年、どこからか摘み取ってきては、ぽい、と、どうしてかどこかしかめつらをして、よこしてくれる。
「まさか、新世界に入ってからもくれるとは思わなかっただけだ」
「……それとこれとは関係ねえ」
 紅を引いたくちびるをぐ、と結び、ふい、と海の向こうに丹色のひとみを投げてしまう彼に、苦笑して手の中の花に目を落とす。むかしとは違って土もついていなければ、へしゃげてもしなびてもいない。拳の中に握り込むのではなく、その太い指で摘んで差し出してきたのも彼なりの成長であるのだろうと、おさなかりしころの彼を思い出して頬をゆるめていると、彼が、落ち着かなさそうに身動ぎをする気配がした。
「それ……」
「うん?」
「……まだ、押し花にしてんのか」
 こちらを見ないまま、頭を掻いて問いをこぼす彼に、ああ、と自室の手帳を思い返す。そのまま捨ててしまうのもなぜか忍びなく、「彼女」に相談したところ押し花がいい、と教えてもらってからというもの、ばかのひとつおぼえのように、彼からもらった花だけが並ぶ古びた手帳ができたわけだが、正しい作り方などわかりもしなかったものだから、最初に彼からもらった花などは、ほとんどぼろぼろにくずれかけて色も失われている。まあ、そうだな。状態には言及せず、ただそうとだけ、うなずいてやった、それだけであるというのに、彼は、すこしの沈黙のあと、そうか、と、どこかあたたかみのにじむような声でもって、返してくれるのだからその胸が読めない。
 ゆるやかに吹く、夜の潮風が彼の燃えるような赤い髪を撫でる。はるかむかしよりも、そしておれよりも高くなった背が、果てのない海と対峙している。
 ふと、ちいさな手に握りしめられた、土から引っこ抜いたと言わんばかりの、くしゃくしゃの花が脳裏をよぎった。
 キッド。呼べば、緩徐に、彼がこちらを顧みる。
「なぜ、この花なんだ?」
 彼はだまっていた。そのするどいまなざしは、ひとつもぶれることなくおれを見据えて、いちど、思考するように逸れたかと思うと、かすかに、ほんのかすか、その下瞼が反れるのだ。
「……さあ、なんでだろうな?」
 なんせ、おれも知らねえからな。く、と喉を鳴らし、そんな、うそかまことかもわからぬ台詞を言い置いて、彼が愉快そうに宴の残骸へと戻っていく。なんだそれは、と、肩透かしを食った思いがしながらも、きっと彼もまた、おれとおなじように、知らぬところでちいさな幸福のつくりかたを教えてもらっていたのだろう。振り返れば広がっている星のかがやく漆黒に、いつかどこかのだれかに思いを馳せては、これ以上なにものにもうばわれぬよう、おれは手の中の花をそっと包みこんだ。
揺るがぬたましい
カット
Latest / 135:59
カットモードOFF
文字サイズ
向き
チャットコメント通知
キラー誕キドキラ執筆
初公開日: 2025年02月02日
最終更新日: 2025年02月02日
ブックマーク
スキ!
コメント
いまから??? なんかかきてえ~~~
ローコラマンスリーお題「運命」「食べる」でなんか書く
二次創作ファンアート執筆部屋ローコラマンスリーお題「運命」「食べる」でなんか書きたい 雑プロット考え…
ゆべ
ローコラマンスリーお題「花」で執筆中
二次創作ファンアート執筆部屋ローコラマンスリーお題「花」でなにか書きたい 間に合わせたい
ゆべ
ローコラマンスリーお題『鼓動』で書く
二次創作ファンアート執筆部屋 マンスリーお題『鼓動』で書く 間に合わせたい
ゆべ