草木も眠る丑三つ時。そんな時間でも街と言うのは明るい物だ。いや、むしろ一般人の眠ったここからが、俺達の時間なのだ。アクセルを踏み込むと、カスタムしたエンジンがうなりを上げる。後ろからのパッシングはきっかり三回。その数だけ数えて、ギアを上げる。ほかに走る車も居ないこの場所は俺達の場所だ。数字をのばすメーター。吹き飛んでいく景色。僅かに見える隣の車体。次のカーブを曲がりきったら。俺の勝ちだ。何度も走り通したこのコーナーは、ギリギリまでスピードを保ったまま、ラストの一瞬にブレーキを踏み込むことで最速で抜ける事ができる
 残り三秒、二、一。
「俺の勝ちだぁ!!!」
 ぴったりのタイミングでブレーキを一気にかける。
そしてーーーー。

「結城ちゃーん、ちょっと神くん貸してくんない?」
 全体ミーティンが終わり、今日の仕事の確認をしている千聡の所に、珍しい人物が訪ねてきた。
「あれ、七星さん?」
 手に沢山の書類の束を持って現れた鑑識の同期に千聡は立ち上がって挨拶をする。名前を呼ばれた柊夜も隣で顔を上げた。
「僕ら、今鑑識に回す様な案件は抱えてないんだけど。それに、柊夜を貸してって言うのは?」
「うん、そうなんだけどさ。ちょっとプロファイラー案件抱えてて。どうにもならないから来たって感じ」
 そう言って七星は手にしていた資料を千聡に差し出した。めくった紙に書かれているのはいくつかの検死の報告書だ。
「検死結果?うわ、ひどい・・・。けどこれって」
「そう。今のとこは、事件性はないって事になってるんだけどね」
 ざっくりとさらった程度でも分かるほどに損傷の激しい死体の情報が複数乗っている報告書に、千聡は嫌な予感がして七星の方を見た。その視線を受けとめた七星はため息をついて内容を説明する。
「これ、全部交通部から回ってきた案件なの」
「交通部?って事は、事故で無くなった人か・・・、通りで」
 添えられている写真のほとんどが、酷く焼け焦げていて人の面影を残していない。交通事故で車体が炎上して助からなかったのだろう。その報告に一瞬だけ嫌な記憶を思い出した千聡は、振り切るように頭を振って続きを促す。
「・・・それで、こっちに持ってきたのは?」
「どこから話したもんだかって感じなんだけど。結城ちゃん、最近首都高の工事終わったの知ってる?」
 
 七星の話はこういうことだった。
 
 一ヶ月程前、長らく工事をしていた首都高の一角の工事か完了した。その工事は老朽化のために道路を一度取り外しての大がかりなものだった。新たに支柱から作り直す事になった工事は半年にもわたる期間を要したという。
「そこがようやく完成したんだけどね。交通部が言うには、そのルート、ちょっと作りに問題があるんじゃないかって」
「問題?」
「そう。完成したルートの、一カ所のカーブで死亡事故が相次いでるの」
 そう言って七星は千聡に渡した資料の表紙を指さす。そこに書かれている名前は全部で五つだ。千聡はその横に書かれた検死の日付を見て、顔をしかめた。
「・・・開通したのが先月の十二日。最新の検死は・・・二日前?」
「そう、たった一ヶ月で五件の死亡事故が同じ場所で起きてるの。しかもどれも車体の炎上で、運転手はそんな状態」
「・・・交通部は、設計ミスを想定してるけど、違う気がしてる。って事っスよね、七星先輩」
 
