本作は、非常にショッキングかつ不気味な中に美しさを感じるビジュアルインパクトでゲーマーの関心を集めたものの、パブリッシャーが見つからずお蔵入りとなっていた作品。
当初はTPSとして発表されていましたが、今回ビジュアルノベルに姿を変えて復活。開発中止がアナウンスされたのは2017年だったので、実に7年の月日を経て完成したことになります。
舞台となるのはグレンローズ病院。主人公のひとりであるジェームズが目を覚ますと、大病院であるはずのそこには人気がなくなっていました。しかも病院はロックダウン状態で脱出不能。同じように病院内に取り残された生存者たちとともに脱出を試みるジェームズ。そんな彼らの前に、異常な殺人者たちが襲いかかる!
さて感想なんですが、コンセプトアートのビジュアルインパクトに釣り合う内容にはなっていないというのが正直なところ。
本作は6つのチャプターに分かれており複数のキャラクターが登場しますが、選択肢などは一切ないタイプのビジュアルノベル。なのでゲーム性は皆無です。
ではシナリオはどうかというと、現段階では突出したところのないオーソドックスなゾンビ系ホラーといった感じでそこまで魅力的なポイントは感じられませんでした。シナリオの尺に対して登場人物の数が多い、時間軸が行き来するといったのもシナリオの分かりづらさを助長している感じ。
閉鎖された病院、脱出を試みる人々、暗躍する大企業、謎の監視者といった要素はしっかりおさえてあるもののそれ以上のものはありませんでした。
日本語にも対応しているものの、話者の性別や語句のズレなどが散見され、機械翻訳よりはマシといった程度。
ビジュアルについては、リアル調だったコンセプトアートからコミック調に変更されており、画面はモノクロ。この変更はそれなりに独特の不気味さを出している感じでいいとは思うんですが、コンセプトアートにあるようなビジュアルの使い方がただ出しているだけといった感じでビジュアルの使い方は凡百のものと言わざるを得ません。
当初の不気味かつ美しいコンセプトアートは精神的恐怖に寄った内容を想起させるものでしたが、実際のゲーム内容はゾンビパニックに近い現実的なもの。なのでしばしばビジュアルとストーリー展開のあいだにコンセプトのズレを感じることがありました。
正直なところコンセプトアート発表時がピークだった感じでしょうか。コンセプトアート以上のものではなかった感じです。
どうにか本来想定していた形で完成してほしいものですが……。