 千聡が気になる部分を尋ねようとする前に、隣で静かに内容を聞いていた柊夜が七星に話しかけた。チラリと向けられた柊夜からの視線で、千聡は柊夜が同じ疑問を持ったらしいことに気づく。それを知ってか知らずか、七星はそうなのよね-と頷いた。
「そもそも検死が回ってきたのも、三件目からなの。初めはただの事故として処理されててさ。あまりに続いたからってこっちに振られたってわけ」
「検死結果に何か問題とか、気になったこととかは?」
「特には。みんな若い男性って事と、相当な早さでぶつかっていたって事くらいかな」
「・・・事件性はなし?」
「今のところね。けど」
「・・・なんとなく、事故じゃなさそうと」
「そ、だからちょっと手伝ってよ、神くん。ちなみに、鳴海警部にはもう話し通してあるから」
「・・・あうあ」
 貸してと言いつつ、先に根回しをされてしまっている。つまり、これは実質お願いではなく仕事だ。同期の手際の良さに千聡が苦笑いをした横で、柊夜が鳴き声を上げた。お構い無しに七星は柊夜の手に書類の山を積み上げる。
「これ、交通部から預かった資料と、被害者の関係の資料。ほかにいる物あったら、連絡くれたら届けるから」
「・・・うい」
 ずっしりとした大量の資料に柊夜は引き気味だ。七星はそんな柊夜の肩を叩いて、心理士がいてくれてほんと良かった!よろしくね。と微笑む。
「結城ちゃんもごめんだけど、神くんの仕事、代わりにおねがいね」
「うん、まあ、そうするけど」
 この件、片がついたら、お礼に。と七星が続けようとした途端、そのポケットの中のスマホが鳴り響いた。一言断りを入れて、七星は電話に出る。先ほどまでのテンションが嘘の様に七星は真剣な様子で返事をして電話を終えた。声のトーンと反応的に、恐らくいま話していた事件の関係だろうと千聡は予想をつける。
「ごめん、行かないと」
「次の鑑識?」
「うん。・・・また同じ場所での死亡事故って」
 思っていた通りの七星の言葉に、千聡は眉をひそめる。七星の勘は、正しいかもしれない。隣で柊夜が居心地が悪そうに身動ぎをした音が千聡の耳に届いた。
「また、何かあればすぐ連絡するから」
「・・・分かった。今日中にまとめる」
「ありがとう」
「僕も少し、交通部に当たってみるよ」
「結城ちゃんも、ごめんね」
「気にしないで。どのみち、事故じゃないなら、僕らの管轄だ」
 頼もしい同期と後輩の言葉に、七星は微笑んでお礼を言うと足早に自分の居場所へと帰っていった。千聡と柊夜は少しの間黙り込んで、お互いに頭の整理をする。先に口を開いたのは柊夜の方だった。
「・・・どう思う?」
「まだなんとも。とにかく、お互いやることを済ませよう。柊夜の予定してた仕事は?」
「もう終わってる」
「流石。なら、さっきの書類、任せるね。僕は交通部の知り合いに当たってくる」
 千聡は柊夜の仕事の速さにいつもの様に感心しながら、頭の中で話を聞けそうなメンバーに当たりをつけた。交通部には同期やよく情報共有をしている知り合いがいる。彼らなら、詳しい話を知っているはずだ。特に今回は鑑識や捜査一課にまで話が広がっている。おそらく、この後に特捜部が組まれて協力体制になるだろう。前もって根回しをしておくのが良さそうだと千聡は結論を出す。
「・・・気をつけて」
「そっちも、頑張ってね柊夜」
 柊夜と千聡はお互いに小さくうなずき合って、それぞれの仕事へと向かう。なんとなく、千聡はこの事件は大変なことになるような、そんな気がした。

カット
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19:03
ななし@bf1517
七星さんに対してちーさとくんはタメ口かも"(ง ˙˘˙)ว" (ว ˙˘˙)ง "(ง ˙˘˙)ว"同期だし
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xuyagin1225
お!了解ですー!
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xuyagin1225
よびすて?
20:52
ななし@bf1517
さんづけ!"(ง ˙˘˙)ว" (ว ˙˘˙)ง "(ง ˙˘˙)ว"
21:06
xuyagin1225
わーい1
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ななし@bf1517
タメ口さんづけだった!メアリで!
21:39
xuyagin1225
ありがとー!!
82:10
xuyagin1225
いったんおしまい!
82:35
xuyagin1225
カメラの視点にまようのである・・・
82:36
ななし@bf1517
おつかれさまです!
82:50
ななし@bf1517
誰かに固定して動かさないのがよさげ
82:58
xuyagin1225
ありがとうですのー!
83:02
xuyagin1225
ねー
83:16
xuyagin1225
千聡くんにしていこうかなぁとは
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ななし@bf1517
段落とか章変えのタイミングで変更はありだけど
83:33
ななし@bf1517
連続した文の中でやると、ブレに見える
83:42
xuyagin1225
また読み直してト書きは直さないとかもしれんね
83:59
xuyagin1225
ちょーっと分からなくなってきたwww
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